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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第438話 それでも飛天族は――

「そして儂等は自分が罪人になる事を覚悟してでも、儂を助けてくれた旦那様を助ける為、問題の国に攻め入った訳じゃが、戦いとも言えん戦いで終わったよ」


 飛天国が大人しくしていたのは、理由もなく人間に手を出して、人類全体から敵対種族と認識される事を回すだけは回避しようと、必死で耐え続けていただけに過ぎない。


 今までは堪えるしかなくて、溜まり続けた鬱憤に加え――


 元々、時代を経ても尚、人間と魔族相手に降るどころか協力関係すら結ばず、独立勢力を保つだけの力があったのだ。


 大国に睨まれたら何も出来ないような小さな国程度に抗える訳もなく、飛天族は犠牲の一人も出す事無く、戦いに勝利した。


「その国を滅ぼしたのか?」


「いいや。刃向かう者を薙ぎ倒し、旦那様を奪い取っただけじゃよ。あの国が滅ぶにせよ、滅ばないにせよ、旦那様の居場所はなくなるじゃろうしな」


 力任せに壊滅させる方が、遥かに簡単ではあった。


 だが、飛天族は必要以上に人間を傷付けようとはせず、民間人は傷付けないように極力注意した上で、向かってくる相手を薙ぎ倒すだけに済ませ――


 磔にされ、処刑を待つだけになっていた男を救い出したのだ。


「それは随分と――」


 優しいというか、甘過ぎる対応に研一には思えた。


 そこまで拗れているのなら、それこそ徹底的に戦ってもよかったんじゃないかとしか、思えなかったから。


「……儂等にも打算があった。いくら恨みや戦う理由があるとはいえ、それでも国中の者を皆殺しにでもすれば、人間は飛天族に恐怖を覚え、結局我等は敵対種族と思われ、遠くない未来で人間共に滅ぼされる事になるじゃろう」


 ただ、飛天族も決して善意から面倒な戦い方をした訳ではない。


 ここで怒り任せに血と死体に彩られた凄惨な光景を生み出してしまえば、それが人間全体の飛天族の印象になり兼ねないし。


「それにある種の意地じゃな。儂等は、お前等人間とは違う。無用な殺生や争いなぞしない、と見せ付けてやりたかったのじゃ」


 ここで憎しみから関係のない人間まで殺してしまえば、欲望のまま無抵抗の飛天族を害してきた者達と何も変わらなくなってしまう。


 それはどうしても嫌だった。


 自分達は力も心も強いから、憎悪に呑み込まれなどしない。


 わざと当て付けるように、圧倒的な力を見せ付けつつも、戦とは思えないくらいに綺麗に戦い抜いたのだ。


「とはいえ、儂等の攻撃を受け消耗したところを周囲の国に襲われ、その国はすぐに滅びてしもうたんじゃがの」


 だが、飛天族の意志や思惑など周囲には関係ない。


 圧倒的な力で蹂躙され弱った国の末路なんて一つしかなく、その国は回復する暇も与えられず、地図の上から消える事となった。


「なあ、アーラさん。貴女は、この世界の人間の事をどう思う?」


 そこまで聞いた研一は、もう自分の意志だけでは判断出来なくなっていた。


 本当に自分は人間側に就くべきなのか。


 サーラ達のような一部の大切な人間を何とか説得して、共に魔族側に向かった方がいいのではないないかという想いが、抑えられなくなっていた。


「……なるほどのう。これでようやく得心がいったわ。お主のような男が、どうしてあのような事をしているのか」


 だが、研一の質問にアーラは答えない。


 何かを納得したように僅かに目を閉じて頷き、次に目が開いた時には、今までとは違う色が目に宿っていた。


「アーラさん?」


「確かにどうしようもない人間が多いとは儂も思う! じゃがな。多くの者は上の者や流れに抗う事が出来ず、今を精一杯生きているに過ぎん!」


 もう会話は不要だとばかりに、アーラは研一を睨み付けると――


 出会った時と同じように鋭い魔力と敵意を漲らせ、臨戦態勢を取る。


「それに人間達にだって、まだ愛すべき変わり者が多く残っておる! 奴等を裏切る事等、儂には出来ん!」


「待って! 急に何を――」


「しらばっくれるでない! 飛天の目は、世界中にある! 儂が何も知らんとでも思うておるのか! お主が魔族と通じておる事をな!」


(そういう事か!)


 言われて今更ながら、研一は気付いた。


 アーラは最初から研一を救世主と知りながら、敵意や警戒心のようなモノを隠していなかった。


 おそらく魔王であり、研一の恋人だった楓との戦いや会話を隠密部隊を使って見ており――


 それで研一が魔族側の手先だと思い、警戒でもしていたのだろう。


「救世主、様?」


 信じられないような目で、プロケラが研一の方を見る。


 ここですぐにでも弁明出来れば、結果は変わっていただろう。


 だが、実際に魔族側に就くかどうか迷っている後ろめたさがある状態では、咄嗟に言葉が出てこなかった。


「儂等が人間嫌いと見て、魔族共の仲間に引き入れようとしておったのじゃろうが、甘く見るでない! いくら袂を分かとうと、飛天族が魔族側に寝返る事なぞないわ!」


「…………」


 そして片翼の飛天族の長が、牽制や威嚇ではなく翼を広げ――


 裏切られたとばかりに絶望した顔をしたプロケラが、その後に続いて研一達に襲い掛かる。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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