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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第446話 数百年、人を見てきた者の結論

「安心せい。儂だって人間と事を荒立てる気はないんじゃ。あのポヨポヨ言ってる魔族にしか手は出さん。人間には被害が出ないよう、最大限の注意を払うつもりじゃ」


 研一の捕縛に成功したアーラの次の狙いは、ヴォイス国。


 より正確に言うなら、人間の領地に潜む魔族の巨大勢力であるポヨポヨ達を根絶やしにする為、アーラ自ら兵を率いてヴォイス国に攻め入る手筈であった。


「待ってくれ! アイツ等は本当に悪気も無くて人間が大好きで、危害を加えるような存在じゃないんだ! 街の連中にだって慕われてる!」


「そうか。それも事実じゃったとして――」


 アーラは風魔法を操り、研一の言葉を周囲に漏らさないように調整しつつ、話を続ける。


 研一に何を言われたところで攻め入る予定を変える気がない以上、兵の士気に関わる内容は周囲に漏らしても悪影響しかなく――


 これから先の自分の発言は、周囲に聞かせたくなかったからだ。


「それは街の者共が、アヤツ等を魔族じゃったと知った後であっても変わらぬと言えるか? 変わらなかったとして、どれくらい続く。十年か、二十年か? 人間とあの何考えてるか解からんポヨポヨが、未来永劫仲良く過ごしていけるとでも言う気か?」


「……それは別に、ポヨポヨ達に限った話じゃない」


 ここで何も考えずに肯定出来るのは、無責任な者だけだ。


 未来の事なんて誰にも解からず、同じ人間同士でさえ些細な事で争い決裂する。


 この質問の仕方は、何を答えても正解にならない卑怯な問い掛けでしかない。


「そうじゃな。あのポヨポヨ共に限った話ではないの」


 アーラも理解はしている。


 良くも悪くも未来の保証なんてどこにもなく、人間とポヨポヨが仲良く暮らしていく道がない、と言い切る事だって出来ない事くらい。


 けれど――


「じゃがのう。ただ獣の爪や牙を持つだけ。羽が生えてるだけで、人は相容れないもの。獣人や飛天族でさえ、人間と仲良くしていた時期はあったが、それも百年すら続かんかった。ましてや、あんな姿形が完全に違う上に言語さえ違う者との共存なぞ、夢物語に過ぎんよ」


 夢や理想を信じるには、アーラは年と経験を重ね過ぎた。


 長く生きてきて知ったのは、信じて傍に居たくなるような人間よりも、関わり合いたくもない人間の方が遥かに多いという事。


 本当に異種族同士でも末永く共に生きていけるというのなら、飛天族だって、こんな場所で引き籠もっていないとばかりに吐き捨てる。


「人間とアヤツ等が、絆や結束力とやらでも発揮して、儂等を退ける事でも祈っとるがいい」


 話は終わりだとばかりに、アーラは研一から目線を外す。


 そして音を外に漏らさないように展開していた風魔法を解除すると、周囲に指示を飛ばしていく。


「そこのオナゴを、牢に閉じ込めておけ! いいか、決して手荒に扱うでないぞ!」


「はっ。解りました」


 そして、研一の前からセンが連れ去られていく。


 もし同時に連れて行こうとしてくれたなら、隙を突いて奪い返す機会もあったかもしれないが、連れ去る瞬間さえ蜃気楼を解除してくれない。


 これではこの場で助け出すどころか、どこに連れて行かれたのかさえ、解からない。


 ここでセンを救い出す道は、完全に潰えた。


「皆の者、戦の準備じゃ! 人間の領地に大量の魔族が入り込み、洗脳された人間共が囚われておる! これはかつての友であり隣人を助け出す、聖戦と心得よ!」


 そして、何も出来ない無力さに歯ぎしりする研一を尻目に――


 数百年、表立って動く事がなかった飛天の長が動き出す。


 人間と魔族、両陣営からの侵略を跳ね除け続けた、精鋭達を率いて。


(くそっ! 今俺に出来る事は――)


 もはやここからセンを取り戻す事も、アーラを倒す事も不可能だろう。


 だが、それでも研一は、絶望や諦めで動く事を止めたりなんてしなかった。


 救世主が持つ特殊能力の一つ、自分を信頼してくれている者だけに使える長距離通信。


 その力を用いて、自分が連絡を取れる全ての者達に、現在の状況、自分が油断したせいでセンを捕らえられてしまった事を含めて、全て余す事無く伝え――


 センの救出要請を願い出ると同時に。


 飛天族からの襲撃に少しでもヴォイス国が備えられるよう、情報伝達を必死でこなしていく。


 そして――


「ええい、離せ! ちゃんと相互理解の話し合いもせず、他国に攻め入るなど我は認めんぞ! それはかつての人間共の行いと何も変わらん! バッちゃん、この縄を解けぇ!」


 納得いかないとばかりに暴れ続けている、プロケラに目を向ける。


 唯一人。


 もしかしたら、この場で頼れる可能性があるかもしれないと、一縷の望みを賭けて。

 これにて第九部終了です。

 一応、部単位で一冊になるように調整しているので、本になってたら九巻目ですね。

 明日から引き続き第十部が始まりますので、お付き合いして頂ければ嬉しいです。

 最近はPVも多くなってきているので、そろそろ書籍化の打診が来てほしいので、是非ともブックマークと高評価、レビュー等をして頂ければ嬉しいです。

 そういうのは恥ずかしいという方は、ここまで読んでるよと反応がてら、リアクションだけでもしてくれると嬉しいです。

 特に今は公募中なので是非に。 

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