8話 重すぎた愛
[はあ、はあ]
駄目だ、全然勝てない。
現在、強くなるために試練を受けている葵。だが、強くなるためには知識やプレイスキルが必要なのだ。
[まだまだね、戦闘の知識が無さすぎるわ]
[そうですよね、すみません]
[いや、良いのよ。最初のきいよりは全然ましだし]
[そうなんですか?]
[ええ、そうよ。あの子ったら戦闘経験無しでキャラクター操作もろくに出来なかったんだから]
そんなことがあったんだと私は思った。
だって、あのきいだもの、そんな過去があったなんて嘘みたい。
[それと、格闘家だなんてね。そんなプレイヤー初めてだわ]
[そう、ですよね]
[まあ良いんじゃない?ゲームは楽しむためにあるんだから]
[でも、このゲームはデスゲームですけどね]
[あはは、確かに]
こうして、私の試練1日目が終わったのです。
◇◇
[よし、レルタ。そろそろ6階層をクリアしないと]
[そんなに早くクリアしないといけないんですか?]
[まあね、この先何があるか分からないから]
[はい、分かりました]
俺はマップを開く。
その時、俺は異変に気付いた。
[なあ、これって]
[ん、何ですか?]
レルタが俺に近付き、マップを見る。
[これって…]
[ああ、この階層…広すぎだろ!!]
何だこの階層、攻略させる気ゼロだろ。
どうしよう、このままだと、ゲームクリアなんて遠すぎる。
[なあ、これどうすれば良いんだ?]
[私に言われましても…あ、それなら]
レルタはマップに指を指す。
[この先に違う町があるみたいです。このゲームならイベントが発生したりすることだってあるかもしれません]
[確かにな]
その時、俺は考えた。
[レルタ、少し時間をくれないか?]
[え、良いですけど]
俺は[ありがとな]と言ってギルドへ向かう。
[ようこそギルドへ]
[ああ、鑑定士さん。聞きたい事があるんだ]
[はい?]
鑑定士はこのゲームのNPC。つまり、何かしらのイベントを発生できるかもしれない。
[次の町に行きたいんだけど、その町について何か知らないか?]
[そうですね、あの町というのはセントルという町ですね。あの町なら先日魔術師が現れたと言われています。何が起きるか分からないので行かない方が良いですよ。人数も分かりませんし]
[ああ、ありがとな]
俺はそう言ってレルタが居る場所に行く。
[あ、きいさん。何か情報でもつかんだんですか?]
[ああ、その通りだ。その町に魔術師が現れたらしい。これは何かしらのイベントに間違いない。もしかしたらこの階層をクリアするのに繋がっているかもな]
[それなら良いですけど、ほんとに行く気ですか?]
レルタが心配そうに俺に訪ねる。
[ああ、早くクリアしないといけないからな]
それに、葵の為にも先に階層を進めておかないと。
[そうですか、それなら行きましょうか]
[ああ]
そうして俺達は次の町へと向かう。
だがその道中、不思議な集団に出会った。
その姿はローブを着ており、フードで顔を隠している。見た感じは人のようだ。それが10人以上も居る。
[おいレルタ、気を付けろ]
[え、わ、分かりました]
嫌な感じがする。…は!?
俺が目にした光景は、多くのプレイヤーが死んでいた。
[きいさん、あれって…]
その時、俺の中の何かが壊れた。
どうしてこんなゲームなんか産み出したんだ。
そして、このゲームを作った人物は明かされていないのだ。
[絶対に許さねえ]
告知、激怒が追加。膨大なエネルギーを獲得。
デバフ、未知なるエネルギーの発生。
[君とそこの少女では、私達を殺すことなど不可能なのだよ]
[しゃ、喋りましたよ。きいさん、どうしましょ]
[…お前達の狙いは、あの町に行くプレイヤーか?]
[悪いがそれを言うことは出来ない。重要なことは言ってはいけないという掟があるのだよ]
魔方陣!!
[レルタ、避けろ!!]
魔法の攻撃がレルタに大ダメージを与える。
彼女のHPは半分を切った。
[うう、足が…]
見るとレルタの足が吹き飛んでいた。
このままではまずい。レルタはリスポーンが出来る、だけどそれは一度死ぬということだ。この世界には痛覚がある。それはどれだけ辛いことか。
[レルタ…]
[きいさん、私はリスポーンが出来るので、貴方だけでも逃げ…]
レルタの身体に無数の針が突き刺さる。
チームメイト、レルタが死亡、30分後にリスポーンされます。
くそ、どうすれば。
俺は死ぬことなんて出来ない。もし死んだら、全てが終わってしまう。
それに、俺が死んだら、レルタがリスポーン出来なくなる。
そんなの…絶対に嫌だ!!
その時、集団の後ろからもう一人出てくる。
その姿は髪がオレンジ色で肌が白過ぎる、まるで人間とは思えないような姿だ。
[その呪いは…憎い、憎い、憎い!!なんでなんだ、なんで私ではないのだ、どうしてなんだ。私はこんなにも、愛しているのに]
そう言いながら顔を引っ掻く。引っ掻いた所からは血が垂れている。
[私は許さない、どうして君みたいなやつに!!]
俺は攻撃を防ぐ。
一体なんの事だ?俺が呪われている!?
わけがわからない。
[私に託された力を今、解放するのだ]
魔方陣が現れる。その時、何処か違う場所に転移された。
そして周りが黒い光に包まれる。
[これが私の力なのだ!!]
さっきの姿よりも化け物じみている。
そして感じるオーラはまるでこれまで出てきたモンスターよりも遥かにヤバイ。
このままではほんとうに死んでしまう。
[何を言ってるのかは分からないが、俺は呪われてなどいない]
[何を言う。その呪いこそ、私が愛し続けてきた人なのだ。それなのに、どうして私には何も無いのだ。どうして、あぁぁ。憎い、羨ましい、ずるい、なんでだ!!]
俺は武器を構える。
その時、俺は激しい頭痛に襲われる。
何だ、これ!?
見たことの無い、これは、俺の記憶なのか?
いや、違う。俺の記憶じゃない。それなら、一体、誰の??
我に返ると俺の近くには魔方陣があるのが見えた。
[あっぶね、回避してなければ死んでた]
[ずるいずるいずるい、卑怯だ!!]
次々と魔法の攻撃が俺に襲いかかる。
俺は攻撃を防ぐ事で精一杯だった。
[君の大切な人はこの人ですね]
そう言って死体状態のレルタを持ち上げる。
このゲームではリスポーンになるけど死んだ時の身体は放置されるらしい。まあ、身体を壊されてもリスポーンが出来なくなるという訳ではない。
[なにする気だ]
[なにって、こうするんだよ]
レルタの首を引きちぎり、バラバラにした。
俺はその光景に怒りがわいた。
[絶対に許さねえ]
葵が居れば、こいつを簡単に倒せたかもしれない。だけど、葵に頼ってたらいけない。彼女は、今居ないんだ。彼女は俺を捨てた。だから、俺は強くならないといけない。もっと、もっと高みに行かないといけないんだ。
[君はどうしたい?]
はっ!!
気が付くと目の前には不思議な少女が立っていた。
[力が欲しいのか。それともこのまま死ぬのか]
[…俺は、あいつを倒したい。このゲームをクリアしたい]
[良いね、君みたいな人は嫌いじゃないよ]
そうして俺は我に返った。
[その姿は…]
俺の髪の色が赤に変わり、髪がロングヘアになった。
[どうして、どうしてこんなやつに力を。どうして私じゃないんだ]
俺は剣を構える。
[ステラシャスト!!]
何故だか、不思議な力を感じる。
まるで誰かに膨大な力を貰ったかのような、そんな感じがする。
技を出すと星のような斬撃が次々と現れ、膨大なエネルギーを一気に放った。その威力は物凄いものだ。
[うぐう、どうして、どうしてなんだ…]
あの攻撃を受けてもまだ倒れていない。
[ふふ、悪いけど、もう貴方は必要ないの。しょせん、貴方は最弱の敵、それに、貴方に愛されるの、嫌いなの、さよなら]
[う、うぁぁぁぁぁぁ。熱い、嫌だ。私は、貴方を、愛していたのにぃ]
そうして灰になってしまった。
その時、俺の姿がもとに戻る。
[さっきのは、一体…]
そういえば、周りにいた敵は…
辺りを見渡しても一人も居ない。もしかしてアイツとHPが繋がっていたのか?
レルタがリスポーンしました。
[はあ、レルタの所に行かないとな]
俺はマップを開く。
[な、何だよこれ!!]
ど、どうして、俺は10階層に居るんだ~!!
作品を読んでくださりありがとうございます。
葵の試練はこれからなのか?それとも…
そして、何故か10階層に居るきい。彼は一体どうなるのか。現在、彼のレベルは21、そして10階層の平均レベルは25。これはヤバイかもしれない。
次回もお楽しみに!!




