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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第441話 傍から見た最近の研一

「ポヨォ!」


 あまりにも想定していなかった単語が急に飛び出してきて、思わず研一は叫び声を上げてしまう。


 だって、本当に予想していなかったというか。


 そもそもポヨポヨ達の事は、ずっと魔獣だと思っていたのだから。


「なんじゃ、急に素っ頓狂な声を上げおってからに……」


 だが、アーラからすれば戦いの最中に謎の雄叫びを上げたようにしか見えなかった。


 警戒したように僅かに距離を取りつつ、研一に語り掛けていく。 


「何も知らんかったとは言わせんぞ。ここ最近のお主の動きは、どう考えても魔族側の前線基地を人間達の陣地内に築こうとしているようにしか思えんからの」


「どういう意味だ?」


「儂がどこまで把握しておるのか推し量るつもるか? 白々しい演技をしおって……」


(……どうもアーラさんの隠密部隊は、そこまで精度は高くないのか?)


 救世主である研一の動きを、アーラは隠密部隊を使って定期的に追っていた。


 とはいえ、いくら飛天族が高速で移動出来るとは言え、それでも転移陣で一瞬で国を跨ぐ研一の動きを追い切る事は不可能。


 全てが終わってから現地入りして、噂や現地の様子を元に判断するしかない部分も多かった。


「まあよい、乗ってやるわ。儂がお主が魔族と通じていると疑い始めたのは、あのポヨポヨ達を裏で大量に増やしている事に気付いた時からじゃ」


 だからどうしても、誤解や勘違いと言うのは生まれていく。


 特に研一自身もポヨポヨ達の事を誤解していたり、建国なんて大それた事を画策していると余計に。


「救世主が現れたという噂があった小さな街、ソヌスとか言ったかのう。その場所を我等が確認した時には、既にそこに街はなかった。廃墟と化した街を、あのポヨポヨとか喚く化け物が巣食っておったわ」


「いや、それは――」


 ソヌスの街周辺は、元々は渇いた大地で資源の少ない場所であった。


 それを植物魔法を使い手であるドリュアス国の党首、テレレの手で土地改善を行い始めた影響で少しずつではあるが肥沃な土地に生まれ変わろうとしており――


 何の資源もない状態ならば、見晴らしの良い場所に無防備に街を構えていても門内なかったが、これからは防衛の観点で無防備過ぎるという判断から、拠点を一時的に山に移したのだ。


「てっきりお主に見捨てられ街が滅んだのかと思った儂等じゃが、そこで儂等はあのポヨポヨ達が旅の商人を使い、別の場所に物資を運んでいる事に気付いた」


(え、何それ。知らない……)


 ただ研一が知っているのは、住人達が山に移転したところまでだ。


 その後の進捗具合なんて把握出来ておらず、当然、商人が協力者として旅の商人であるエラー達が増えた事なんて知る訳もない。


「そこで隠密から緊急事態の連絡を受け、山に向かった儂は、信じられない程多くのポヨポヨ喚く化け物達。更にその存在を隠すようにテレレとミュジカという人類屈指の実力者が、見張りをしている場面を目撃した」


 だが、研一以上に衝撃的だったのは、アーラの方だろう。


 人類の回復薬を一手に担うドリュアス国の党首に、どこの陣営にも所属していないから知名度こそ低いものの、人類最高の魔力量を持つとさえ噂されるミュジカ。


 この二人が魔族を大量に囲い込んでいる場面に遭遇したのだ。


「自分の国から動く事なぞ滅多にないあのテレレが、自ら出向いておる。もしや魔族の大量発生を独自に察知したテレレが、ミュジカと協力してポヨポヨ達を山に押し留め、人里への被害を止めているのかもしれん、などと儂は甘い期待を抱いておったよ」


 これでアーラは、テレレの事を大きく評価していた。


 というのも表向きは飛天族は人間と何の関わり合いもないとされているが、一部の党首とは裏で繋がっており――


 取り分けテレレは、長命種であり付き合いも長い。


 党首が突然魔族などに討ち取られ死亡してしまった結果、引継ぎがされず交流が途絶えてしまう事も多い中、長く取引を続けてきており、人柄を良く知っているテレレの事を、アーラは人間の中では誰よりも信頼していた。


「そんな中、部下から更に驚くべき情報が入ってきおった。貴様が、はぐれ魔族である夢魔共と接触した、とな」


 だからこそ、明らかな異常事態でありながらも、テレレなら悪いようにはしないだろうと静観していたアーラに、驚くべき情報が入ってくる。


 ポヨポヨに続いて、次はサキュバス。


 救世主が現れたとされる場所に、次々と魔族の影がチラ付くのだ。


「嫌な予感がしていた儂じゃが、その疑いが確信に変わったのはサラマンドラ国に魔王が現れた時じゃった」


 そんな中、突如として魔王が軍も率いず。


 魔族側の拠点である魔大陸から遠い、サラマンドラ国に現れたのだ。


 アーラが知る限り、初めての事態であった。


「貴様じゃろう? 魔王をサラマンドラ国に引き入れたのは?」


 アーラは確信した。


 救世主は既に人類を見限り、魔族側に寝返っている、と。


「世間では救世主が死闘の果てに何とか魔王を追い払ったなんて言われとるし、それっぽい魔力の動きをしてたのは儂も確認しとるが、ただの外向けの演技じゃろう? アレだけの魔力がぶつかり合ったというのに、どちらの陣営も無傷なんて、両者が手を組んででもない限り、有り得んからのう」


 アーラも研一達と魔王との戦いの時、実は近くに居たのだ。


 近くと言っても、あまりにも凄まじ過ぎる魔力の大きさに、巻き込まれたりするのを避ける為にある程度の距離は離れており――


 救世主と魔王の魔力がぶつかり合い、一時的に魔王の魔力が消えた。


 その後、完全に消えた筈の魔王の魔力が戻ったくらいしか、確認していないのだが。


「そして次は人間嫌いで知られる我等、飛天族に接触と来たと来れば、馬鹿でも解かるわ。魔族側は人類への総攻撃の準備段階に入っており、その為に戦力を掻き集めておるのじゃ、とな」


 とはいえ、それでアーラには十分だった。


 人間の領地に点在していた魔族を急激に掻き集めた上で、魔王を呼び出す。


 どう考えても裏切り者の行動でしかないのだから。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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