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憎まれ救世主 ~異世界転移したら不遇なスキルを授かったので、悪役キャラを演じていたら、裏でモテモテハーレムになっていた~  作者: お米うまい
第五章 国を背負い、友を想う

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第317話 死を選ぶポヨポヨ達

「ポヨポヨ……」


 メロディの説明を聞くなり、周囲に居たポヨポヨビースト達が、ぺちゃりと潰れる。


 人間達を守ろうと頑張っていた筈の事が、多大な迷惑を掛けてしまっていただけだったと知り、文字通り凹んでしまったのだ。


「ポヨー……」


 そして、ポヨポヨビースト達は寂しそうに鳴いて、メロディへと近寄っていく。


「待って! 早まった事しないで!」


「おい、止めろ! 俺が何とかする! お前等が犠牲になる必要なんてないんだ!」


 センとミュジカが慌てて止めようとするが、ポヨポヨビースト達は首を振るように身体を揺らして、トボトボとした表情で進んでいく。


 どうやらメロディの説明に納得し、倒されるべき害獣として死を受け入れるつもりのようであった。


「……アンタ等は本当に良い子だと思うわ。知らなかったから仕方ないとか、悪気はなかったなんて言わず、真っ直ぐ自分の罪を認めてさ」


 メロディは静かに告げるが、それで処刑を止める気はないらしい。


 どこか貼り付けたような無表情で再び武器を構え直すと、ポヨポヨビースト達を真っ直ぐに見詰める。


「ごめんね。アンタ等は悪くない。だから恨むならウチだけを恨んで……」


 もしケンスが死んだ時。


 ちゃんと真実を追い求め、歩み寄る事が出来ていたのなら、きっと今頃は仲良く共に過ごす事だって出来ていただろう。


 だが、メロディは全てをポヨポヨビーストの責任にして、あやふやのまま全てを闇に葬ろうとした。


 その結果が今の状況であり、だから責任は自分にあるのだとばかりにメロディは呟いて、収めていた剣を強く握り締める。


 だが――


「ポヨポヨ」


 メロディが気に病むような事ではないとばかりに、ポヨポヨビースト達は慰めるように一鳴きする。


 だって本当にメロディが悪いなんて、思ってなかった。


 いつか人間に認めてもらいたいと願って、勝手に魔獣を追い払って回っていたのは自分達だ。


 成功して人間達と仲良くなれたら大喜びで幸せ。


 失敗したら何も言ってくれなかったメロディのせいだ、なんて考え方をするほど、ポヨポヨビースト達は無責任ではない。


 ただ――


「ポヨヨ!」


 無駄に殺されて、死ぬのだけは嫌だった。


 街の人達を飢えさせてしまったのなら、せめて満足に食べる事も出来なかった街の人達に笑顔になってほしいと願い出る。


「そんな……。せめて殺すなら死体を街に持ち帰って、全部、食べてほしいなんて……」


「止めろ、お前等! 俺の言う事が聞けねえのか! 止まれ、止まれったら!」


 邪魔をしようとするセンやミュジカを、一部のポヨポヨビースト達が壁になるようにして妨害する。


 急いで二人が払い除けようとした瞬間だった。


「これで人と触れられるのは最後よ。だからさ。最期に目一杯、甘えちゃって」


 メロディの声に従い、壁になっていたポヨポヨビースト達がセンとミュジカに全力で身体を擦り付け始める。


 最期に人との触れ合いを、身体中で噛み締めようとするように。 


「そんな……」


「卑怯だぞ、メロディ!」


 センやミュジカが本気でやれば、ポヨポヨビースト達を引き剥がす事くらい出来ただろう。


 だが、これで本当に、今生の別れになってしまうかもしれない。


 そんなポヨポヨビースト達に最後に見せる光景が、自分達の拒絶するような姿になってしまうのかと思うと、手荒な真似をして無理やり引き剥がすなんて。


 どうしても、二人には出来なかったのだ。


「ほら、やみのんも最後にコイツ等を甘えさせてあげて……」


「…………」


 そして、黙って成り行きを見守っていた研一の元にも、ポヨポヨビースト達が殺到する。


 これでポヨポヨビーストの処刑を邪魔する者は居なくなり、メロディの手で虐殺が始まるかに思われた。


 だが――


「ポヨォ!?」


 研一は容赦なく、近寄ってきたポヨポヨビーストを殴り飛ばした。


 魔力も何も込められてない力任せの打撃。


 衝撃に強いポヨポヨビーストには痛みも何もないが、それでも壁まで吹っ飛ばすには十分過ぎるだけの威力があった。


「認めない……」


 殴られてしまうくらい嫌われてしまったのか、と泣きそうになるポヨポヨビーストの耳に研一の呟きが響く。


 絞り出したような小さくて細い。


 けれど、溢れんばかりの想いが込められた声が。


「こんな死んで終わりにするなんて結末、俺は絶対に認めない!」


 研一は怒りすら感じさせる激情を震わせて、メロディ『達』に対峙する。


 自分から死のうとするのなら、守ろうとしているポヨポヨビースト達ですら、自分が倒すべき敵だと言わんばかりの態度で。


「くっ、皆、ごめん! 悪いけど自害して――」


 せめて自死させるくらいなら、自らの手で終わりを迎えさせてやろうとしていたメロディだが、研一に邪魔されては難しいと悟ったのだろう。


 即座にポヨポヨビースト達を自殺させようと指示を飛ばそうとするが――


「させるか!」


 研一は部屋中に魔力無効化を張り巡らせ、この部屋での魔法の行使を禁止する。


 強過ぎるポヨポヨビーストは、自らに音魔法でも放たない限り、自殺するどころか、怪我をする事さえ難しい。


 これで研一が魔法を無効化している間は、ポヨポヨビーストは自殺出来なくなった。


「悪いな、メロディさん。国の未来を守りたいとか自分の行動の責任を取りたいって気持ちは解からなくもない。けど、それでも俺はアンタを止める!」


 研一は拳を握り締めて構える。


 けれど、いつもと違い、その拳には魔力は込められていない。


 メロディを殴り倒してでも、ポヨポヨビースト達を殺させないという決意だけを握り締め、研一は駆け出した。

面白かった、続きが見たい。

書籍化して絵が付いているところが見たい。

何かしら感じてくれた方は、是非とも高評価してくれると嬉しいです。


また気楽にリアクションなどして頂ければ嬉しいです。



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