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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第十部 大地を生きる者達と空の覇者

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第453話 真に空を制する者達

「それで、味は? 雷鳥みたいに美味いの?」


「んー、知らない。ただ何かこの辺、生態系とか狂い気味らしいから、問題の魔獣以外は無駄に狩らないようにって指示が出てたと思う」


「そういえば、そんな話、してたような……」


「ほら、アンタ達。羽ある者のよしみで見逃してあげるから、さっさとどっか行って。この辺、もう少しで戦場になるからさ」


 だが、ポヨポヨなる魔獣以外には手を出すなと言われている事を思い出すと、まるで虫でも払うかのような邪魔そうな仕草で、エコーバード達に離れるように伝える。


 あまりにも危機感が薄い応対と言えるだろう。


「クケー!」


 当然、言葉なんて解かる訳もないエコーバードが飛天族の指示に従う訳もなく、縄張りを侵す者に容赦なく襲い掛かった。


 かつてソヌスの街でポヨポヨ達と戦った時より、遥かに速く鋭い突撃。


 空中という障害物も少ない自分達の戦場である上に、栄養不足だった時とは違い、身体中に力が漲っているのだ。


 今の自分達なら生半可な相手に負ける訳がない、という自信が窺える攻撃であったが――


「あー、もう。面倒臭いなあ」


 飛天族の兵士の一人が、億劫そうにエコーバードの群れに突っ込む。


 音速を超える突撃を軽々と見切ったかと思うと、どれか一体に集中的に狙いを付ける事もせず、周囲一帯を風魔法で範囲攻撃する。


 明らかに雑魚を相手にしている時の乱雑過ぎる対応。


「クケ!?」


 けれど、そんな粗末な一撃で、エコーバード達には十分だった。


 空中では僅かに力を加えられ少しバランスを崩されるだけで、大きく体勢に影響する。


 地上ではポヨポヨ達に後れを取ったものの、空においては未だ負けなしの圧倒的な覇者として君臨しており、一方的に蹂躙する事はあれど、外敵なんて居なかったエコーバード達は、知らなかったのだ。


 本当の空中戦を。


 そして、真に天空を制する覇者が誰なのかを。


「ちょっと! 同士討ちとか止めてよね。それで死んでも私が怒られるし」


 突撃の軌道を掻き乱され、仲間に嘴を突き刺しそうになるエコーバードを、先程の飛天族の兵士が余裕で止める。


 まるで悪戯しようとした小さい子どもを窘める親みたいに軽々と。


 外敵と戦う事が多い飛天族の兵には、純粋な戦闘力以上に、初見で相手の力量を推し量る能力が求められる場面が多く、エコーバードの群れを見た瞬間から解かっていたのだ。


 こいつ等じゃあ、どれだけ束になったところで、自分達の相手にならない、と。


「ったく。ほら、さっさと散って。怪我したくないでしょ?」


 魔力を全力で放出していれば、それだけで戦わずして格の違いを見せ付ける事も出来た。


 だが、いくらヴォイス国を舐めているとはいえ、今は行軍中。


 まだ戦も始まっていないのに、自分達の部隊が見付かるような愚を犯す程、警備兵達も馬鹿ではなく――


 出来るだけ早く、最小限の力で終わらせたかったのだ。


「クエー!!」


 けれど、あまりに優しく対応し過ぎた。


 いくら魔獣の中では知力が高いエコーバードでも何が起きたかよく解っておらず、懲りずに飛天族の兵士達に襲い掛かる。


「しょうがない。アタシ等も手伝うから、ちゃっちゃと終わらせよう」


「要は殺さなきゃいいだけ。魔力自体はそれなりにあるみたいだし、羽折って地面に落としても、その内自力で回復するでしょ」


 だが、たった一人で怪我させないように手加減しても楽勝だったのだ。


 人数まで増えた上に多少の怪我なら仕方ないという状態で戦えば、結果なんて誰でも想像出来るだろう。


 一瞬で数羽のエコーバードの羽の骨が折られ、墜落していく。


「ク、クケー!?」


 そこまでされて、ようやくエコーバードもどう頑張っても自分達が敵うような相手じゃない、と気付く事が出来た。


 地面に叩き付けられる前に仲間を回収し、飛天族の兵士達から慌てて離れていく。


「へー。力の差も解からないケダモノかと思ったけど、仲間を助ける頭はあるんだね。思ったより賢いかも」


「いいじゃんいいじゃん。あたし、そういうの結構好き」


「私も嫌いじゃないな。戦いが終わったらさ、薬でも持ってってやろうよ」


 死の鳥と言われ、多くの人間達が襲われれば絶望を覚えるしかないエコーバードを、まるで可愛らしい小鳥扱い。


 これが飛天族の標準的な一般兵の実力であり――


 隊長や更に上の階級ともなれば、この兵士達ですら子ども扱いする程の強者が揃っている。


「と、無駄に時間食っちゃったし、少し急ぐよ」


「バッちゃんはともかく、プロケラ様は遅刻したら激怒しそうだもんね」


 エコーバードの群れとの戦いを、ちょっと寄り道してしまった程度の些事で終わらせて。


 あらゆる侵略者を単独勢力だけで跳ね除けてきたという伝承に偽りはなく、最強と称されるに相応しいだけの力を持った飛天族の兵達が、ヴォイス国に到着しようとしていた。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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