分岐点
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部屋の中から声が聞こえてくる。
「なあ、あいついつまで連れていくの?」遥の声が聞こえてきた。
「なにいってんだよ。遥。あいつはずっと連れて行くぞ。あいつがいれば俺たちはガス欠なしでスキルを使えるんだぜ。捨てるにしては勿体ない。それに、荷物とかもあいつに持たせてるから俺たち楽できてんじゃん」
「そうだね。悠人の言う通りだと思うよ。それに私たちはまだまだこの世界の人間どもに復讐していかないといけない。そのためにあのスキルは役に立つ・・・」
「確かに唯と悠人の言う通りね。それにあいつは私たちを置いて逃げたわけだし」遥が納得したように頷いた。
「そうだぜ。それにあいつが苦しむ姿って見ててなんか面白くね?なんか前からずっと、うじうじしていて見ていて腹がたってたし」
悠人の言葉を聞いて部屋の中から笑い声が聞こえてくる。
「確かに、日本にいた時もずっと私たちの後ろついて来てて、初めは悠人が連れてきたからなにも言わなかったけど、正直きもかったし。なんかへらへら人の顔色ばかりうかがっていて、気色わるかった」
「私は遥と悠人が何も言わないから、気にしないようにしてたけど皆も同じこと思ってたんだね」
そんな聞いているだけで心が抉られる言葉を扉の外で一人で聞いていた。そしてしばらくして僕は部屋の中に入っていった。
「よお、さっきの話きいてたか?」その発言を聞いて腹の奥底からマグマのような怒りがあふれ出そうになった。こいつらは僕が外にいることに気が付いていて、そのうえで話していたのだ。
「いっ・・や。聞いてないよ。何の話?」それを聞いて3人は気色の悪い笑みを浮かべた。
「いや、俺たちはずっと仲間だよなって話だよ。なあ?」悠人は唯と遥の方を見て言った。
二人は何も答えない。でも口元をかくしていて笑っているのが分かる。
「それよりもさ、お前今日はダンジョンに潜ることってできるのか?」悠人がグラスに注がれた水を飲み干していった。
「うん、今日はゴブリン狩りがあるらしい・・・」それを聞いて3人の顔が陰った。
「おい、ふざけんなよ。んな低ランクの奴らが受けるような依頼を受けるなよ」悠人が怒った。
「ごめん。でも初心者には無理らしいんだよ。なんでも、その洞窟にはゴブリンが300体以上いるらしく、それを全滅させてほしいらしいんだ」
「でも私ゴブリンなんていやよ」遥が悠人に拒むよう言った。
「でっ、でも、褒賞が高くて金貨300枚とからしい・・・」そう言うと3人の顔つきが変わった。
「おい、それを早く言えよ・・・二人とも受けていいよな」悠人が確認するように言うと二人は当然というように返事した。
だが、ゴブリンの討伐で金貨300枚なんてありえない相場である。普通なら怪しむところだが、こいつらは事務的な面倒事は全て僕に任しており、ゴブリン1体が金貨1枚なんて馬鹿げたことを疑いもしない。300枚なんて言うのは嘘だ。
今日、ようやく復讐への道を進めることができる。まずは遥、お前からだ。
正直こいつらを裏切ったと言えば、確かにそうかも知れない。だけど僕が助けたのも事実だ。もちろん、こいつらの言い分も分かる。でも、理性では抑えきれないところがある。どれだけの辱めを受けたか数えきれない。これからすることは人によっては意見が分かれるだろう。復讐しても意味がないとかな。でも、少なくとも僕は清々する。それだけで十分なんだ。綺麗ごとを言うのは無関係な人たちに任せとけばいい。僕は僕がしたいことをする。
「それじゃあ、1時間後に迎えに来るから・・・」
そう伝えて僕は部屋から出た。
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