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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第430話 黒幕登場

「そこまでにしてくれんかのう」


 まるで友人にでも声を掛けるような気楽さで音が響いた。


 だが、その程度の事はプロケラが動きを止める理由になんてならない。


「全く……。背と乳ばかり成長しおってからに。もっとこう総司令としての立場や社会の仕組みというモノを理解して、思慮深く立ち回れるようになってくれんもんか……」


 独り言でも呟いているような言い回しとは裏腹に。


 まるで全身を貫くような鋭い殺意と魔力を放ちながら、片翼の飛天族の女が佇んでいた。


(強いな、相当……)


 研一はセンを背に庇うように立ち位置を動かしつつ、いつの間にか現れた相手を睨み付ける。


 年寄り臭い言い回しとは違い、見た目は二十代前半である研一達とそう変わらないか、少し上くらいの二十代半ばくらいにしか見えない女性だ。


 けれど――


(単純な魔力量なら、楓の方が遥かに上なんだろうけど――)


 ただ圧倒的な魔力量にモノを言わせて威圧する研一や楓とは違う、鋭く研ぎ澄まされた突き刺さるような魔力操作。


 対峙した時に感じる圧力だけなら、魔王である楓さえ上回っているし。


(俺達を必要以上に傷付けようとしなかった楓とは全く違う。背筋が震えるような、敵意を感じる……)


 悪意による能力の上昇自体は、ほとんどないにも拘らず。


 少しでも目を離せば首が落とされているような、そんな不気味な気配を漂わせていた。


「な、何故貴女様がここに――」


「おっと、プロケラ。そこまでじゃ。貴様が儂の正体を言ってしまっては、ちと面白くない。ここは名推理を披露していた、探偵様に答えてもらおうじゃないか」


 おそらく乱入者の素性を口にしようとしたプロケラを止めると、片翼の女は静かに研一の方に目を向けた。


 まるで遊技でも楽しむような物言いで口元に笑みさえ浮かべているが、目は少しだって笑っていない。


「悪いんですけど、名前までは知りません。ただ立場とかは予想出来ます」


「ほう! では拝聴させて頂こうかのう」


 会話を続けながらも研一は警戒を緩めず、更にセンの傍に近寄る。


『センちゃん、もし怪しい動きを見せたら全力で戦ってくれ』


『はい、解りました! 手加減なんてしません!』


 研一の予想では、まだ敵ではない。


 だが、ここで油断するようなら逆に敵対する可能性がある。


 だからこそ研一は最大限の敬意を示す意味で、全力の警戒態勢を見せつつ――


 片翼の女性の正体について口にしていく。


「ウェンティ国の長。子ども達からは、バッちゃんと呼ばれている飛天族。それが貴女という事でいいでしょうか?」


「ほほう! 出来れば推理内容を聞かせて頂いてもよろしいかのう?」


「大した理由じゃないですよ。俺が知っている中で、プロケラさんが思わず敬ってしまうような立場が上の者って、長って呼ばれてる方しかいないっていう、ただの消去法です」


 それは推理と呼ぶには、あまりにも単純な話。


 まだウェンティ国に来たばかりの研一では、知っている情報があまりにも少な過ぎる。


 その数少ない情報の中から、可能性がある者を挙げただけ。


 だが――


「謙虚じゃのう、救世主様は。それでは儂が、バッちゃんと呼ばれている長と確信をもって言わんじゃろう? ほれ、別に襲い掛かったりなぞせん。じっくりと推理を聞かせておくれ」


「……解かりました」


『センちゃん、気を緩めないで』


『ご、ごめんなさい!』


 ここで言葉を信じて、警戒を解こうとするセンに釘を刺す。


 その研一達の態度に長扱いされた女性は、僅かだが嬉しそうに眉が動いた。


「実の所、最初に黒幕なんじゃないかと疑っていたのはプロケラさんでした。まだ国に入ったばかりだというのに、センちゃんの能力対策はされていますし、実は裏で情報を流しているんじゃないかと思いまして」


「なっ!」


 まさか研一に疑われているなんて露ほどにも思っていなかったのだろう。


 プロケラが驚きの声を上げるが、心の中だけで謝罪して、研一は話を続けていく。


「ただその疑い自体は、すぐに晴れました。さっき倒した方々。アレだけ見事に気配を消せるんです。おそらく俺が入った時からずっと監視されていたんだろうと思いました」


「当然じゃな。救世主なんて大物が入ってきたのに、そこの馬鹿正直な娘だけに案内させて放置なんて、出来る訳もあるまい」


「ええ。正直、疑ったのが申し訳なくなる程に、プロケラさんは真っ直ぐでした。それで言いたくないですが、こんな真面目過ぎる方だけで守れるほど、国を守るってのは綺麗な事だけじゃ済まない」


「ぐぬぬっ……」


 流れ球を受け、プロケラが唸っているが放置して。


 少し前、研一が内部分裂を狙った情報操作の話をしたが、この手の策略は、そもそも知っていないと工作を仕掛けられている事にさえ気付けない。


「そうなってくると絶対にプロケラさんが把握してない、裏の仕事を請け負う部隊があるだろうと思いましてね」


「その通り。先程、お主等が打ちのめしてくれたのは、儂直属の隠密部隊じゃ」


 今まで数々の侵略を跳ね除けてきた以上、武力以外の力。


 情報戦や諜報能力に長けた者達が居るだろう、と研一は予想したのだ。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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