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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第413話 爆発する旨み

「……なるほど」


 本当は後回しにしていい事案だと、割り切れていないのだろう。


 看過出来ない非常に由々しき事態だと思いつつ、かと言ってどう動いていけばいいか解からないし、解決にも時間が掛かる。


 それならば、まずは研一達を長の元に案内するという、やるべき事が解かり切っている事に集中しようとしたのだろう。


「その、救世主様は――」


「お待たせしました! 雷鳥の詰め合わせです!」


 そこでプロケラが、何かを研一に訊ねようとした時だった。


 タイミング悪くと言うべきか、店員が注文していた料理を持ってきてくれたので、弱々しいプロケラの問い掛けは掻き消された。


(これは異世界の料理らしさこそ、全然ないけれど――)


 研一も目の前に用意された料理に興味が向いてしまい、プロケラの態度の変化を見逃してしまう。


 だが、それも仕方ないのかもしれない。


 目の前に並べられたのは、唐揚げや焼き鳥っぽい物に、何かタレのような物が掛かった蒸した鳥の切り身のような物や濃い不透明な色のスープなのだ。


 周囲に翼が生えている者達さえ居なければ、居酒屋何かに来たとでも思うような見た目の料理が並んでいる上に――


 匂いだって未知の物ではなく、どこか懐かしささえ覚える嗅ぎ慣れた匂いなのだ。


 ――おまけに箸まで当たり前のようにある。


 ごくり、と研一の喉が鳴る。


 どこか見慣れた光景に、無意識に想像してしまったのだ。


 唐揚げを噛み締めた瞬間に、じゅわりと口いっぱいに広がる油の旨みに、くどささえ感じてしまう程の強過ぎる程の旨みを中和でもするように白米を口いっぱいに詰め込んで――


「如何されましたか? 欲しい物があれば追加で注文致しますが……」


 そこで研一が怪訝そうな表情をして、並べられている料理を見回している事に気付いたのだろう。


 プロケラが声を掛けてきてくれた。


「その、米ってないんですかね?」


 机の上には所狭しと鳥料理は並んでいて、添えられるように野菜だってある。


 だが、白米はどこにも見当たらない。


「……申し訳ない。米は生産量が少なく、大衆向けの店では扱っておらんのだ」


「あ、いえいえ。プロケラさんが謝るような事じゃないですよ……」


「長の場所でなら食べられると思いますので、米はそちらまで我慢して頂ければ……」


「いえいえ! 本当に気にしないで下さい」


 露骨に気落ちしてしまったところを見せてしまった事に気付いて、慌てて研一は取り繕う。


 割と見慣れた感じの料理が出てきたからって、無意識に米までもあると期待した研一が悪いだけ。


(やってしまった。前に高級な焼肉屋に連れて行ってもらった時の事を思い出す……)


 日本に居た頃にも似たような失敗として、高級焼肉店で白米を注文しようとして呆れられた事がある。


 高級な焼肉店には白米を置いてない店も結構あり、良い肉こそ米と一緒に食べたい派の研一は、当たり前のように米を求めてしまったのだ。


「それじゃあ早速、御馳走に――」


 場を誤魔化すように、研一が唐揚げを口にした瞬間だった。


 口内を走り抜けた衝撃に、思わず何も言えなくなってしまう。 


「救世主様?」


「こ、この料理は?」


 噛み締めた瞬間、まるで炭酸の詰められた駄菓子のようにバチバチと口の中で弾けたかと思うと、爆発するように油の旨みが広がったのだ。


 見慣れた唐揚げにしか見えないのに、日本では全く体験した事のない新感覚。


  じゅわりと口いっぱいに油の旨みが染み渡っていく慣れ親しんだ唐揚げの美味しさとは違う、旨みが一瞬で駆け抜けていくような鮮烈な体験に、研一は目を白黒させるしかなかった。


「雷鳥の唐揚げだが――」


「かみなりどり?」


「ウェンティ国付近に生息している、ちょっと面倒な魔獣だな。全身から雷を放ち、獲物を感電させて動けなくしてから喰らう習性を持っているのだが、コイツの放つ電撃は広範囲な上に長く身体に帯電してな。空で受ければ大体の者は、そのまま地上まで墜落させられる事となる」


「それは、また……」


 飛天族がどれほどの耐久力を持っているか解からないが、それでもこの高さだ。


 下に雲がない場所で戦う事になれば、電撃一発で致命傷になり兼ねない。


「だが、だからといって我等の国の傍まで引き寄せて戦う等、有り得ない。あんな危険な魔獣、民間人に近づけさせる訳には、いかないからな」


 だからって、安全な場所で戦うなんて有り得ない。 


 民衆を守る為に己の命を賭して足場のない空で雷鳥と戦い勝利を掴める者達だけが、飛天の戦士を名乗れるのだと、プロケラは語っていく。


「だが、この通り。その身体に秘められた魔力の影響か。食べれば他にない刺激的な美味さを持った最高の肉となるのだ。おまけに羽や嘴も魔具の道具になるので、苦労して倒すだけの価値はある」


「ふむふむ……」


「身勝手な話ではあるが、適度には現れてほしいものの、一気に大量に出て来られると非常に困る。そういう存在だな」


「なるほど……」


 どうやら話を聞くに、飛天族の方から巣などを探して狩りに行く事はないらしい。


 人間や魔族に対しても撃退するだけの力があるのに、攻めていったという話を聞かないから、そういう価値観なのかもしれない。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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