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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
終章

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第330話 エラー商団

「ボス。こんな所に本当に国なんてあるんっすか?」


 研一がソヌスの国を離れてから、一週間ほどの時が流れた頃。


 見るからに粗野で乱暴そうな雰囲気をした、自分達は荒くれ者だと言わんばかりの風貌をした四人の男が、ソヌスの街付近に現れた。


 力の強そうな大きな魔獣に巨大な荷車を引かせており、ぎっしりと載せられた積荷の多くは布で覆われていて、ほとんど中身は解からないが――


 布で覆われていない部分からは、木のような何かが見え隠れしていた。


「ええ、間違いありません。まだ滅んでいないなら、メロディっていう女党首が治める、歌と音楽の国って呼ばれていたソヌスという国がある筈です」


「こう言っちゃアレだが、土はガッサガサで草の一つも生えちゃいねえし、魔獣の一体も歩いてねえ。人の住むような場所じゃねえだろ」


「それに最近、魔獣の群れに襲われたって話っす。もう滅んじまってるんじゃね?」


「ったく。ボスも相変わらず酔狂だねえ。こんな所にお宝があるなんて、本気で思ってるのかい?」


 寂れた街や魔獣等に襲われて崩壊した街に賊が来る事は、決して珍しい事ではない。


 防衛すらマトモに出来ないような場所なら、ある程度の武力さえあれば好きにに略奪出来るからだ。


 そして、土地は枯れていて立ち寄ったところで補給もままならず。


 魔獣の群れに襲われてボロボロになっている街に、わざわざ向かう理由なんて多くはない。


 見た目通り、この男達の正体は、魔獣の群れに襲われて無茶苦茶になったソヌスの街から、更に搾り取ろうとする狼藉者――


「相変わらず解ってないですねえ、貴方達は。こういう場所だからこそ、大きな商機があるのですよ!」


 と見せ掛けて、どうやらこの見た目で商団らしい。


 荷車に積んでいるのも、食糧や復興用の建築材のようだ。


「私が小耳に挟んだ情報によると、こんな場所にある吹けば飛ぶような小さな国に、あの噂の救世主が滞在していたそうです! そして今まで救世主が現れた国は、軒並み、何かしらの経済発展効果が現れています! ならば一番早く駆け付けた者こそ、その恩恵を最も受ける事になるのは当然!」


「あー、はいはい。そうっすね」


「ボスは商魂逞しいねえ」


 熱弁するボスこと、商団の長であるエラーの言葉を、部下達は適当に流す。


 知っているのだ。


 こんな辺鄙な場所にある小さい国に、女好きで知られる救世主が来る訳がないと、エラーが思っている事くらい。


(ったく、素直じゃねえんだから。素直に復興の物資を提供しに来たって、言やあいいのに)


 エラーの目的は一つ。


 ただでさえ土地が痩せていて生活もままならないのに、魔獣の群れに襲われて困窮しているであろうソヌスの援助だ。


 金持ちの道楽、という訳ではない。


 今回の物資購入でエラーの懐は非常に寂しい事になっており、暫くは質素な暮らしを余儀なくされるだろう。


(我が国のように、終わらせはしませんよ!)


 それでも身銭を切ってまで援助する理由は、簡単に言えばエラーの生まれ故郷である、商売の国が魔族の侵略を受けて滅んでしまっており――


 もはや同郷の生き残りが居るかどうかも解からない状態で、滅びそうな国を見ると放っておけないからだ。


「見えてきましたよ。アレがそうですが……」


「うわあ、こりゃひでぇ!」


「申し訳程度の防護柵は全部壊れちまってるし、中も廃墟同然じゃないっすか」


 そして、目的地に着いたエラー達の前に現れたのは、かつてソヌスの街と呼ばれていた場所だった。


 防衛装置は、何一つ機能していないし。


 木で作られた家は全て壊され、畑だったと思わしき場所は魔獣に食い荒らされたような状態で放置されて駄目になっている。


 もはや街と呼んでいい状態ではなかった。


「これじゃあ、もう……」


「まだです! 生き残りが居るかもしれません! 探しますよ!」


「あ、ボス! 待っ――」


 部下達の静止を振り切り、急いでエラーは街であった廃墟に入っていく。


 もしかしたら隠れ潜み、魔獣の襲撃から逃れた者達が生き残っているかもしれない。


 それならば今が生きるかどうかの瀬戸際。


 自分の持ってきた補給物資があれば、助けられるかもしれない。


 そんな想いに駆られているエラーの耳に、小さな音が聞こえた気がした。


(生き残りですか!)


 縋るような想いで音がしたと思しき方向を見るエラーであったが、目に映るのは倒壊した木で作られていたであろう家のみ。


 だが、気のせいではないとばかりに、目の前で丸太の残骸がもぞもぞと動いている。


(まさか潰れた建物の下敷きになっている人が!)


 慌てて近寄り丸太を退かそうとするエラーであったが、もっと警戒すべきだっただろう。


 魔獣に襲われて廃墟になった場所なら。


 生き残った人間よりも、魔獣の方が居る可能性が高い事に。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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