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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第六章 救いのポヨポヨビースト!

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第327話 歌の意味

「クソが! テメェ等は綺麗事でも言って死んでろ!」


 周囲からの視線に耐え兼ねて、男は建物から飛び出して一人で逃げる道を選ぶ。


 今ならばエコーバードもポヨポヨビースト達に専念してるし、自分一人なら目立つ事もなく助かる。


(あの救世主とかいうガキに投げ飛ばされても、結局助かったんだ。俺がこんな場所で死ぬわけがねえ!)


 権力を笠に好き勝手生きてきた男は、今回も自分に都合が良い流れになると無意識に信じ込んでしまっていた。


 だが――


「クケー!!」


 報復や嫌がらせを恐れる人間と、野生に生きるエコーバードは違う。


 男が建物から出て走り出して一分も経たない内に、エコーバードは素早く男を捕まえる。


「は、離せ! 俺を誰だと思って――」


「クケッ!」


 戦い疲れの栄養補給とばかりにエコーバードは、躊躇いなく地面に勢いよく男を叩き付けたかと思うと、骨が折れて動けなくなった身体を啄ばんでいく。


 瞬く間の出来事。


 さすがのポヨポヨビーストでも、助ける事なんて出来る訳もなく。


 男の命運は尽きたのであった。


「…………」


 街の者達は、目の前で散った男の姿に息を呑むしか出来なかった。


 建物から出る事は即座に死に繋がる、と情報ではなく光景で思い知らされたのだから。


 自分達の命運は、全てポヨポヨビーストの戦いに掛かっており、出来る事なんて息を潜めて戦いが終わるのを待つだけ。


(本当に、そうか?)


 そこで建物の影に隠れていた男の頭に、何かが引っ掛かる。


 ポヨポヨビーストの動きが悪くなり始めた時、何かなかったか。


 逆に動きが良くなり始めた切欠は何だったのか。


 そして、気付いた。


「……歌おう。アイツ等の為に」


 罵倒の声に傷付いたように動きが鈍り。


 イノの応援で、ポヨポヨビースト達が元気を取り戻したように見えた。


 魔力も何もない声で力を出してくれるなら、音の魔力を込めた応援歌なら、更に元気になってくれるかもしれない。


 それくらいなら、建物の影に隠れている自分達にだって出来る筈だとばかりに、周囲に呼び掛けていく。


「え、でも……」


「そんな事したって意味なんて……」


 けれど、その提案に別の者達から、戸惑いの声が漏れる。


 ソヌスの歌を使った補助魔法は、あまり戦い向きではないからだ。


 何故ならば力を増す歌を奏でても、聞く者全ての力を強化してしまい、元々の力の差があればあるほど、差は大きく開いてしまう。


 建設等、全員で一丸となって行動する時以外には、使い難いのだ。


 だが――


「強化なんてする必要はない。ただ戦ってくれるアイツ等へ、感謝くらい伝えようじゃないか」


 そもそも効果なんて求めちゃいない。


 このまま行けば、自分達は死んでしまうかもしれない。


 それならばせめて、自分達を守る為に駆け付け、今も尚戦ってくれているポヨポヨビーストに自分達の想いを伝えるくらいは、するべきだ。


 その方が、ポヨポヨビースト達だって気持ちよく戦えるだろうし。


(鳥達だって気が散って、俺達が囮になれるかもしれないしな)


 さっき権力者の男が殺される場面を見て、思い付いた。


 ポヨポヨビースト達が傷付いてまで守ってくれてるのに、自分達だけ安全圏に居るのは違う。


 少しでも援護になればという想いと共に、男が歌い始め――


 それに続くように、街の者達が声を合わせて優しくも力強い歌を奏でていく。


「ポヨ?」


 突如として響いてきた歌に、ポヨポヨビースト達は不思議そうに声を上げた。


 歌声が聞こえてきた事に戸惑った部分もある。


 街の人間達には嫌われていると思っていたから、こんなにも盛大に応援してもらえると思えなくて、信じられなかった部分もあるだろう。


 だが、それ以上に大きな変化があったのだ。


「ポヨヨ!?」


 魔法的な効果なんて付与されてない筈だった。


 ただ、ポヨポヨビーストへの応援と感謝だけを込めた歌だった筈なのに。


 エコーバードに抉られた筈の傷の痛みが癒えていくだけでなく、実際に身体に力が漲ってきているのだ。


「クエ?」


 かといって、エコーバードには何の効果もない。


 僅かずつだが力を増していくポヨポヨビーストに、不思議そうに首を傾げ、警戒したように距離を取るだけ。


(何だ? 何が起きてるんだ?)


 歌おうと周囲に声を掛けた男も、あまりに想定外の事態に驚きながらも、それでもポヨポヨビースト達の役に立っているなら続けるべきだとばかりに――


 周囲の者達の戸惑いを振り払うように、更に声を張り上げていく。


「ポヨポヨ!」


 歌声に呼応して、ポヨポヨビースト達の身体が淡く輝いた。


 間違いなく魔法的な強化が施されている。


 だが、歌が聞こえている街の人間やエコーバードには何の効果もない。


 理由は至って単純な話だ。


 そもそもソヌスの民は、戦いにおける補助魔法の使い方を根本的に間違っていたのだ。


 力を強くするだとか動きを速くするだとか、そんな想いを込めて歌えば、聴く者全てを強化してしまうのは当たり前。


 強化したい者の為だけに、想いを込めて歌う。


 それこそが正しい使い方であり、ポヨポヨビースト達を応援する歌を奏でれば、ポヨポヨビースト達だけ強化されるのは当然の事だろう。


 とはいえ、込められた想いが応援と感謝というアヤフヤで方向性に薄く、魔力の乏しい一般人達の歌声では強化の度合いなんて、高が知れている。


 戦況を急変させる程の効果はない。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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