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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第六章 救いのポヨポヨビースト!

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第324話 飛べ、ポヨポヨ!

「ポヨー!!」


 ソヌスの街が滅びるのも時間の問題かと思われたその瞬間、空から鳴き声が響く。


 街を守るという決意が込められた可愛らしくも勇ましい声と共に、一体のポヨポヨビーストが雲を切り裂き、ソヌスの街に降ってきたのだ。


「クケ!?」


 あまりの光景にエコーバードが驚きの声を上げる。


 翼も無い身体が丸いだけのポヨポヨビーストが、自分達よりも遥かに高く飛ぶなんて、その目で見ても信じられる訳がない。


「クケケ!」


 だが、すぐに驚きは歓喜に変わる。


 一体ならば自分達には手も足も出ないのだと、さっき知ったばかりだ。


 住処を奪った憎き怨敵を再び嬲り殺しにしてやろうと、エコーバードが現れたポヨポヨビーストに襲い掛かろうとした時だった。


「ポヨヨ!」


「ポッヨッヨー!」


 次々とソヌスの街にポヨポヨビースト達が降り注ぐ。


 当然だが、翼もなければ飛行魔法も使えないポヨポヨビーストに、空を飛ぶ力なんてある訳がないし。


 まるで隕石か何かのように、空から連続して降ってくる習性がある訳もない。


 このトンデモ現象の主犯は、今も反響の山に居る研一であった。




   〇   〇




「ぶっ飛べ、ポヨポヨ!」


「ポヨーーーー!」


 研一がやっている事を言葉にするなら、極めて単純な話だ。


 反響の山の頂上から、ポヨポヨビーストを殴って、ソヌスの街まで吹き飛ばすという文字通りの力技。


 あまりにゴリ押し過ぎるが、最速でソヌスの街に救援を送る、たった一つの冴えた方法。


(難しく考えず、最短距離を最大出力で駆け抜ける。それが一番ってな)


 かつて遥か遠くに居る誰かを救いに行くという、似たような状況を研一は経験している。


 その時に、ある少女に教えられたのだ。


 長距離を一番手っ取り早く移動する方法なんて、出力任せのゴリ押し以外に存在しないのだ、と。


(感謝してる。あの経験がなければ、あーだこーだと悩んで、きっと手遅れになっていた……)


 人は手間暇が掛かり、難しい工程を挟めば挟むほど、効果も高いと思いがちだ。


 特に研一は色々と考え込むタイプであり、この経験がなければ、無駄に壮大な魔法でも使おうとして、時間だけを浪費していただろう。


 とはいえ――


「ミュジカ。ちゃんとアイツ等、街に届いてるか?」


「ああ! バッチリだ、相棒!」


 いくら何でも、ただ力任せにぶん殴っているだけではない。


 反響の山の頂上からでは、ソヌスの街なんて見えないし、仮に見えたところで正確に狙った方向に飛ばす事は難しい。


 そこで重要となってくるのが、ミュジカの力だ。


「ただ少し風に流され気味だから、次はもうちょい撃ち出す方向をズラすぞ」


 膨大な魔力を持つミュジカは、音魔法を全力で探知に使う事で、遥か遠くにある街の様子さえ探る事が出来る。


 その力でポヨポヨビースト達の着弾地点を観測し――


『研一さん。見えますよね?』


『ああ。ちょい右だな』


 ミュジカのイメージを寸分違わず、センが魔法を使って研一に伝える。


 ここまでで方角までは、ある程度決められる。


 そして――


「気合入れてくれよ。お前等がいくら衝撃に強いからって、ダメージがない訳じゃないんだからな!」


「ポヨヨ!」


 研一が狙った方向に向け、全力でポヨポヨビーストを殴り飛ばす。


 だが、今の研一の腕力だけでは、ソヌスの街までポヨポヨビーストを届かせる事は不可能だし、仮に届かせる程の力で殴れば――


 いくらポヨポヨビーストが打撃には滅法強いとはいえ、無事では済まないだろう。


「ポヨー!!」


 そこで飛ばされている、ポヨポヨビースト本人の出番だ。


 ポヨポヨビーストは空中で自身の身体を動かして弾丸のような形に変えて、空気抵抗を出来るだけ減らしつつ。


 音魔法を放って勢いを加速させながら、方向を微調整していた。


「ポヨヨォ――」


 だが、これは口で言うほど簡単な事ではない。


 山から街までという距離を飛ばす以上、研一だって相当な威力で殴っているし。


 どれだけ空気抵抗を減らしても、超高速で移動している以上、身体がバラバラになるんじゃないかという衝撃が、常にポヨポヨビーストに付き纏い――


 気を抜けば、飛んでいる最中に意識が飛んでしまいそうになる。


 けれど――


「ポヨ!」


 ソヌスの街の人達は、もっと怖くて辛い目に遭っている筈だ。


 エコーバードの群れに怯える街の人達を助けられるのは、自分達だけなんだという使命感。


 それに加えて、街の人が助けを求めてくれたという喜びが、飛行の衝撃で気絶しそうになるポヨポヨビーストの意識を保ち続けていた。


「ポヨッ!」


 そして、目標地点であるソヌスの街に近付くなり、自らの身体を広げて空気を全身で受け止める事で減速して落下する。


 あまりにも無茶過ぎる高速移動に、力任せの急ブレーキ。


 いくら衝撃に強いポヨポヨビーストでも、全身はガタガタだ。


「ポッヨッヨー!」


 それでも苦しそうな声なんて、決してソヌスの街の人に聞かせない。


 もう大丈夫、助けに来たよ。


 伝わらない事なんて解かっていながら、それでも力強い声を上げて、ポヨポヨビーストがソヌスの街に降り立つ。


 エコーバード達から、人々を救う為に。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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