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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第417話 力こそが全て

「本当に本音を言わせてもらえればね。てっきり俺は、殺されるかと思ってビクビクしてたんですよ」


 プロケラが研一を連れてきた瞬間、ズンケは冗談抜きで死を覚悟していた。


 何故なら話の経緯から考えれば、ルディスが無礼を働いたのはプロケラと同行していた人間であり、その人間は魔力量から考えて、確実に報告に会った救世主。


 となれば大恩ある救世主に無礼を働いた罪で、一家諸共、処罰しに来たとしか思えなかったからだ。


「要らぬ心配を掛けたな。本当に話を聞きたかっただけだ」


 そこでプロケラは事情を大まかに話していく。


 ズンケ本人や家族の心配をしながらでは、本人に誤魔化す気はなくても言い訳や保身の言葉が増える可能性があると思ったからだ。


「ああ、なるほど。そういう事ですかい……」


「それで実際お前としては、どう思っているんだ?」


「俺としちゃ、さっきと変わらねえです。翼があろうがなかろうが、要はそいつが口だけのヤツじゃないかですね」


 ズンケの意見は変わらない。


 力もなく喚き散らし奴は羽の有る無しに拘わらず嫌いだし、口に見合った力を持つ奴は羽の有る無しに拘わらず好ましい。


 だが――


「ただ頭領の期待に添える考え方してるかってなると、俺としては微妙ですね」


 決してズンケは、博愛主義者ではない。


 ある意味では飛天族らしい飛天族であった。


「そうなのか?」


「頭領としてはウチのガキが羽の無い連中に嫌がらせしたのが問題だと思ってるんだよな? 俺はその辺に関しちゃ、別に問題にしてねえんだ」


「何? それはどういう――」


 今までの話の流れからは想像出来なかったズンケの言葉に、プロケラの目付きが鋭くなる。


 飛天族でも羽のない者でも平等に扱うという、自分の考えを理解してくれる者が居た。


 そんな風に考えていただけに、裏切られたように感じてしまったのだ。


「睨まんでくれよ。忌憚のない言葉を聞かせてくれって言ったのは、そっちだろ?」


「あ、ああ。スマン。続けてくれ」


 けれど、ズンケの言う通り。


 本音を聞かせてくれと頼んだのは、プロケラの方なのだ。


 一旦疑問や怒りは全て置いて、素直に謝罪しつつズンケに話の続きを促していく。 


「俺がウチのガキに怒ったのはテメェ本人の力じゃない、俺の力を振り回して他人に言う事を聞かせてたからだ。もしウチのガキが自分の力と意志でやってたなら、多少の注意こそすれ、怒る気はねえさ」


「だが、それは――」


 力があるならば、弱い者に何をしてもいい。


 ズンケの理論の行き着く先は、そんな力だけで全てが決まる世界だろう。


「頭領の言いたい事も解からなくはないぜ。けどさ、言いたくねえが、俺はそれが生きていくって事だと思ってる」


 プロケラの表情の変化から、何を考えたのか察したのだろう。


 それでもズンケは力こそが全てだと言わんばかりの態度を崩す事はせず、むしろそれこそが真実だとばかりの態度で語った。


(確かに力がなければ味方の居ない我等なぞ、侵略されて終わり。やはり、それが飛天の者の宿命だというのか?)


 プロケラだって自分の考えが、理想論でしかない事くらい解かっている。


 力が無ければ自分の身一つ守れない。


 だから力が何よりも重要となり、力を持つ者だけが全てを支配していくのが当たり前なのだろうという考えを、否定する事は出来なかった。


「ただ頭領。一つ誤解しないでほしいのは、俺は力ってのは、暴力だけじゃねえとも思ってるんだ」


「どういう事だ?」


 やはり自分の考えは甘過ぎるのか。


 そんな風に悩むプロケラに、それはあまりに短絡的だと言わんばかりに、ズンケは言葉を続けていく。


「頭領もウチのガキに言っていたようだが、食糧を作っているのは山の連中だって話さ」


「それがさっきの話とどういう関係が――」


「まあ聴いて下さいよ。単純な殴り合いなら俺達の方が上だからって、それで威張り散らかして、機嫌損ねてみたとします。それで不出来な作物とか納品されたって、俺達にゃ解からねえじゃないですか?」


 戦闘能力なら山の者達が束になって掛かってきたところで、ズンケは負ける気がしない。


 だが、山の者達の力は、そこじゃない。


 仮に不作だと伝えられて隠蔽工作までされて農作物を隠されでもしたら――


 畑を耕すどころか、雲の上で暮らし続けて大地を踏んだ事すらない者達に嘘を見破る事なんて不可能に近い。


「魔具に関してもそうだ。もし見た目だけ新品同様に綺麗に整えつつ、少し使ったら壊れたり暴走するように整備されてでもみろよ。それに気付かず、あのクソ鳥共と戦いでもしたら、俺なんかじゃ一発で、あの世行きだ」


 天狗を思わせる戦闘装束は、決して過去の伝統をなぞった形だけの服ではない。


 全ての装備が飛天族の抜け落ちた羽や雷鳥の羽を加工して作られた物であり、魔力の強化や制御に一役買っている。


 もし悪意を持って調整されれば、冗談抜きで死活問題になり得る。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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