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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第415話 百の話よりも一の実地体験

「あの子どもの件、かあ。んー……」


 羽のない者達に付いて周囲がどう思っているのか。


 子どもの事を通して、プロケラが真剣に考えていた事は研一も知っている。


 だからこそ、安易な閃きで乱雑な答えを返す訳にもいかず、暫し研一は思案に耽った結果、導き出した答えは――


「正直、現状じゃ俺からは何も言えない」


「そ、そうか。いや、そうだな。救世主様は、魔族との戦いで忙しいのだ。我の些事に余力を割いている暇もないのだろう。変な事聞いて申し訳なかっ――」


 まさかの無回答。


 これにはプロケラも戸惑いを隠せないものの、よく考えれば救世主。


 人類の存亡を賭け、魔族と戦う立場なんだから仕方ないとばかりに理解を示して、話を終わらせようとするのだが――


 プロケラの考えは、すぐに覆される事になる。


「んー、そのさ。色々知りたい事があるから、偉い人に会わせてほしいって言ったのは俺だけどさ。それって後回しにする事って出来る?」


「は、はあ。それは無論、可能だが――」


「周囲がどう思っているとか、子どもの親がどう思っているかなんて、勝手に想像するだけじゃ何も解からないからさ。いっそ全部調べてから考えようよ」


 あくまで『現状では』何も言えないだけ。


 推測に推測を重ねたところで答えなんて出せる訳ないんだから、答えを出す為に必要な事を片っ端から調査していこう、と研一は提案する。


「え、いや、しかし。我の為に救世主様の手を煩わせる事など――」


「それ言い出せば俺達の案内の為に、えーと、何だっけ? 軍団統括長?」


「総司令だが――」


「ああ、そうそう。全軍の総司令様を独り占めする事だって大概おかしいでしょ」


「い、いや。我等種族全体の恩人である救世主様には、これでも足りないくらいで――」 


「その救世主様ってのは、別に俺本人の事じゃないしね。そこまでしてもらう理由なんて、最初からないよ」


「だ、だが――」


「それに俺の知りたい事にも繋がっているから、むしろ俺から頼みたい」


 これは本音だ。


 偉い人に今までの歴史とかだけを聞いて、人間や飛天族の関係を解かった気になろうとしていた事の方が、おかしかったのだ。


 現地に住む者達の話や様子を実際に確かめて、その果てに判断していく。


 最初からそうすべきだったのだ、と今では研一は思っている。


「その、駄目かな?」


 とはいえ研一としてもプロケラに無理強いは、したくない。


 我儘を言って困らせてしまっているかな、と僅かに不安の表情を覗かせるが――


(研一さん! その声と表情は卑怯過ぎます!)


 それは研一本人も意図せず、どこか甘えてくれているようにすら見える仕草になっていて。


 隣で見ていたセンさえ、今だけは正面からじっくりと眺めたいと思わせる程に、普段の優しくも頼りがいのある研一とは違う、愛らしさが滲み出ており。


「いえいえ! 是非我に協力してほしい!」


 真っ直ぐ正面から見せ付けられたプロケラに、抗う事は出来なかった。


 駄目じゃないと言わんばかりに、反射的に必死で捲し立ててしまう。


「無理言ってごめんね?」


「……いえ。助けて頂けるのは我の方なので。むしろこちらから礼を言わせて頂きたく――」


(何という凄い方なんだ。すぐにでも長に会って話を聞きたいだろうに。悩んでいる我を放っておけず、自分の為だなんて嘘を吐いてまで協力してくれるなど。中々、出来るような事ではないぞ……)


 プロケラの方が悩みの解決に協力してもらう立場だというのに。


 一切恩を着せる様子がないどころか、まるで我儘を聞いてもらって悪いと言わんばかりの態度に加え、研一が長に会うという目的を差し置いてまで、自分を助けてくれているという勘違いも重なり――


 研一を見るプロケラの目に好意と尊敬が色濃く宿っていき。


(……うん。研一さんも満足してるし、プロケラさんの悩みも解決に向かっていく。これで全部よかったんだ)


 そんな光景を眺めたセンは。


 どこかヤケクソ気味に、無言で並べられている鳥料理を貪り食っていくのであった。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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