↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第一章 サキュバス達の住む場所

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

344/460

第344話 はぐれ魔族、プルケル

「お、お待ち下さい!」


 そこで研一達の正面にある、砂しかないように見える場所から声がする。


 と同時に、サラサラと砂だけの景色が崩れていく。


 結界が崩れて、隠されていた場所が露わになったのだ。


「悪気はなかったのです! 救世主様と魔人の方が来られると聞いていたので、別の一団だと思って隠れて居ただけでして……」


 そこに居たのは、複数の人間、いや、おそらく人型の魔族の者達であった。


 人型と確証できないのは、頭から足元まで外套で覆った恰好をしており、顔どころか体格さえ全く解からない上に。


 逆光になっているせいで、黒くて長い棒のような影にしか見えないからだ。


「ええと、その、闇野研一様と、そのお仲間様達という事で大丈夫でしょうか?」


 かろうじて解かるのは、応対していくれている者が、声の高さや雰囲気的には、女性の確率が高いという事。


 そして、上ずった声から相当に焦っているくらいだろう。


「ああん!? なんだ、テメェ! こっちが悪いって言うのか!」


 魔族に嫌われてもスキルには何の影響もないし、こんな場所で隠れ住んでいる魔族なら、スキルの情報が外部に漏れる可能性も少ないだろう。


 だから、本当なら紛らわしい事をしてスミマセンなんて謝って、丁寧に応対する道もあった。


(クエストさんが同行してなければ、そういう選択も視野に入れれたけど――)


 だが、今は自分が悪党ではないのだとバレる訳には、いかないし。


 もう一つ、気になる事がある。


(わざわざ俺を指名してまで呼び出したんだ。さすがに警戒は、させてもらう……)


 この魔族達は一体、自分に何の用があるのか。


 それが全く解からない状況で、手の内を全て晒すような真似は、避けたかった。


「そっちから呼び付けてきたから、わざわざ来てやったってのによぉ! これじゃあ気分が悪いぜ。おい、クエスト。帰るぞ」


 わざわざ名指しで呼び出す以上、下手に帰すような事はしない筈。


 もしこのまま帰されてしまったら、そうなってしまったら、その時に何とかしようと考える研一であったが――


「えー! 折角、はぐれ魔族から、お招きされたんだよ! 絶対にここにしかない技術や知識があるって! 残ろうよー!」


 予想外の人物に引き留められてしまう。


 クエストが魔族達に見られている事なんて気にもしてないかのように、恥も外聞もなく、研一に縋り付いてきたのだ。


「てめ、こら、離しやがれ!」


「やだやだやだやだー! 残るって言わないと離してやらないからな!」


 相も変わらず見た目と違い、凄まじい力だ。


 おまけに何か手から、吸着質の液体でも放っているのだろう。


 振り解くのに成功したと思っても、掌が引っ付いていて離れてくれない。


「プッ……」


 研一達の滑稽な姿に、応対してくれていた先程の魔族が軽く噴き出してしまう。


 気付いていたのだ。


 研一とクエストの魔力の差は、魔族の目から見れば明らかだ。


 怪我をさせる事さえ厭わず、本気で引き剥がそうとすれば、それこそ五秒も立たずに引き剥がす事が出来るだろうに。


 乱暴な言葉や態度とは裏腹に、随分と周囲に気を遣っている人物であり――


(なるほど。ルクシリア様が心優しき救世主だなどと評していたのも、頷けます……)


 かつて、とある方から伝え聞いていた通り。


 はぐれ魔族の未来を預けるに足る人物なのかもしれない、と研一への評価を改める。


「アン? テメェ、何を笑ってやがる?」


「いえ、申し訳ありません。事情があるとはいえ、こちらから呼び出しておいて迎えの一つも寄越さない態度。お怒りになって当然です」


 何よりも態度こそ乱暴なだけで、研一の言葉は何も間違っていない。


 無理を言って招いた側が、隠れて様子を見ていた上に、外套で姿を隠しているのだ。


 怒るのが当然の反応だろう。


「この集落の責任者のような者をやらせて頂いている、プルケルと申します」


 プルケルは外套の頭部分を外して顔を出したかと思うと、頭を下げて丁寧に挨拶をする。


 少なくとも目の前の二人は、魔族を攫いに来たような賊ではない。


 それが確信出来たから。


「無礼な振る舞い、大変申し訳ありませんでした。お怒りを鎮め、どうか話だけでも聞いて頂けませんか?」


「……ああ、なるほどね。それじゃあ隠れたくなるのも解るよ。私も非礼を詫びるよ」


 プルケルの顔を見たクエストは、得心がいったとばかりに頷き、まるで憐れむように目を細める。


 だが――


(え、何だ? 何か変な場所でもあるのか!?)


 クエストの反応の意味が解らず、研一は戸惑う事しか出来なかった。


 だって別にプルケルの顔に、おかしな部分なんてない。


 魔人特有の少し青白く感じる肌や日本人のような黒い髪なんて、別に魔族なら特に問題になるような事でもないし。


 波打つような紫色の髪は綺麗で、キツイ印象を与えそうな切れ長の目は、丁寧な物腰のお陰で、刺々しさではなく仕事が出来そうな女っぽい雰囲気を与えている。


 言ってしまえば、若きキャリアウーマンのような印象であり――


(後は……他に何かあるか? トンデモなく美人って事くらいしかないが……)


 別に酷い傷跡がある訳でもなく。


 あの探求の為なら無礼なんて何とも思ってないとしか思えないクエストが、見ただけで謝りたくなるような部分なんて、どうしても見当たらない。


 穴でも開きそうな程に、見ているというのに。


「救世主様程の魔力をもってしても、駄目なのですか……」


 間違い探しでもしているような気分でプルケルを眺めていた研一の耳に、諦めたようなプルケルの声が響いた。


 あまりに寂しそうな声に、研一が冷静さを取り戻した瞬間。


 傍若無人が白衣を着ているような存在であるクエストが、謝った理由がプルケルの口から告げられた。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。