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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第442話 アイツ等が魔族という事は――

「大方、セレスティア国での魔族軍との戦いで臆したというところか? あの戦いまでは悪い噂もあれど、救世主が魔族を撃退したという話もあったのに、途端に聞こえなくなってきたからのう」


 おまけにタイミングも悪かった。


 実際、セレスティア国での防衛線で力不足を感じた研一は、今度こそ守りたい者達を守り切れるように、仲間集めに動いていた上に。


 魔族側が攻めて来なかった時期なのもあり、急に討伐実績が消えてしまっていた。


(……いやあ、うん。これで疑うなって方が無理だよな)


 アーラの言葉に研一本人も弁明する事も忘れ、感心して聞き入っていた。


 確かに何の事情も知らずに研一の行動だけを追っていくと、アーラの解釈が一番可能性としては高いと、研一だって思う。


 特に国の統治者として全体を眺めて導く立場の者と考えれば、これだけの情報と状況証拠を揃えておきながら、大分見逃し続けてくれたと言っていいだろう。


 魔族であるポヨポヨ達を隠れて大量に引き入れた時点で、魔族の前線基地を構築していると判断して、兵を率いて攻め入る判断をしても決して性急な判断とは言えないのだから。


(というか。テレレさんが居なかったら、多分攻め込んでたよね、これ……)


 それでもアーラが兵を動かす事もしなければ、テレレに事情を確認するでもなく、様子見だけに留めた理由こそ、長い付き合いであるテレレへの信頼だ。


 ここまで隠れて動くからには、きっと何か深い思惑がある筈。


 信頼しているテレレが関わっていなければ、きっとアーラは既に兵を派遣してポヨポヨ達を蹴散らしていた筈だ。


「そうですよ。本当に俺が寝返っていたとするなら、そんな事にテレレさんが協力する訳ないでしょう! もっと冷静に考えてみて下さい!」


 それならば、テレレが助けを求めてくるまで静観していてほしい。


 自分の事は信じられなくても、テレレの事を信じてほしいという方向で攻めてみる研一であったが、その思惑は通用しなかった。


「迂闊じゃった。アレでテレレは男も知らない初心な女じゃからのう。外から来た男に絆され、判断を誤る事もあるとは想定しておらんかった……」


 というのも、だ。


 兼ねてからアーラがテレレに対して抱いていた懸念点が、たった一つだけあった。


 それこそがドリュアス国の党首という立場に縛られ、一人の女としての喜びや楽しみを何も知らないまま生きている事。


 もしテレレを女として扱う者が現れたのなら。


 党首という立場や人類の事なんて忘れて、その者に全てを捧げてしまうのではないかという一抹の不安があり。


 その危惧が現実になったようにしか、思えなかったからだ。


「いやいや、テレレさんはそんな色恋を仕事に持ち込むタイプじゃ――」


「はっ! ああいう一見冷静で使命の為なら全てを捨てられるなんて覚悟が決まっているように見える女こそ、お主みたいな普段は無害で純朴そうに見える癖に、いざって時は覚悟を決めるような男に弱いんじゃ。儂には解かる!」


「……」


 話も聞かず決め付けるようなアーラの言葉に、ムスッと研一の顔が不機嫌に歪む。


 何かテレレの事を馬鹿にされたみたいで嫌だったのだが、この場に居ないテレレの為に本気で怒れる研一の姿に、アーラは自分の予想が間違っていなかったと確信する。


「……儂だってそれだけでは判断せぬ。じゃが夢魔の件がある。魔族とはいえ、アヤツ等の境遇には儂も思う部分はある。儂でこうなのじゃ。好いた男に哀れな境遇の夢魔の話を持ち出されれば、テレレでは断れんよ」


(あのサラマンドラ国の甘いお姫様もな……)


 とはいえ、アーラが最終的にテレレも研一側に就いたと判断した決定的な理由は夢魔の件だ。


 そして、テレレと同様の理由で――


 既にサーラも研一と共に、魔族側に寝返っていたと判断していた。


(無駄に信憑性があるだけに、何とも言い難いなあ……)


 確かにテレレならサキュバスの事情を知れば心を痛め、協力してくれるだろうと研一は思う。


 だが、そもそもテレレはサキュバスの件には何も関わっていない。


(何でその二つの話が繋がっている前提で、アーラさんは話すんだよ……)


 はぐれ魔族を掻き集めるという前提で考えを固めてしまっているんじゃないかと思う研一であったが、その答えはすぐにアーラの口から語られた。


「本当に上手くやったものよ。あのポヨポヨ達を先に仲間に引き入れてから、あの警戒心の高い夢魔達の元に向かうとはな。アレでは必死で番いを求めていた夢魔達では、お主の誘いを断れまいよ」


「え?」


 どうしてここでサキュバスの番い問題が出てくるのか。


 意味が解からず間抜けな声を出す研一を、白々しい演技だとばかりに無視してアーラは言葉を紡いでいく。


「確かに下手な人間共よりは、ああいう何を考えているか読めない魔族の方が純粋な魂を持っておるもの。さぞや夢魔達も喜んだじゃろうな。アヤツ等から見たら、あんな丸っこい物体でも、極上の色男揃いじゃからのう」

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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