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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第432話 羽有る者の住処

「いやあ、悪いのう。本当は客人をもてなす場所でもあれば良かったんじゃが……」


 研一達が案内されたのは、中々に大きな武家屋敷のような建物であった。


 とはいえ個人の家と考えれば立派と言うべき物件ではあるものの、国の代表の住処としては小さ過ぎるだろう。


「酒に酔った長が、城を粉々にしてさえいなければ……」


 どうやら本来は国の規模と雰囲気に相応しい、立派な城があったらしい。


 救世主様と我が国の代表が語らう歴史的場面なのに、なんて残念そうな言葉をプロケラは言いながら、咎めるようにアーラの方に視線を向けた。


「わ、儂のせいか? 報酬ならちゃんと払うと言うとるのに、大工共が修理を断ってさえいなければ、今頃元通りの立派な城があった筈じゃ――」


「苦労して修理した城が、月一くらいで吹っ飛ばされていたら、大工達だって嫌になります」


(ああ、うん。そりゃあアーラさんが全部悪い)


 呆れたように告げるプロケラの言葉に、心の中だけで研一は頷いて。


 アーラという飛天族の長は、どうやら相当に破天荒な人物なのだと認識しつつ、先を行く二人に案内されるままに武家屋敷のような建物の中へと入っていく。


(あー、うん。そうなるよな)


 外見こそ時代劇に出てくるような武家屋敷だが、内装は少し趣が違っていた。


 基本的には木造な上に扉などの仕切り部分に襖や障子が使用されていて、外見の印象通り、和風の旅館を思わせる作りになっている。


 おまけに畳の敷かれている部屋もあって、ある一部にさえ目を瞑れば、和風の旅館にでも来たような雰囲気だ。


 では、何が日本の伝統的な建物と違うのか。


(そりゃあ自由に飛べるんだから、俺達とは違う家になるよなあ……)


 気になる場所は二点。


 まず一つ目は、階段が無い。


 本来なら階段があるような場所には柱のような物があるだけで、今の研一の身体能力なら跳躍すれば楽に届くが、地球に居た頃の身体能力なら二階に上がる事は出来なかっただろう。


 そしてもう一つが、天井付近だ。


 押し入れのような収納スペースが天井に引っ付いており、床の部分が広々と使えるようになっている。


 脚立などを使わなくても高い物を取る事に困らないから、羽の無い人間は持て余しがちな天井付近の余白部分を有効に使っているようだ。


(俺でも届く事は届くけど、一々ジャンプするのも面倒だし、力加減間違えて天井とか壊しそうだし、こういうのは自由に飛べる力でもないと発展しないんだろうな……)


 それでいて窮屈には感じないようにデザインされている。


 住んでいる場所一つ取っても、空を自在に飛べる者独自の進化の在り方を感じる事が出来た。


「さて、それで儂に聞きたい話とは、なんじゃ? 訊くだけなら何でも構わんぞ。答えるかどうかは別じゃがな」


「そうですね……」


(と、今は屋敷の事を考えている場合じゃないや……)


 一階の奥にあった中庭の見える部屋に案内された研一は、屋敷の成り立ち等に想いを馳せていた思考を、本来の目的へと戻していく。


 すなわち、飛天族から見た人間とは何なのか。


「まずはプロケラさんの調べていた件。子どもに羽の無い者達には、何をしてもいいみたいな事を吹き込んだのは、貴女ですか?」


 だが、その前にやっておかなければならない事がある。


 ここまで協力してくれたプロケラの為。


 そして、目の前のアーラの話が聞くに値するか確かめる意味でも。


 先程まで調べていた事件の全容をアーラの口から語り、話そのものが信用出来るかを推し量らねばならない。


「ふむ。ここまで来たら解かり切った話ではあると思うが、確かに曖昧なまま終わらせるのも違うか」


 もはや研一の言葉を肯定しているも同然の発言だが。


 それでも明らかにしておくべきだとばかりに、アーラがその事実を口にする。


「そうじゃ。儂が直接、あの坊やに教えたぞ。羽の無い者共は我等羽有る者の力がなければ、生きていけない役立たず、だとな」


 お望み通りの答えだったか、とばかりにアーラが悪びれもせず告げる。


 ただ研一だけを真っ直ぐに見詰めて。


「バッちゃっ――! いや、長! 一体どうしてそんな……」


 アーラの口から聞くまで、信じたくなんてなかったのだろう。


 長の部下としてアーラの傍に控えているプロケラから、悲鳴のような叫びと共に、縋るような目で説明を求めようとするが――


「総司令。見て解からんか? 今、儂は大事な大事な客人と話しておる最中じゃ。質問があるなら後にせい」


 アーラは無慈悲にプロケラの言葉を切り捨てる。


 この場でプロケラに発言権なんてない。


 今は研一とアーラだけが、この場で会話を交わす資格があるのだと言外に告げるように。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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