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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第412話 本当に事件は終わったのか?

「その、だな。まず最初に伝えておくのだが、子どものした事に対する処罰として厳しいと思われるだろうが、我は宣言通り、あの子の父を隊長から外す」


「そうなんですね」


 ポツポツと語り始めたプロケラの言葉。


 てっきりアレは子どもに対する脅しのようなモノであり、実際には何もしないだろうと思い意表を突かれたが、それでも表立って反応すれば続きを話し難くなるだろうと感じて。


 内心の動揺を必死で押し殺し、努めて冷静に返す。


「あ、ただ誤解しないで頂きたい。優秀な人材は常に仕事に追われ、子どもと触れ合える時間が少なくなりがちだ。その結果、教育が行き届かず、ああいう子どもに育ってしまうのだと我は思っている」


「ふむふむ」


「だから一時的に隊長職から外し、あの子と父親が触れ合える時間を作ろうと思っているのだ」


(思ってたより色々考えてた! 何か生真面目で融通利かない脳筋タイプかな、とか勝手に思っててごめんなさい!)


 研一的には、世間的には厳しいとか子ども相手に大人げないとか言われようとも、アレくらいやらないと駄目だと思っていただけに。


 自分とは比べ物にならないプロケラの思慮深さに、心の中だけで土下座しつつ。


 それでも編に謝って、話を遮らないようにして続きを促す。


「恥ずかしながら飛天族は、階級こそが絶対という風潮が横行している。常に人間や魔獣、魔族といった外敵に脅かされている都合上、強く階級の高い者が権力を持つのは仕方ない面ではあるだろう」


 飛天族は人間とも魔族とも言えない立場だ。


 味方なんてどこにも居らず、自分達の身は自分達だけで守らなければいけない以上、強い者が優遇される流れが出来ていったのも、当然の流れと言えるだろう。


「だが、私はそれでは駄目だと思っている。権力と善悪は切り離して考えていくべきだ。力があるから何をしてもいい。そんな空気は変えていかねばならん」


 けれど、強さこそが絶対という価値観の恩恵を、一番受けられると言ってもいい立場である筈のプロケラが、その状態を健全とは思っていなかった。


 良い事をすれば強さに関係なく評価されるべきだし、逆に悪い事をしたなら立場に関係なく罰されるべき。


 それこそが正しい姿なのだと言わんばかりに、プロケラは力強く語る。


(立派過ぎる……)


 その思想を推し進めたところで、他の隊長達に恨まれるだけだろうに。


 それでも力強い目で理想を語るプロケラの姿には、迷いも嘘も無いように見える。


「それなら何をそんなに悩んでいるんです?」


 だからこそ、解からない。


 ここまでの話を聞くに、子どもへの対応は妥当でしっかり考えられているし、その処罰を与える理由だって、確固たる主義や信念に基づくモノ。


 情緒不安定になる謂れなんて一つもなかった。


「……あの子どもが往来で二人を馬鹿にしていたというのに、我以外に誰も止めようとしなかった。それが気になって仕方なかった」


「なるほど、ね」


 事実、子どもの処罰に関しては、プロケラは本当に悩んでいないのだろう。


 誰に恥じる事もない対応をしたと、本人も確固たる自信を持っている。


 だからこそ、プロケラは悩むのだ。


 どうして自分以外に、誰も子どもを注意しようとしなかったのか、と。


「それは周囲も翼無き者達を馬鹿にしてもいいと当たり前に思っているからなのか。それともあの子の父親が隊長だという立ち場に怯えているから注意したくても出来なかったのか」


「ふむ」


「もし立場の問題だけならば、今回の処罰でしっかり父親と触れ合い、良識を学ぶ事で、この件は終わり。後は今まで好き勝手していた分の謝罪や償いさえ終えれば、それで万事解決。これ以上、我が何かするのは越権行為にも程がある」


 ただ子どもが親の立場を振り回していただけならば――


 父親に叱られ、共に過ごし。


 その結果、今までの行いを反省して心を入れ替えるなら、プロケラとしても厳しい対応をした甲斐があったと満足して、この話は終わりだ。


「だが、もし周囲も羽無き者達を当たり前のように下に見ていたからこそ、誰も注意しなかったのだとしたら? そして、あの子の意見こそ、親の教育の結果だったなら――」


 けれど、もしあの子どもの言葉こそが大多数の意見であり、プロケラこそが少数の異端派となると、話は大きく変わってくる。


 もし父親こそが羽のない者達なんて俺達の奴隷だ、みたいな思想をしているのなら、父親と触れ合う機会があったところで、根本的な部分は何も変わらない。


 精々、プロケラは羽無しがお気に入りみたいだから、プロケラの機嫌を損ねない為に、羽のない奴等にも優しくしとけだとか。


 子どもが親の立場を使って遊ぶなと言われて終わりだろう。


「本当に申し訳ない。救世主様達の案内に比べれば、後回しにすべき事案だとは思っている。だが、どうしても気になって集中出来なかった」


 まだ自分にはあの子どもや羽無き者達への扱いに対して、何かやり残しがあるんじゃないだろうか。


 それが心に引っ掛かり、集中出来なかったのだとプロケラは告げる。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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