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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第十部 大地を生きる者達と空の覇者

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第455話 譲る気配なし

「聞こえるか、ヴォイス国の代表者よ」


 反響の山上空に居るアーラが、すぐ傍に居る相手に話し掛けるような声量で言葉を飛ばす。


 そんな声の大きさでは普通は下まで聞こえる筈なんてないのだが、風魔法を使う事で、山中に声を届かせており――


 そんな広範囲に無造作に音を飛ばせるアーラの技量の高さが、それだけで窺えるだろう。


「これが最終勧告じゃ。貴様が囲い込んでおる魔族共を全員処分せよ。それが出来ないようなら、人類に反意ありと見なし、攻撃を開始する」


 飛天族の兵の一部は勘違いしているが、これは正式な手続きを踏んだ上での侵攻だ。


 既に宣戦布告はしているし、魔族を処分さえすれば、何もしないとは伝え続けているのだが、ヴォイス国からは、未だ一つたりとも返事がない。


(儂の魔法、ちゃんと届いておるよな?)


 さすがのアーラも、ここまで何も反応がないと自分の魔法に不備があるのでは無いかと疑問を覚えてくる。


 攻撃魔法と違い、この手の魔法は普段は使わないからだ。


「バッちゃん。もう攻撃しちゃいましょうよ」


「馬鹿者。言ったじゃろう、今回は他の人間達への印象付けを兼ねておるんじゃ。飛天族は裏付けも取らず、他国に奇襲を仕掛ける粗暴な集団という評判が付いたらどうするんじゃ」


「けどぉ、これって絶対聞こえてる癖に無視してますよ。アタシ等が国から出るなんて滅多にないですし、別の国が嗅ぎ付けて参入してきたら面倒な事になりません?」


「それこそ私達の今の評判なんて、あってないようなモノですし、難癖を付けて襲ってきた飛天族から、仲間の人間を守る為にって話にされますよね?」


「ぐぬぬぬ……」


 焦れた若い兵達を押し留めようとするアーラであったが、それでも限界というのはある。


 実際問題、飼い慣らせる魔族が居ると思って討伐するよりも利用しようという思惑の元、ヴォイス国に援軍する国が現れてもおかしくないし――


 兵士達の言うように、信用度では建国中のヴォイス国より、飛天族の方が低いのだ。


 他の国が参入してきた場合、悪者にされてしまう可能性が非常に高く、出来るだけ早く決着を付けるのが最善なのは確かである。


 それでも無断で攻め入るのはマズいとばかりに、アーラの額に冷や汗が浮かんだ時だった。


「こちら、ヴォイス国代表補佐、メロディ」


 絶妙なタイミングで反響の山から、声が届いた。


 こちらも怒鳴っている訳でもない小さい声ではあるがものの、音を操る事なら自分達こそ専門家だと言わんばかりの見事な魔法制御で、周囲に声を届かせていた。


「遅くなってごめんね。代表は訳あって話せないから、ウチが代理で話させてもらうね」


 国の代表同士の会話にしては、随分と砕けた口調のように聞こえるだろうが、この世界では対等の立場であると示す為に、国の代表同士は丁寧には話さないという法則がある。


 つまりこのメロディの態度は、決して気さくで親しみのあるモノではなく――


 お前達の下に就いて言いなりになる気なんてないという、断固たる意志表示であった。


「あの子達が魔族なのも、たくさんウチ等の国に住んでいる事も認める。それが他の人間の国から背信行為だと思われる可能性が高い事も、全部ね」


 どうせバレている事を隠したって、後で不利になるだけ。


 それならばメロディは、事実は全て包み隠さずに認めていく。


 自分達が人類視点で見た場合、相当にマズい事をしている立場であるという事を。


「ならば――」


「けどね、魔獣に滅ばされそうになったウチ等を、命懸けで助けてくれたのもあの子達。実際、あの子達の間に死者だって出てる」


 だが、伝えるべき事実は、他にもある。


 ポヨポヨ達がどれだけ善良で、自分達に取って大事な存在であるか、だ。


「命を捨ててまで自分達を守ってくれた恩人を売り飛ばす外道に成り下がるくらいなら、ウチ等は反逆者になったって構わない。これはウチや上の者達だけの意見じゃない。子どもまで含めた、ウチ等の国の総意よ」


 ヴォイス側が長く沈黙を保っていた理由。


 それは飛天族を見た国民達に、改めてどうしたいかの判断を仰いでいたからであり、何名かの者は、隠し通路を使って秘密裏に山を下りた。


 だが、大半の者は山に残った。


 ポヨポヨを守る為に、自分達も共に戦うと決意してくれたのだ。


「貴様、自分が一体何を言っておるのか、本当に意味を解かった上での発言じゃろうな?」


 アーラは戸惑いを必死て隠しつつ、努めて冷静に問い掛ける。


 メロディは告げた。


 反逆者になっても構わない、と。


 だが、その言い分では、飛天族だけに話は留まらない。


 ポヨポヨを守る為ならば、人類全てを相手取ってやると言ったも同然だ。


(儂だって、そこまでする気はないぞ!?)


 別にアーラだって、ポヨポヨ達を逃がさず包囲する為だけに、過剰とも言える戦力を集めた訳ではない。


 出来るだけ早く決着を付け、ヴォイス国と飛天族だけの問題で終わらせる。


 ヴォイス国への配慮こそが最大理由であり、ヴォイス国を大っぴらに人類の裏切り者にする気なんて最初からないというか――


 もし放っておいて建国後にポヨポヨ達が魔族だと判明した場合、間違いなく、ヴォイス国は魔族を大量誘致した逆賊として、人類史に名を残していただろう。


 それを防ぐ為に、急いで動いた部分もあったのだ。


 だが――

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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