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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第421話 陰謀論と呼ぶには――

(それにしてもこの世界、魔力持ちの男不足が深刻だな……)


 今回の事で不意に研一の頭に浮かんだのは、この世界での男女事情。


 前にも別の国で強い魔力を持っているというだけで、女には困らないという話を聞いた事があった。


 だが――


「プロケラさん! これ以上は聞いて回るだけ無駄です! 研一さんに群がる女共が増えるだけ! そうですよね!」


 現在調査しているのは、モテる男の傾向では断じてない。


 飛天族から見た人間や羽のない者達への印象こそが重要であり、センの言うとおり、これ以上調べたところで進展は少なそうだ。


「う、うむ。確かに……」


 それはプロケラも認めるところであり。


 センの勢いに押されて頷いてしまった面がある事は否定出来ないが、それでも無作為に聞いて回るだけでは、これ以上の進展が望めないのは事実。


「というより、これで大まかには調べられたって事じゃないですかね?」


「救世主様? それはどういう――」


「子どもの件があったり、自分自身が魔力が弱い筈の男って嫌がらせを受けていたズンケさんのような人以外からすれば、そもそも大して関わりもない山の者達の事なんて、どうでもいい話でしかないんだと思います」


 一見すると、何の進展もない無駄な時間に見えたかもしれない。


 だが、それはプロケラが調査の本質を見失っているだけだ。


 調査とは文字通り、調べる事に意味がある。


 宝探しのように望んだ物が出てこなければ失敗という話ではなく、こういう意見が多かったという結果さえあれば、それで十分に成功なのだ。


「大して関わりのない相手より、目の前に居る良い男の話の方が遥かに重要。それが解かった事こそが成果、という事か」


 プロケラも理解した。


 最初にズンケのように有意義な話が聞けたから誤解していたが、興味なんて欠片もないという態度こそ、何よりも大事な情報だったのだ。


「それじゃあ次はもっと、具体的に的を絞って調べて行きましょう」


「む? 既に大まかに調べ終わったという話では――」


 これ以上は調べても意味がない。


 そういう話になっていくと思っていただけに、更に続けようとする研一の姿に、疑問を隠せない様子のプロケラの声を遮り。


 研一は言葉を続けていく。


「飛天族の方が死ぬような事故が起きてるっていうのに、警備隊の方達ですら、山に住む人達に悪意どころか、どうでもいいって印象でしたよね?」


「あ、ああ。誠に遺憾だが――」


「いやいや。俺は大らかでいいと思いますよ。この件に関しては、むしろ飛天族の方に好印象を抱いてますし」


 仮にこれで他の飛天族も羽の無い者達を馬鹿にしまくっている上で、自分達は無関係だなんて思っている集団だったなら、研一は飛天族の事を嫌いになっていただろう。


 だが、そうではない。


 本当に良くも悪くも、山の者達に興味なんてないのだ。


「ただ、それならあの子どもは、どうして山の者達を馬鹿にしていたんでしょうね?」


「……あまり言いたくはないが、子どもなんてそんなモノだろう。自分達と少し違う程度の事であっても指摘して揶揄い、遊びのつもりで傷付けて楽しむ。そういう無邪気でありながら残虐な面がある」


 本当はプロケラだって、わざわざ口に出して認めたくないのだろう。


「救世主様の世界では違うのかもしれないが、少なくとも我等飛天族の子どもは、皆が皆、そんな優しい存在ではないよ」


 それでも砂でも吐いているような、痛ましい姿で言葉を絞り出す。


 子どもが可愛らしいだけの存在だなんて、それは妄想でしかないのだ、と。


「そこは否定しませんよ。きっとどこの世界だろうと、クソガキなんてのは居る。それも驚くほど多くね」


「む? では救世主様は何を――」


「ただね。それにしては、あの子どもの言葉は、あまりに具体性が強かった」


 うわー、コイツ等羽無いぞー。


 みたいな幼稚な嫌がらせだったなら、きっとそれは子どもだけの問題だった筈。


 今の内に徹底的に叱って悪い事だと教え込めば、何とかなったかもしれない。


 だが――


「羽のある自分達が守ってやってるんだから何してもいい。これは自分達と見た目が違うから揶揄ったとか、そういう視点からは絶対に出てこない言葉です」


 問題の子ども、ルディスの言葉は、決してそんな単純な内容ではなかった。


 おまけに事実無根の出鱈目という程でもない。


 羽のある側に有利なように捻じ曲げられている部分はあれど、根拠に基づいた話。


 とても国軍とか総司令なんて言葉すら理解出来ない子どもが調べて考え出した言葉とは、思えない。


「救世主様、それは……」


 そこまで言われて、ようやくプロケラも理解した。


 けれど、口に出して肯定するのは躊躇われ、思わず言葉に詰まってしまうが――


 研一は迷う事無く、答えを声に出した。


「多分、どっかに居ますよ。羽の無い者達を好きに虐めてもいいって吹き込んでいる大人が」


 これは子どもの単純な嫌がらせの話ではない。


 悪意を持った何者かが、子どもに印象操作をしている。


 まだ証拠も何もない状態だが、それでも研一は黒幕の存在を確信していた。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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