013 後輩女子の来襲
本当の姦しいですね。
この字、昔はなんて字だと思ったけど、
最近は意外と好きです☆男三人でもかしましいと思いますけどね。
金曜の夜は、楽しく過ごして中村雄大の事は忘れ、土曜日は葵ちゃんの家庭教師をして癒されて、日曜は食材の下ごしらえをして、課題が捗った。そんな週末明けの月曜の昼だった。
今日は、朔來はグループ課題に追われてグループの人と講義室で軽食を食べると言うし、美咲は調子が悪いと車で休むとのことでお弁当も特に準備してなかった美月は食堂へ1人で来ていた。
美月たち美咲と朔來の3人は、何が何でも3人一緒にいないといけないという感覚が無く、仲はいいものの自己の意見をそれぞれが言える。傍から見たらドライなものだけど琴音や真央とも同じ様なものなので居心地がいい。リケジョだからかと思ったがどうやらそれは3人の性格によるものだったらしい。
「貴方が、森美月?」
今日のお昼は、学食でサバの味噌煮定食を食べていると、目の前に女子3人が並ぶ。誰だろうと思ったが名前を呼ばれたのだから返事はしなくてはと返事とこちらの疑問を投げかける。少しお仕事モード仕様で丁寧に。
「はい。私が、森美月ですが。貴方方は?」
3人は少しばかり怯んだ顔をしてきたが、何やら不遜な顏をして自己紹介をする。何なんだろう。
「私たちは、|山崎先輩《山崎 颯太》と同じ科の馬場優衣よ」
「川口美羽です」
「井上結愛」
「あぁ!響くんが言ってた1年生女子のうちの3人かぁ~!初めましてぇ~!」
響に頼まれた、交流をもってほしい女子が、飲み会前に話しかけてくれたと思って美月が親しみを込めて挨拶をすると3人が3人しかめっ面をして井上結愛が叫ぶように非難する。
「なっ!馴れ馴れしくしないでよ!宮崎先輩も名前呼びなんて!ホント、ビッチね!」
おぉ。ビッチとか言われた。なかなか使わない単語だなと美月が驚愕しているとどうやらまだ続くらしい。川口美羽がさらに続ける。
「そんな男を誘う格好で、学校に来るぐらいですものね!」
今日の服装は、体に添ったパステルブルーのポロシャツに黒のスリムなジーンズである。よほど、目の前にいる3人の方が女子力の高い服を着ている。
川口美羽以外の二人はオフショルダーだ。川口美羽だって長袖だがシア―トップスで黒のキャミソールの上に黒のメッシュを重ねた服でセクシーだ。美月がハテナマークを並べている間にも3人の言葉はポンポンと続く。
「その体で男を手玉にとってるんでしょ!」
「まったく、|山崎先輩《山崎 颯太》も胸が大きいだけの人に使われて!」
「そうよ!毎日、送迎させるなんて、貴方何様なのよ!」
おぉ~。なんか懐かしいなぁ~とのんきに美月は3人を眺める。高校3年生の前半、琴音たちのお陰で学校にも普通に通えるようになった頃。こうやって後輩に絡まれた事を思い出す。
同じ学校に弟である煌星が入り、中学校から続けていたバレー部で鍛えていたら入学の頃は172㎝だった身長が15cmも伸びて187cmになった。元々、顏は悪くないしバレー部はムキムキっていうより細マッチョな体系になりがちなので煌星が2年の新入生歓迎球技大会から凄くモテ始めた。
中学校から始まった思春期を拗らせた煌星が絡んでくるだけだが、学校では親し気に話し、部活の無い日には一緒に帰る美月を彼女と間違えて絡んできてしまった彼女たちには散々に絡まれた。苗字とか気にしないのかと正直情報収集の甘さを指摘したかった。懐かしいなぁ~と現実逃避していると、目の前の机がドンっと叩かれた。おぉ。聞いてなかったぁ~と思いながら美月は質問する。
「それで、何の用ですか?悪口を言いに来ただけなら御飯食べていいですか?サバみそは温かいうちに食べたい」
お昼ご飯中である。至極まっとうな事を言ったつもりだったがやはり神経を逆なでしたらしい。3人が揃って机をバンッと叩いた。まあそうなるわなとは思ったけど・・・周りには食事している人ばかりなのだから少しは遠慮してほしい。見られてるのが分からないのかな?と心配になる美月を余所に3人はさらに喚き始める。
「なんて、性格悪いの!」
「はぁ?後輩の話より昼ごはんって!」
「サバの味噌煮好きなんですかぁ~?おばあちゃんみたいぃ~!」
大雑把な嘲笑をしてくる。サバの味噌煮好きに謝れ!ちなみに、うちのおばあちゃんはどちらかと言うと肉食だ!牛肉とカニをこよなく愛する祖母は80歳ちかくなっても元気いっぱいだ。現実逃避気味に3人を眺めていると、いつも困ったときに助けてくれる救世主!陽菜ちゃんが声をかけて来た。
「何してるの?馬場さん、山口さん、井上さん」
「あっ。こんにちは。陽菜先輩」
「「こんにちは」」
陽菜ちゃんには敬意を払うらしい。なにがあったのか?気になるが今は聞くときじゃないかなぁ~と相変わらず現実逃避気味に考える。こーゆーのは真剣に相手してはいけないと美月は学んでいる。だって、共通言語の日本が通じないのだ。
「はい。こんにちは。んで、ここ食堂だけど他科の先輩である美月ちゃんに大声で何をしてるの?目立ってるよ?」
「あっ」
「え?」
「きゃあ!」
3人は今更気がついたように、周囲をキョロキョロと見る。うん。完全に多勢で1人を虐める女子の図だという事に気がついたようだ。こーゆーもんは、人がいない所に呼び出す物だろうなと思う。だって、どう考えても彼女たちの立ち位置が悪役になる。
たぶん、要約すると颯太をこき使ったり、響に色目使ったり、大和さんまで手玉に取っていると言いたかったんだろうけど、全く身に覚えがない。否。先週、颯太さんには大変お世話になりましたがちゃんとお返しに今週は私が車出す予定だし、中村雄大の件は今度タ〇ーズでアイスを驕る約束をしている。後二人の件は完全に無実だと言いたい!
ちょっと、理解出来ないなぁ~という顏で事の成り行きを見てると、3人は陽菜ちゃんの指摘に顔を真っ赤にして小走りに逃げて行った。去り際の『これで終わったと思わないでよね』のセリフに悪役の上に、小物感が伺える。思わず陽菜ちゃんと2人目を真ん丸にして見つめ合う。
「ごめんね。うちの後輩が・・・。あっ。ココいい?」
先に意識を取り戻した陽菜ちゃんが何も悪くないのに謝りながら、向かいに座っていいかと聞いてくる。もちろん。かっこ可愛い陽菜ちゃんと御飯食べれるのは嬉しいので了承する。
「どうぞぉ~。気にしないでぇ~!相変わらず颯太はおモテになるわぁと感心してたところ。響くんともかく、大和さんは特に仲良くないんのに不思議ぃ~」
あははと美月がのんびり言うと、陽菜ちゃんは少しホッとした顔になる。
「本当にごめんね。ありがとう美月ちゃん。でも、大和さんに仲良くないは言わないであげて、へこむから」
「あはは。だねぇ~。後、気にしないでぇ~。早く食べよう。陽菜ちゃんラーメンじゃん!」
「だねぇ!」
その後、2人で他愛もない事を話しながらお昼ご飯を一緒にした。陽菜ちゃんは、カッコいいのに可愛くてすごく楽しい。少しそこは違うなと言うずれ具合も凄く可愛い。
月曜の全講義が終わり、講義室から出ると颯太が待っていた。あら。これはお昼の事聞いたかな?と思ったが敢えて口には出さない。片思い女子の暴走を本人に聞かれたら、恥ずか死ねる。しかし、どうやら颯太からの話は違う事らしい。
「なぁ。雄大と会ったか?」
「え?今日?会ってないよ?」
「そうか」
「あはは心配しすぎだよ。別の科なんだから、余程会おうとしないと会わないって!」
「あぁ。まぁそうか」
うむと納得する颯太に、雄大の件のお礼は早めにせねばとアイスに誘う。
「そうそう!今日、アイス食べに行く?」
「おぉ!行こう!行こう!今日も疲れた」
「ん?」
「今日も、午後は1、2年合同授業でさ」
「あぁ。絡まれた?」
「そっ」
「んじゃ、糖分だねぇ~」
そんな会話をしながら、車に向かう。今日はエネ制の棟の近くに停めた。ん?迎えに来ないで車の近くで待てばいいのにと思いながら何となくエネ制の棟を見るとばっちりあの3人と目が合ってしまった。おぉ~怖い顔!ばっちりメイクの可愛い顔が勿体ない!と思いながらすーっと目を逸らす。
2人で車に乗り込んで車を出すと、校舎から降りて来た3人とすれ違う。急いで降りて来たのかもしれない。やはり、凄い顔で睨まれた。隣に颯太がいるのだが、颯太に見られてもいい顏なのだろうか?3人も恋路の心配をしないから構内を出る。
「ねぇ。颯太」
「ん?」
「今週さ。車別々でいい?」
「あ?用事?」
「あーうん。そんなとこ」
「ふーん。分かった」
女子3人に怯んだわけではないけど、美月のせいで颯太の出会いを奪ってはいけない気がした。あの3人の誰かが颯太の彼女になるのもなんだかなだけど、颯太の歴代の彼女もあの感じだった気がする。可能性が全くないわけではないだろう。
まぁ。そんな『何か用事』って言い訳は今週しか効かないかもだけど。とりあえず、いつも一緒じゃないぞ!アピールをしてもいいかなと美月は思っていた。
コーヒーショップに到着して、今日は店内で食べることにした。美月は冷房で冷えたのでホットカフェラテ、颯太は相変わらず甘いものでアイスキャラメルラテとチョコアイスを別で注文する。店内で食べるから、乗っけるはやめたようだ。
「あぁ!驕るから!金曜のお礼です!」
「んぁ?あぁ。雄大の?」
「そうそう!颯太が来なかったらと思うとぞっとするので驕らせて下さい」
「あぁ~うん。さんきゅ。有難く驕られます」
「あはは。驕られてください!」
商品が出てくるのをカウンター近くで待って受け取ると、テーブル席を探して座る。そういえば、確認してなかったと颯太に断ってスマホを見る。メッセージが1通来てる。
ヒロト『次の木曜も来る?」
お?思春期の子猫を手懐けた気持ちになって、ニマァと微笑みながら返信をポチポチと打つ。家庭教師の生徒さんとSNSの交換は規制されていない。おススメ動画やここまでやっといてとの連絡出来るからではあるが本契約でも無い大翔と交換したのは単にあの兄弟が心配だったからだ。
『事務所からは連絡来てないから行くと思うけど、明日事務所行くから所長から継続かクビか聞かされるかも?誰かさんがクビって言ってたからなぁ~』
すぐに既読になって、返信が来る。
ヒロト『リクトとマイが会いたがってる』
素直じゃないなぁ~と思いながらニマニマが止まらない。リクト君はともかくマイちゃんはまだ1歳だからわかんないのになぁ~と思いながらまた返信を打つ。
『でも、私。そのお兄ちゃんの家庭教師だからなぁ~お兄ちゃんが森さんで継続ってお母さんに言ってもらわないと無理かなぁ~』
ヒロト『じゃあ、母さんに言っとく』
「ふふっ」
「さっきから何ニマニマしてんの?」
つい、笑ってしまいとうとう颯太に突っ込まれた。凄い、不審者を見る顔である。失礼過ぎんか?と思いつつもニヤニヤしている自覚はある。
「いやねぇ~新規の生徒さんが可愛くてさぁ~煌星の思春期思い出した」
「んぁ?中1男子?煌星の思春期・・・壮絶じゃなかった?」
「そーそー!私に構わなきゃいいのに、構ってほしいのか何処でもちょっかい出してきてたねぇ~。しかも長かったよ中2から高2まで!暴言吐いて打ち返されたり、私が悲しい顔するとシュンとするとこが可愛くてさぁ~!」
「美月、ホント心広いよね!弟にあんなこと言われたらうちの姉ならどんな仕返しが来るかわからん!」
「あはは私は、小5,6がピークで太陽兄に色々やらかしたからなぁ~太陽兄の真似みたいな?」
「あぁ。太陽さんも寛大だよなぁ~凄い。俺、無理」
「太陽兄は平和主義者だからねぇ~でも、理不尽な事には戦いを挑みますよ?煌星のファンに絡まれまくった時は、太陽兄と優海ちゃんがめっちゃ説教してたからね。ファンの子らが可哀想なくらい」
「森兄弟はナカヨシですねぇ~」
「山崎兄弟はモシロイですよぉ~。蓮さん含め!」
「蓮兄は含めないで、余計にイロモノ感が強くなる」
「あっ返信しなきゃ」
「あぁしといて!ニヤニヤは辞めろ!俺、あのケーキ食いたくなってきたから買ってくる!」
「はいはぁい!どんだけ糖を必要としてるんだ!」
「ストレス過多なの!」
甘味モンスターになった颯太に手を振りながら、美月はスマホに向き直り大翔にメッセージを打つ。
『うん。木曜行けるといいなと思ってるよ』
完璧なネグレクトでは無いとは思う。家の中は綺麗だったし食事も作っていた。オムツの場所も整理されていたし、マイちゃんの肌も綺麗だったし、みんな服装は清潔そうできちんとしていた。
でも、何か違和感を感じる上にあの大翔とリクトのこちらを伺っている「この人は自分たちの話を聞いてくれるのか?」という不安そうな目が気になる。
まだ、学生の身分だしカウンセラーでもない美月が何が出来るかわからないけど、色々と手を尽くしてくれる大人と繋げることは出来ると思って連絡先を交換した。
「見て!うまそう!」
「あっミルクレープ!美味しそう!」
「珍しい。少し食う?」
「やさっしぃ~!一口下さい」
頭をペコリと下げてお願いする美月に颯太はフォークを渡す。先に1口頂けるようだ。美月は生クリームもそんなに好きじゃないけど、ミルクレープは結構好きだ。口の中でバラバラっていうかプチプチする感じが好きかもしれない。
「ありがとう!うまい」
フォークをティッシュで拭いて颯太に返す。颯太は受け取ると少しだけフォークを見つめていた。おお。潔癖は同じの使えないかと美月は席を立ちながら颯太に新しいフォークを取ってくると言うがいらないと返って来た。
「いやっ。ダイジョウブ。拭いたし」
「そう?気になるなら、フォーク貰えると思うよ?」
「別に使えるのに、1口の為に1本捨てるのはもったいないだろ」
「そう?颯太が気にならないならいいけど」
その後は、ケーキを食べながら後輩女子3人が授業に集中しなくて面倒くさい話を聞かされた。ん?あの3人かな?と思った美月だったが敢えて言う事はしなかった。実害は無いしね。陽菜ちゃんの麺は伸びたかもしれないけど・・・。
それからは、店を出て颯太を家に送る。とりあえず、今週は美月の送迎の予定だったけど明日からの別々を詫びる。すると、車を降りた颯太が紙袋を渡してきた。先ほどまでいたタ〇ーズの袋だった。
「んっ」
「え?何?」
「誕プレ、2週間遅れだけど」
「えぇ!いいの!ありがとう!」
「タ〇ーズのタンブラーとギフトカード」
「わぁ~ありがとう!でも、何故!?あれ?何で?」
「前来た時も、イイって言ってたし、今日も見てた」
「・・・・確かに。すごい!颯太のスパダリ感!見習いたいと思います!」
「・・・・・うん。ガンバッテ。んじゃ、送迎ありがと。明日からは別な。金曜日はそのまま飲みなら1台がいいと思うけど?」
「ん~!朔來も行くし、相談してみる!何なら乗り合わせる?」
「分かった。一緒に行けるようになったら連絡して!」
「了解!」
家に帰って、貰った紙袋を広げると美月がずっといいなぁ~と言っていた少しお高いタンブラーと、美月好みのデザインのタ〇ーズのギフトカードが入っていた。時々変わるタ〇ーズのギフトカードはデザインが大体好みでほしいなぁ~といつも眺めていた。そんなところを見られていたことに少し恥ずかしくなるが有難く明日から使わせてもらおうと思う。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 鈍感
馬場 優衣20歳 エネルギー制御科1年
5/5生 1浪生 響たちと同じ歳 颯太を悩ます3人娘の1人 颯太狙い
川口 美羽18歳 エネルギー制御科1年
2/3生 颯太を悩ます3人娘の1人 颯太狙い
井上 結愛19歳 エネルギー制御科1年
4/3生 颯太を悩ます3人娘の1人 響狙い
松尾 陽菜20歳 大学2年生 エネルギー制御科
6/13生 颯太と大輝と同じ科で仲良くなった子 見た目は可愛い系だが少年の様な天然
山崎 颯太20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科 SNS名【Sota.Y】
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した




