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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第九部 羽人と空の上にある国

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第411話 凹み気味のプロケラ

「お待たせして申し訳ない、救世主様。どうしても優先しなければいけない事が出来てしまいまして……」


 泣いてる子どもを背に、研一達の元に戻ってきたプロケラの顔は僅かだけ、暗く見えた。


 それは決して大して気にしていないという事ではない。


 必死で普段通りに振る舞おうとしているだけだという事が、プロケラとの付き合いなんてほとんどない研一達にさえ、顔を見るだけでも解った。


「いえいえ。望外な程に良くして頂いてますし、待つ事自体は問題ないです。だから俺達の事は気にしないで頂ければ……」


 特に急いでいる訳でもない。


 むしろ初手で国でも有数の地位に居る者と交流を持てた上に、本拠地に案内してもらった上に、お偉いさんに取り次いでもらえるのだ。


 はっきり言って順調過ぎるくらいで、この程度の寄り道にどうこう言う気はない。


「それより大丈夫ですか? その――」


「プロケラさん、辛そう。少し休んでからでも、私達は大丈夫だから……」


 研一もセンも、ただ純粋にプロケラが心配だった。


 仮に先を急ぐ旅路だったとしても、同じような事態になっていたなら、きっと二人は少しばかしの休憩を提案していただろう。


「いえいえ。お気になさらず。御見苦しいところをお見せして、申し訳ありません。すぐに案内の続きをさせて頂きますので」


 気遣いなんて無用だとばかりにプロケラは笑うと、先に立って歩き出す。


 足取り自体は力強く、それだけなら気持ちを切り替えたのだと判断していただろうが――


 その後のプロケラは、明らかに精彩を欠いていた。


「あそこの飯屋では名物の、えーっと、何だったかな。とにかく美味しい物が食べられます」


 説明している最中に度々言葉に詰まり。


「も、申し訳ない! 緊急時以外は街中を一定以上での高さで飛ぶ事は認められて居ない事を、ついド忘れしていまして……」


 道を間違えて、行き止まりにぶち当たり、迂回する事数回。


 さすがにこれで放っておく事は出来なかった。


「一旦休んで落ち着きましょう。ほら、さっき紹介してくれた場所でご飯でも食べて……」


「そ、そうです。私も丁度お腹が空いてきましたし!」


「申し訳ない……」


 プロケラ自身、上手く出来ていない自覚があったのだろう。


 気を遣った態度で二人に休憩を促されては、拙い案内を続ける訳にもいかず、来た道を戻ろうとする。


「えーと、先程の飯屋は確か――」


「プ、プラケラさん! そっちじゃないです! 研一さんも指摘してください!」


「え? この道じゃなかったっけ?」


「研一さんって、割と方向音痴だったんですね……」


 たった一回教えてもらっただけで道なんて覚えられる訳ないだろうと言わんばかりに、完全に間違った道へ進んでいこうとする研一の姿に。


 意外そうにセンは僅かに驚きつつも、得意気に前を歩き二人を先導していく。


 ――尚、さっき焦ってプラケラと呼び間違えた事には気付いていなかった。


「ほら、こっちだったでしょ?」


 さすがに自信満々だっただけの事はあり、迷う事無く目的地である飯屋に辿り着いた。


 外観は時代劇に出てくる団小屋のような雰囲気だったが、中は思っていたよりも近代的と言うか、完全に木造という訳ではないらしく、和風喫茶のような雰囲気だ。


「あ、プロケラ様! ご注文は、いつものでよろしいですか?」


「ああ。いつものを三人前、頼む」


 声を掛けてきた店員に勧められるまま、プロケラが全員分の料理を注文する。


 どうやら顔を覚えられるくらいには通っている店のようだが、様付けで呼ばれる辺り、プロケラが相当な立場の人物だと知っているだろうに。


 それでも親しげに対応されている辺り、立場を振りかざす事もせず、丁寧に接しているのだろうプロケラの普段の様子が窺えた。


(……けど、そんな通い詰めている店の場所さえ、解からなくなっていたのか)


 これは想像以上にショックを受けている。


 下手に気を遣って話題を避けるよりは、こちらから切り出した方がいいだろう、と意を決して研一は口を開いていく。


「さっきの子どもの件、ですよね?」


「お恥ずかしい。あれしきの事で平静を保てなくなるとは」


「何に悩んでいるんですか? 話すだけでも自分の考えが整理されて楽になったりしますし、俺の意見でいいなら訊いてくれたら答えますけど……」


 こういう時、自分の方から意見を告げる事を研一はしない。


 何故なら、まだ悩みの核が解からない。


 ここでさっきのは子どもに対しては、少しやり過ぎだったなんて言ってしまって、それが悩みの本質に半端に掠りつつ、けれどどこかがズレていた場合。


 逆にそれで話が終わり、二度とこの話をしてくれなくなる可能性さえある。


(その辺を上手くこなせるコミュ力もないしね)


 別に自分は悩み相談の専門家でも何でもないのだ、と割り切って。


 まずは話したいように、全て話させる。


 何の事情も知らないのに訳知り顔で自分の下らない言葉を伝えたところで、碌な事にならないのだから。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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