027 松永父と思春期を謳歌できない少年
続きです☆
港で車を受け取り、駐車場に止めて大翔たちを待たせてある待合所で合流すると大翔たちのお父さんであろう男性が一緒に立っていた。年は上だろうなとは思うけど、若々しくて160㎝ほどの大翔と立っていると10㎝ほど背が高いお兄さんと言う雰囲気の男性だった。美月は小走りに近づいて挨拶をする。
「この度は、お子さんたちを連れ出し申し訳ございません」
「今日は、うちの妻のせいでご迷惑をお掛けして申し訳ない」
美月と同時に頭を下げる男性と、美月に子供達3人は丸い目と口を半開きにして見つめている。そして、気まずい2人に大翔がもっともな事を言う。中学生に指摘される、二十代と三十代の男女の図は正直恥ずかしい。
「とりあえず、自己紹介したら?」
「だねぇ~」
「そうだな・・・」
「えっと」
「あっの」
どうしても言葉か被るので美月は挙手をして、男性にどうぞとされてから話始める。
「森美月です。△◇大学の2年生で、大翔君の家庭教師をさせてもらっています。1年浪人してますので21歳です」
「あぁ。お若い人にご迷惑すみません。大翔、陸斗、舞季の父の松永翔です。今年で33歳です。あれ?もしかして、干支一緒かな?」
「あぁ!酉です」
「おぉ!酉だね」
「そこ、需要なの?」
ものすごく、どうでもいい話で盛り上がりかけたのを大翔に止められた。面目ない。とりあえず、お互いのお詫び合戦は終わり、遊園地への向かい方を相談する。
「一緒の車で行こうかとも思ったんだけど、森さんも初対面のオジサンの運転する車に乗るのは怖いでしょ?子供達だけ移動して、森さんの車で追いかけてくれないかな?」
「え?でも、でしたら私はこのまま帰っても・・・」
「えぇ!ミヅキちゃん帰っちゃうのぉ?」
「本当だよ。ミヅキここまで来て帰るの?」
松永父が凄く気を使いながら話をしているので、美月はここは家族団らんを邪魔してはいけないかな?とそのままトンボ帰りを提案するが、リクトも大翔も引き止めるような声を上げる。
「いやぁ~家族のお出かけじゃん?」
「でも、ミヅキ来ないとオレらココまで来れなかった」
大翔が拗ねたように言うので苦笑する。リクトのあのウルウルのおめめは反則ではないだろうか?マイちゃんはさっきからベビーカーから脱出して美月の足にしがみついて抱っこをせがんでいる。これは目が離せない。
「森さんに予定が無いのであれば、一緒に来てもらえると助かる。もちろん、費用は僕の方で出しますので、あれ?船の代金は?」
「ミヅキが立て替えてる。レシートは預かってる。船とコンビニの領収書、父さんコレ。後、母さんがキッチンに置いて行ったお金はコレ」
美月がどうしようか悩んでいる横で、大翔がテキパキと美月の立て替えた領主書を松永父へ渡す。なんで、領収書を取るのか不思議だったがこういう事なのかと驚愕する。この中1男子はしっかりしすぎている。
「後、ガソリン代も入れないとだね。森さん、今日のご予定は?」
再度、予定を聞かれて美月は、リクトとマイはまだ目が離せない年頃だし、大翔だって中学生で子供なんだから、こんなタダの大学生でも大人の目はあった方が良いのかなと思う。まぁ。リクトの「帰っちゃうの?」の顔から正直逃げれない。
「あっ今日は特になくて・・・お邪魔じゃなければお供させて頂きます」
「じゃあ、マイとリクトは父さんの車に乗せて。オレはミヅキ一人だと寂しいだろうからミヅキの車乗るわ」
テキパキと、大翔が車の割り振りをして松永父である翔さんも賛同する。なんだか息の合ったやりとりに安堵する。
「そうだな。その方が連絡も取りやすいかな」
「ミヅキちゃんも行く?わーい!」
「とりあえず、チャイルドシートを移そう!」
駐車場に向かい、車を隣通しにいどうしてからチャイルドシートを移動する。これから、そのまま遊園地に向かって入園してからお昼ご飯を食べようと言う話になった。
美月は一人で大丈夫だから大翔もお父さんの車でいいよと言うが、はぐれないように一緒に乗ると言う。心配性だ。車を走らせながらも美月は確認する。
「いいの?お父さんの車じゃなくて」
「別に、中学男子は父親にべったりじゃねぇよ?」
「でも、仲いいじゃん?」
「まぁ。血のつながりは無いけど、仲はいいと思う。お父さんが良い人だからな」
「そっか。仲良しかぁ~」
血のつながりの無い話を聞いていたから父子関係は良好とは聞いてたけど、今日見るまでは少しドキドキしていた。翔さんと大翔は無理に親子らしくしようとしていなくて、年の離れた兄弟の様な会話だった。
うちの精神年齢おじいちゃん様な兄と、いつまで経っても末っ子幼児の様な弟より年が近そうな落ち着いた会話をしていた。美月がふふっと笑っているのに、何故か大翔が謝る。
「今日は、・・・本当にごめん」
「あぁ。もういいよ。正直久しぶりの遊園地楽しみ!」
「あははありがとぉ~」
「いいよぉ~リクトとマイちゃんとも長く遊べるし!」
「マジ感謝。・・・・どうにかならんかねあの人は」
「あーお母さん?」
「そー」
「美月はさぁ~彼氏って変わらんの?」
「あー彼氏いないと言ったよね?」
「あーだったね。作らないの?ほしくないの?今迄は?」
「ほしいのかなー。いいな彼氏とかは、少女漫画見て思うけど・・・」
「思うけど・・・」
「アレ、どうなってそうなるの?」
「中坊に聞きます?」
「アースミマセン」
「好きな人いないの?」
「好きな人かぁ~。友達は好きだよぉ~」
「はぁ?男だよ」
「だから、男友達?好きじゃないと友達なれなく無い?」
「ん~その人と付き合う?」
「あー。んー。どうだろう?」
「ん?」
「私がちゃんと彼女出来るかなー?って」
「なんで?」
「うーん。なんというかねぇ・・・・」
正直、生徒さんに自分のプライベートな事を話す必要は無いかもしれないし、何となく誤魔化すこともできる。でも、きっとこんな話を投げて来たのは、聡い大翔は自身の母親や父親が普通では無いのかもしれないと感じて、色んな人の考え方を聞きたいのかな?と思った。美月は美月自身の事や気持ちを教えてみることにする。
「んー私ね。中学生の時の仲のいい男友達に告白されて」
「おぉ!その人か初カレ?」
「いいや!違う!ちょっと、カレカノとかよくわからないからさ。友達のままでいたくて、そう言ったら結構酷い暴言を吐かれて。それから、なんか、そーゆーのには拒否反応?しますな」
「あー結構な暴露?」
「大翔家のこと聞きすぎてるからね。私も出来るだけは正直にね」
「でも、今も男友達はいるんだ?」
「そーその後、色々大変だったんだけど助けてくれたいい人たちが何人かいてね。その人たちがいなかったら大翔ともこういう風に話出来てないかなぁ~」
「へぇ~人間嫌いとかにならないの?」
「あー暴言吐いたやつは嫌いだよ?でもさ。私を傷つけた人も人間ですけど、私を支えて、助けてくれた人も人間なんですよぉ~!大翔もそうじゃない?」
「ん?」
「大翔を苦しめてるかもしれない人も、人間ですけど助けてくれる人もいるでしょ?」
「ミヅキとか?」
「そっ。お父さんとかおじいちゃんとかおばあちゃんとか。もしくは、リクトくんやマイちゃんとか」
「リクトとマイ?」
「2人がいて、助かったなぁ~って時あったりしない?お世話は大翔がしてると思うけどさ!」
「あーある」
「そう!人と言う字は!ってやつがあんじゃん?支え合って生きてるんだって人間って、人にお世話になって、自分の人の力になってあげたりして!」
「そっかぁ~。なんか良いなその考え方」
「だね。私は彼氏とかほしいとは思わないけど、友達は大事にしてるよ!支え合えればいいなと思ってる」
「俺も誰か支えられるのかな・・・」
「もちろん!まず今すでに、リクトとマイちゃんの面倒よく見てる!中学男子のお世話スキルはかなり超えてるよ!あと、お父さんも大翔がいて助かってると思うよ。結構、大翔の意見聞いたり相談したりするでしょ?いつもこんな会話してるのかな?って思う。私も、大翔と会えて嬉しいよ。生徒さんが良い子だと凄く助かるよ」
大翔が赤い顔をして照れているのが目の端に映るが本人は見えてないと思っているだろう。黙ってしまったけど、美月はそこは指摘しない。お母さんも大翔が支えていると思うけど、今は絡めない方がいいのかと思ってお母さんは出さなかった。
なんか、朝から思い詰めた様な顔を少しスッキリさせて遊園地についてから、喜色満面の笑みで絶叫マシンに翔さんを連れて行く大翔を見送りながら、リクトとマイと観覧車に乗った。
連れてかれる翔さんは青い顔をしているが子供らしい顔であれ乗りたいという大翔に優しい顔をしていた。まぁ。戻って来た時の顔は悲壮感たっぷりだったけど。
お昼ごろには、所長から電話が入り、淡々とお説教をされそうなところを翔さんが変わって頂いて謝罪をしていた。今後、この様な事が無いように大翔にも言い含めると所長と約束されていた。美月は困ったら連絡ほしいなと言い思いで複雑な気持ちになったが移動を伴う事は今後無いようにしようと約束させられた。
それからは、園内の売店で昼食をしたり、氷の迷路や鏡の迷路を歩いたりしつつ、たまに大翔は翔さんを絶叫マシンへ連れて行った。美月と2人で身長制限のある乗り物に乗るときはソフトなやつにしてくれた。
フェリーと車移動の時は良く寝ていたマイちゃんは昼食後も元気だったが、少し遊ぶと眠くなってきたので15時には帰ろうという事になった。早朝から起きたリクトも眠そうだ。あまり遅い時間に移動したら明日が大変だからと岐路についた。きっと、美月の帰る時間に配慮してくれたんだろうと思う。
フェリー移動中には、美月の立て替えたお金もきちんと清算してガソリン代まで頂いてしまった。美月としては結構、普通に楽しんだので遠慮したが駄目だった。港に着くと、そのまま解散なのバイバイとして帰宅した。
朝はどうなるかと思ったけど、楽しい一日だったなぁ~と帰る。火曜は所長の説教があるだとうなと思いつつも後悔はしていない何とも言えない充実感で日曜日を終えた。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感 年下に甘い
松永 大翔12歳 中1
家庭教師の生徒 思春期真っただ中の男の子 6歳と1歳の弟妹がいる
松永 翔33歳
優秀なビジネスマン 全国区の会社の支店長を任されている 大翔とは血のつながらない父子 父子仲は良好 自由な明日香の為に大翔に負担をかけているのを申し訳なく思っている 子好き
松永 リクト 6歳 小1
家庭教師の生徒の弟 凄く素直でお利口さん 美月の1番心配な子
松永 マイ 1歳
家庭教師の生徒の弟 抱っこ好きなハイハイマスター 捕まりある気が出来る 絵本好きらしい




