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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第425話 裏工作要員

「……何の根拠もないと言った割りに、随分な物言いだな」


 まるで飛天族の上層部が印象操作をしていると決め付けるような研一の言葉に、初めてプロケラの顔に怒りと不快さが浮かぶ。


 無理もないだろう。


「我の周りにそんな姑息な真似をする者なぞ居らん。無論、我自身だってそうだ」


 プロケラ自身、軍を預かる総司令の立場であり、上層部側の人間だ。


 いくら救世主贔屓のプロケラとはいえ、自分や仲間を何の証拠も無しに悪し様に言われれば怒って当然だ。


「……俺さ。プロケラさんみたいな方って好きですよ。姑息な事は全部卑怯だとかズルいって思ってしまうくらい真っ直ぐで。本当に馬鹿にする訳じゃなく、大人になってもそういう眩しさを持っていられる方って滅多に居ないので」


「な、何を急に言って……」


 だが、突然の研一の言葉に怒りを持続出来なくなってしまったらしい。


 先程までの一触即発の剣幕は、どこへ行ってしまったのやら。


「大体、その、なんだ。そういう言葉は、もっと仲良くなってから順序立てて言ってくれないと、我としても色々困るというかだな――」


 好きという言葉を恋愛的な意味として捕らえたらしく。


 顔を赤くして視線を逸らしつつも、それでも満更でもない表情で、研一の様子をチラチラと窺い始めた。


「ただ、そんな真っ直ぐな考えだけじゃ守れない事って、たくさんあるんですよね」


 けれど悲しいかな。


 別に研一はプロケラに恋愛感情を抱いておらず、さっきの賛辞も別にプロケラと仲を深めようとして告げた訳ではない。


 言葉と共に、研一は周囲を威嚇するように魔力を放出し、戦闘態勢を取る。


「む? お前等、いつの間に? いや、それよりどこの隊の者だ?」


 それでプロケラも気付いた。


 研一達を二十を超える飛天族の者が取り囲んでいた。


 警備隊が着ている物に似た天狗衣装を着ているが、軍を預かるプロケラさえ見た事が無い装飾が施されている上に、全員が顔を隠すように天狗の面を付けている。


「…………」


 音も気配もなく忍び寄って来ていた天狗面の集団は、プロケラの問いに何も答えない。


 研一達を逃がさないとばかりに、無言で包囲を狭めていく。


「……救世主様。もしや先程の話は我ではなく、コヤツ等に聞かせようと?」


「いやあ、それが本当に話し始めた時は何の根拠もない推論でして。どうやって謝ろうかって本気で悩んでたくらいなんですけど――」


 黒幕が居るかもしれないと予想を話し始めた時には、本当に何の根拠もなかった。


 だが、プロケラに推理を披露している最中に研一のスキル、悪意を向けられる程に強くなるスキルの効果が教えてくれたのだ。


 何者かが研一に悪意や不快感を向けている。


 それは印象操作をしている者が居るという話を始めた時から増え始め、権力者こそが黒幕だと告げた瞬間、一気に膨れ上がったのだ。


「どうやらこの話をプロケラさんにされると、非常に困る方達が居るみたいでして。だから途中からは、あえて悪し様に言わせてもらいました」


 そこで監視している者達の存在に気付いた研一は、相手が怒って飛び出してくれるように、わざと決め付けるような言い方をしたのである。


「それでコイツ等が出てきたという事は――」


「まあ俺の当てずっぽうの推理も、当たらずとも遠からずって感じですかね? プロケラさんも知らないところを見るに、そういう情報操作とか特殊工作専門の部隊が、裏で作られていたって感じだと思います」


 そこで研一はセンに視線を送る。


 天狗面の集団の心を読み、自分の予想がどこまであっていたのか。


 心を読んで確認してほしいと、視線だけで頼んでみたのだが――


「け、研一さん……」


「へ?」


 予想に反して、センが戸惑った様子で首を振っていた。


 あまりにも暗過ぎる表情に、研一の頭に最悪の想像が浮かび、全身から冷や汗が噴き出していく。


(もしかして、俺の予想、全部外れてた?)


 もし推測が全部外れているのなら、研一は嘘八百の出鱈目をプロケラに吹き込み、騙そうとしていた事になる。


 そうなるとこの周りの天狗の面を被った者達は、騙されたプロケラを救い出し、研一を懲らしめる為にやってきた正義の集団という事になってしまう。


 だが――


「あ、違います。この方達、心が読めないんです……」


 センの表情の意味は違った。


 研一の役に立てないかもしれないという不安から、表情を曇らせていただけだったのだ。


「精神関係に働き掛ける魔法は強力な反面、知ってさえいれば対策は取れるからな。大方、あの面に魔法を妨害する細工でも掛けられているのだろう」


 そこでプロケラからセンの魔法が通用しない絡繰りが語られる。


 どうやらセンが読心系の能力を持っている事は、飛天族の部隊には既に伝わっており、対策も十分に取られているようだ。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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