014 人との縁は偶然か?必然か?
一期一会大事ですよねぇ~
火曜日のお昼休みになって、丁度講義も専門で美咲と朔來と3人で北棟の食堂で昼食をとっていると、あのエネ制1年3人娘がこちらを見ていることに気がつく。
今日も来るのかな?と思っていたが1人にならないと襲来してこないらしい。3人は遠い場所へと座って食事をし始めた。ホッとしていると、美咲が聞いてきた。
「昨日、なんか変なのに絡まれたって聞いたんだけど大丈夫?」
「変なの?」
美月は本気で何のことだろう?と思って聞き返す。質問してきた美咲だけでは無く朔來にまで大きな溜息をつかれた。
「エネ制の1年女子3人。これで、分かる?」
「あぁーえっとねぇ~。ユイちゃん、ミウちゃん、ユアちゃん!」
「名前じゃない!・・・けど、昨日聞いて覚えてるの?凄っ!」
美咲が分かりやすい特徴を言うので、昨日教えて頂いたお名前を思い出す。朔來が名前を覚えていることに驚いていた。まぁ、伊達に先生業をしておりませんのでっとドヤッと顔をしながら応える。
「あぁ~でも名前だけね!覚えた!可愛くない?3人の名前!」
「名前が可愛くてもね・・・」
「苗字忘れちゃったから、呼びかけられないんだよねぇ~流石に1回の自己紹介で下の名前呼ぶは失礼よね?」
呆れたように、美咲に言われて苗字を覚えてないと言うと朔來が不思議そうな顔をして美月に質問してくる。真意がわからん。
「あーもう。うん。美月はなんでそうなの?」
「そうとは?」
「寛容と言うか、大らかと言うか、敢えての鈍感と言うか」
「あぁ~敢えての鈍感が1番しっくりするかも?色々ありまして・・・敢えて鈍感でないとしんどいかもね」
そういう事かと思った。朔來の語録は凄いなと感心しながら、美月は一番しっくりくる言葉を選ぶ。美月だって、普通の人間だ。中3のあの暴言からの高校孤立事件や、弟の煌星の思春期や、煌星のファンの事が無かったら未だに色々な事にオロオロしてることが多かったかもしれない。
中3の暴言から高校生活スタート時期に起きなことはまだ消化できてないけど、印象は友人たちのお陰で少しは薄れている。煌星の思春期にショックを受けた時は、太陽兄と優海ちゃんにたくさん話を聞いて貰ったし、美月自身の思春期の事を持ちだして太陽兄に対処方法を教えられた時は顏から火が出るかと思うほど恥ずかしかったけど、煌星とのやり取りも楽しくなった。
煌星のファンの時は、煌星にも守られたし、あの過激化ファンのお陰で長かった煌星の思春期が終わったことに感謝したいくらいだった。
わざわざ高校生が先輩である3年の教室に入って机に落書きしたり、廊下で肩を小突かれたり、家から出た瞬間に体当たりしてきたり、つき飛ばされたり、校舎裏に呼び出されたり・・・・。
そう、あれだけ色々されてなければ、食堂という人の多い場所で、テーブルと言う防波堤がある中、罵倒は全く気にならないほどだ。美月にとっては、実害が無いと言える。
「色々かぁ~。美月みたいにどっしりとしたいけど・・・達観するほどの色々と遭遇するのは怖いなぁ~」
「あはは確かに。私は兄ぃと兄ぃ彼女にかなり助けられたからねぇ~」
「周りサポーターは必要ってことね」
「そうそう。周りの人に助けて頂いて、私はここに居られるので日々人に感謝デスヨ」
「あー。そうだねぇ~それ大事だよねぇ~」
朔來が感慨深げに納得すると、美咲からポロっと本音が零れる。
「そうね。美月と朔來がいなかったら私、絶対大学でもボッチだと思うし・・・中高より断然今が楽しい」
「美咲も、勘違いされそうだもんねぇ~いい子なのに!」
美咲が、可愛い暴露をすると朔來が美咲を褒める。めっちゃしかめっ面になった美咲が、照れていることに気がついたときはなんて可愛い天邪鬼だと思ったもんだ。
「いい子じゃない。朔來と美月が飛び切り寛容で良い人なだけだよ。私の高校生時の評価は、笑わない。自分勝手。男に媚び打つ女。そんなんばかりよ」
「全部、違うねぇ~。まぁ大人しいけど面白かったら笑うし、体調崩しがちだから迷惑かけないように人から離れる猫の様に気高いし、そもそも勝手に男子が美咲に話しかけて喋るきっかけを欲してるだけなのに」
「気高い猫・・・」
「そうだねぇ~美咲は、優しくて気遣い屋さんで男子に構われたくないのにね・・・」
「なんか、褒められすぎてるけど・・・男子とかかわりたくないとかそれを、知ってくれる人っていういか、知ろうとしてくれる人がいなかったから・・・」
うんうん。今迄頑張ったねぇ~と朔來が美咲の頭を撫でる。朔來の方が1つ下なのだが朔來が姉で美咲が妹の様だ。サイズのせいもあるかもしれない。美月は友達運がいいなぁと思い返す。
「それより!エネ制1年来襲の件です!」
「あはは忘れてなかった!」
「忘れないよ!」
「当分はあまり、一人にならないで!」
「えーそこまで?」
「そこまで!あのなんだっけ?でかい人の件もあったじゃん?」
もちろん、金曜日の中村雄大の件も2人には伝えてある。美咲はともかく朔來も男子と分け隔てなく話す方で気安い。中村雄大の矛先が2人に行くのも危ないから注意喚起の為だった。しかし、心配させてしまった。
「空き時間は、自分たちがいないときは颯太さん呼び出すなり、大輝さんや駿介でもいいよ!いないよりわ!」
「駿介君は大体、朔來と同じ講義じゃない?友達の彼氏を呼び出すってもっとなんか言われそうね!」
「あーそっかぁ~他は?うちもそんなに女子は多くないし、割と自由人が多いもんなぁ~。男子が絡むと美月の危険性が増すし・・・」
「あはは、エネ制女子は実害無いから大丈夫よ?それに、今週は颯太と車、別だし!まぁ~ほとぼり冷めるといいよね?」
「あぁ~もう!のん気!」
朔來が憤るが、こればかりはしょうがない。颯太と一緒にいるのが気に食わないのに颯太を呼び出したら本末転倒だ。
「大輝が空いてたら、大輝呼ぶよ!」
「それがいいです!大輝さんは安心安全なんで!」
「大輝はなんで朔來の信頼を得てるの?あんな、阿呆な個人情報漏洩するのに??」
何故か、安心安全のレッテルを朔來に貼られている大輝の最大の失態を述べると、ムスッとした美咲が両手に拳をつくり決心する。
「そこは駄目だね。説教しなきゃ」
「あはは!美咲に説教!めっちゃへこみそう!」
「なんで?」
「美咲がねぇ~大輝の思い人に1番似てる!顔とかじゃないよ?雰囲気がねぇ!見ためがめっちゃ可愛いのに、お母さんみたいに叱る。怒るんじゃなくて淡々と叱る」
「あぁ~それは私も怖い!」
「良し。次、大輝を叱ります!」
朔來がビビると、美咲はニコリといい笑顔をして大輝を叱る宣言をする。楽しそうだ。
「美咲、大輝は大丈夫よね?名前呼びも早かったし!」
「そうだね!」
「あの人・・・・・美月の親友だから」
「おっ?」
「美月が凄く心を許してるくらいの人はいい人だと思う。大輝は優しいけど、変な目で見てこないし。颯太さんはいい人だと思うけどちょっと怖い」
「おぉ!大輝の方が懐かれとる!そうか、颯太も名前呼びの方だ!え?私基準でいいの?」
「うん。いい」
美咲のドヤッとした微笑みに、うふぅ~と変なところから空気が漏れて微笑み合う。やっぱり友達運が美月はいいと思う。深く縁に感謝する。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
自宅に帰宅して、夕食は親子丼を準備した。朝、冷凍庫から冷蔵庫に移した鶏肉は少し硬さは残るけど大分解凍されていたので袋ごと流水にさらす。その隣では、5合の米を研ぐ。丼ものの時の兄弟の米の食べる量が尋常じゃない。もう成長期じゃないんだから加減をしてほうがいいのだが・・・。
長ネギの白い部分を3㎜程度の斜め切りにして、青い葉の部分は小口切り。うちの親子丼は野菜が盛りだくさん。にんじんは皮をむいたままピーラーで薄く切る。ピーマンは細切り。きのこはシメジを石突を切り落としてほぐす。
大きな深型のフライパンに最初に、ピーマン、ニンジン、キノコの順に入れてを炒める。さらに、長ネギの白い部分を入れ、水3:みりん2:酒1:醤油1の調味料を合わせて入れる。ニンニクをチューブで3cmくらい追加すると、全体が均一になるようによく混ぜてふたをしてめて炊く。その間に、解凍できている1口サイズの鶏肉にお酒をかけてだしの素、塩コショウを振りかけて味を揉みこむ。
冷蔵庫から卵を5個出して割った卵に牛乳を大匙1と三分の二を入れてよくかき混ぜる。鍋の中を少しかき混ぜて長ネギがシナシナになっているのを確認すると鶏肉を投入してまた数分炊く。手が空くので、学校にも持って行った颯太から貰った愛用のタンブラーにお茶を補給して、カウンターの忘れないところに準備。
鶏肉の色も、丁度良く変わったところに卵を回し入れる。後は、卵がとろとろになるまで火を弱火にして待つ。今のうちに、葵ちゃん家に持って行くバックを準備する。
玉子がまだ、生かな?って段階で小口切りにした長ネギの葉の青い部分をパラパラと表面にまぶして、火を消して蓋をしておしまい。玉子は余熱と温め直しでどんどん固くなるので良しっと夕飯作りは完了。お米も19時には炊けるようにタイマーがついている。
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家庭教師事務所に到着して、先に葵ちゃんの教材を選んでたページを印刷する。それから、所長を探す大翔のことを色々話し合いたい。
「こんばんはぁ~!所長!西村所長いらっしゃいますかぁ?」
「ほいほぉ~い!いますよぉ!」
「お疲れ様です!松永大翔くんどうなったか聞きたくて!」
「流石、森ちゃん!談話室おいでぇ~!」
「はい!」
美月が談話室に入ると、古川さんが3人分のお茶を用意して一緒に座る。大翔のところに行く前にアドバイスというか状況を教えてくれた女性職員さんなので、同席は助かる。
「さて、松永大翔くんは森さんでお願いしますとのことです。なにしたの?森ちゃん」
「あぁー。口喧嘩と子守りですかね?」
大翔に暴言を吐かれて打ち返した話から、下の弟妹の面倒を見ながら学力テストをした事を話す。学力テストの答案用紙は写真をとって送信済である。
「あはは流石森ちゃん!それで、気に入られちゃったかぁ~!まぁ~よろしくね。しかし、大翔くん、理数は凄くできるけど、他がアレだねぇ」
「そうなんですよぉ~私とは相性悪いんですよねぇ~。得意科目と苦手科目がほぼ一緒なので!」
「あぁそうか。森ちゃんも理数系かぁ~」
「そうなんですよぉ~。葵ちゃんは、国英社が得意なので理数が苦手意識がある感じですから私が教えやすかったです」
「大翔くんは、森ちゃんと同じタイプねぇ。でも、大翔くん。森さん指名だからねぇ~」
「はい。頑張りますねぇ!まだ中1ですし。私、来年・再来年は就活次第でどうなるか・・・」
「OK!OK!じゃあ、とりあえず森さんにして、もし大翔くんが落ち着いたら他の人も振ってみる感じでいいかな」
「そうですね。あっと、おうちの話なんですけど、お母さん、弟妹達の面倒を私が見るといなくなりました。帰りも見送りなかったです。食事とか、洗濯はされている感じで部屋も綺麗なんですけど・・・子供たちにあまり興味ない感じで・・・」
「あぁ~そっちかぁ~。過干渉かと思ったけど、放任の方だったか。でも、問題は起こしてほしくないんだろうねぇ~」
「森さんは、大丈夫?弟妹つきでも?」
「はい。大丈夫ですよ?マイちゃんは抱っこするだけで喜びますしヨタヨタ歩きなんで大翔くんの邪魔しませんし、リクトくんも大人しく遊んでくれます。宿題やったり、お兄ちゃんと私が話している時は待っているんです」
美月が弟妹ちゃんたちの話をすると、そばで聞き役になっていた古川が驚き声を漏らす。
「わぁ~めっちゃお利口さんだねぇ~心配だなぁ~」
「そうなんですよぉ~小1なのにめちゃくちゃ聞き分け良くて」
懸念の方で、美月がリクトの状況を褒めると、意図が分かっていたように所長も返してくれる。この状況は、分かってくれる大人は案外少ない。美月もリクトタイプだったのでよくわかる。早かった思春期は大変お兄様にご迷惑をかけた。
「あぁ心配だねぇ~。まぁ。何かあったら相談して!家庭教師だからこそ気がつけることもあると思うからさ」
「はい!分かりました。よろしくお願いします。とりあえず、授業後の木曜にメッセージでフィールドバックはしますが、毎週火曜に報告はしに来ます」
「分かった。火曜の18:10くらいかな?当分、森ちゃんの面談入れとくね!」
「はい。よろしくお願いします!」
所長にひとまずは報告出来て一安心して葵ちゃんの家庭教師に向かった。今日も今日とて夕飯を一緒にしようとする綾乃さんに苦笑しながら、葵ちゃんの数学苦手意識克服の授業をした。相変わらず、ちゃんと解けている。順調に苦手意識克服は進みそうだ。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感!?
山口 美咲21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科
12/14生 大学からの友達 色白小柄で可愛い 男子が苦手
田中 朔來20歳 大学2年生 ITビジネス科
6/23生 大学からの友達 スポーツウーマン背が高い 同じ科に彼氏(駿介)がいる
西村所長 58歳 家庭教師事務所の所長
ふわふわとした雰囲気のオジ様 凄く子供好き 家庭の事情と受験に挟まれ心を病んで辞めていく塾生を何人も見てもっと踏み込んだ教育をしたいと思い家庭教師事務所を立ち上げた。
古川さん 25歳 家庭教師事務所の女性職員
ストレートの教員採用試験に落ちて、受かるまで家庭教師事務所の職員にならない?と西村所長に誘われた元塾生。高校の英語教師予定。バリキャリ感のある容姿。




