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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第437話 善意と悪意と打算と果てに

「そして暫くして儂は、探しに来た城の者達に連れ戻された。儂の姿を見て激怒した者達が、その国を滅ぼすという話も出ておったのじゃが――」


 城の中で大事にされていたようだし、アーラ本人も姫と名乗っていたのだ。


 飛天族達の対応も当然と言うべきだろう。


「そこでは、何もせんかったよ。旦那様の居る国じゃしな。必死で旦那様の事を伝え、下手人も既に死んでおったから、そこで話は終わる筈じゃった」


「そこでは? 筈だった?」


「当時の飛天族は、救世主様に庇ってもらっただけの弱い種族と思われ、人間と同列に扱われて居らんかったからのう。そんな者を庇って同種の人間を殺したんじゃ。旦那様は罪に問われ、処刑される事が決まった」


 貴重な素材を持つ獣を狩ろうとしていた者を、その獣を守る為に殺したようなもの。


 ただ羽が生えている以外は、人と同じ姿で同じ言葉を放つ相手にそんな扱い出来るものなのかと思うかもしれないが――


 そんなのは地球だって大して変わらない。


 それこそ姿形が同じだろうが、金や欲望の為に何の恨みもない相手を踏み躙る犯罪者も居れば、大した理由もなく自殺するまで人間を虐め抜く者も居るのだ。


 相手が弱いと思っている上に大金になる羽まで生やしていると理由まであれば、どこまでも残酷になっても、何も珍しい事ではない。


「じゃが、我等飛天族は受けた恩を忘れるほど薄情な種族でもないし、さすがに人間共の蛮行もいい加減、腹に据えかねておった。そこで我々は旦那様の救出がてら、人間共に我々の力を見せる事にしたのじゃ」


 人間全体と敵対しては滅ぼされるだけだと、それまでは出来るだけ波風を立てないように大人しくしてきた飛天族だが、我慢の限界だったし。


 処刑される事なんて予想出来ていただろうに、それでもアーラを匿い続けてくれた恩人を見殺しにする事なんて出来る訳がない。


 飛天族は今回の件を大々的に周囲の国に伝えた上で、自分達の恩人を救い出す為の戦いだと大義名分を掲げ、戦を仕掛けたのだ。


「それは大丈夫だったんですか?」


 説明を受けた研一は、そのまま人間全体と飛天族の戦争に発展する事を想像する。


 当時は抵抗もマトモに出来ない弱小国だと思われていたからこそ、酷い扱いを受けていたのだ。


 飛天族の方から敵対してきたとばかりに、人間国が一致団結して襲ってくるようにしか思えなかった。


「そこまで人間も腐っておらんかった、という事じゃよ。少なくとも事の顛末を聞いて、『飛天族こそ悪だ。全員で協力して倒そう』とならない程度には、の」 


 意外かもしれないが、戦争における理由付けというのは想像以上に大きい意味を持っており、大義名分が感じられない側に味方する勢力というのは、思っているよりも少ない。


 飛天族が宣戦布告としか思えなく告知を出したにも拘らず、近隣にあった国の多くが様子見という方向に動くしかなかった。


 きっと内心では、これを機に戦に参加して羽を奪い取ろうと目論んでいた国もあっただろう。


 だが――


「いくつかの大国が大義は飛天族の方にあると言って、協力を申し出てくれていたからのう。大国に睨まれてまで、あの胸糞の悪い国の味方を大っぴらに出来る国は、居らんかったよ」


 問題の国を含め、飛天族の周囲にあったのは小さい国ばかり。


 大国に睨まれてまで、大義名分もない国に協力するリスクは冒せなかったのだ。


「無論、大国側も正義や義憤だけで儂等に協力を申し出てくれた訳では、ないがの」


 とはいえ、大国だからこそ利害関係を重視するもの。


 飛天族の羽からは、強力な魔具を作る事が出来る。


 もし多くの飛天族の羽を奪ったり、あるいは飛天族を奴隷にして羽を恒久的に生産出来るようにでもなれば、弱小国が一気に大国に生まれ変わる可能性もあった。


 だからこそ、大国は小さな国達を牽制しつつ。


 飛天族達に恩を売る事で、その羽を手に入れられる環境を自分達が得ようと画策しようとしていたという、打算的な面もあったのだ。


「……まあ、中には旦那様のような愛すべき変わり者も居ったがの」


 けれど、結局、飛天族はどの国からも一方的な恩の押し売りをされずに済んだ。


 というのも、だ。


 当時、飛び抜けた力を持った大国の党首であり、正義の暴走破壊者なんて言われていた、人間同士の戦では負けなしで、今でも歴代最強の人間と言われる凄まじい女性が居たのだが――


 これは飛天族の誇りと名誉を守る戦い。 


 我等は助力を求められるまでは、決して手出し無用だ、と宣言したからだ。


「たった一人で大国二つは相手出来るような女傑じゃったが、そこのプロケラを更に頑固にして更に真面目にして、更に暴走しがちにしたような女でな。アヤツに恨まれて、今後一生付け狙われる事になるくらいなら、我等を無視した方がマシじゃと判断されてのう」


「ふふんっ……」


(いや、どんな人だよ……。そしてプロケラさん、絶対に褒められてないよ……)


 有名な偉人に似ていると言われて嬉しいのか。


 ドヤ顔で胸を張るプロケラに内心でツッコミを入れつつ、研一は続きの話に耳を傾けていく。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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