9話 俺の、相棒…
どうしようか。
現在、俺は10階層に飛ばされた。レルタはというとリスポーンで6階層に居ると思う。
そして何より、味方の位置にワープをするという機能がないのだ。これは何よりも厳しい状況かもしれない。
10階層、俺のレベルは21、このレベルでどうしろって言うんだよ!!
[はあ、とりあえずマップでも見るか]
俺はマップを開く。だけど黒く表示されている。よくあるゲームの見解放のマップの状態と同じだ。
だがどうしよう、このままだといつ死んでもおかしくないぞ。急いで都市か町に行かないと。
[別れ道だ]
右か左、どちらに行けば良いのだろうか。
こういうのはよくある問いと同じだ。
利き手によって選ぶのが変わるなどといった事もあるが迷路などでは左に沿って通ればゴールにたどり着くということがある。
[俺が行くのは…左だ!!]
なんとなくこの先に都市があると感じた。
察知能力などは無いが。
その時、ガサガサという音がしたのだ。
[はっ!!なんだ?]
モンスター出現。
情報を表示します。
名称:アルトテイン
蛇のような見た目なモンスターで噛まれると毒状態になる。また、攻撃力が高いため一度噛まれたら徐々にHPが減り死んでしまう。
ふむふむ、なるほど。
つまり、俺、死んだわ。
だって、勝てるわけ無いだろ。こんなモンスターなんか噛まれたらほぼ即死みたいなもんだ。
[くそ、噛まれないように戦闘するしかないのか]
俺がそう言うと追加で20匹現れる。
[なんだよ、群れで行動するモンスターかよ]
この数1人だと厳しい、いや、無理だ。
[逃げろー!!]
俺は急いで逃げる。だが、モンスターが俺に追い付く。
もう駄目だ、と思ったその瞬間、攻撃の音が聞こえた。そしてモンスターがやられる。
[大丈夫か?]
俺は顔を上げる。俺を助けたのはクラスに居たあのキザだ。
[確か、お前は同じクラスの田鶴原だったよな?]
どうして俺の名前が?と思ったが、あの戦いの後、お面が無くなってしまったのだ。
でも、何故彼がこの階層に居るのかは分からない。
だって10階層だぞ!?普通なら此処まで来ることなんて出来ないのに、どうしてだ。
[蓮斗くん、どうしたの?]
そこには蓮斗の幼馴染み、遥が居た。
彼女とは俺は少しだけ話したことがある。席が近くだった、ということもあるが。
[ああ、ちょっとな]
[あれ、田鶴原君じゃん、久しぶり]
彼女はまるで死ぬかもしれないゲームを平然のように過ごしている。
[ああ、久しぶり、それより何でこのゲームに?]
俺の一番の疑問だ。あの陽キャのやつがこんなゲームをするとは到底思えない。
[まあ、最近ゲームにハマってな、そしたらこんなざまだ]
[そうそう、蓮斗ったら一緒にゲームしよって言ったけどこんなデスゲームを紹介したんだよ?]
[その時はこんなんになるとは思わなかったんだよ]
そんな話をしている中、俺は考えてしまった。
こいつが主人公なのではないのだろうか、と。
俺がこのゲームをしなくてもこいつがクリアをしてくれる。俺には…いや、何考えてんだ、俺。
[じゃあ、俺はこれで]
俺は今すぐにでも逃げたかった。こいつらと居ると自分が惨めに思うから、いや、違う。俺が何に対しても弱いんだ、きっと、そうなんだ。
[何言ってんだよ、協力してクリアしようぜ?このゲームは協力ゲームなんだからな]
[そうだよ、それに田鶴原君一人でしょ?それなら多い方がいいって]
[まあ、色々あってね、今は一人なんだ]
でも、俺は一緒になんて居たくない。きっと裏があるはずだ。俺をモンスターの餌にするに違いない。信用なんて出来るものか。
俺は話を聞かずに次の町に行く。
早くしないと、あの二人にクリアをされるかもしれない。そうすると俺の生きる意味が無くなってしまうから、そう、自分に言い聞かせることにした。
[ほんとは、怖いんでしょ?]
はっ、誰だ!!
俺は周りを見る、だけど周りには誰もいなかった。気のせい、なのか?
[あー、くそ]
このままでは駄目だ。俺は10階層を攻略する。だけど、一人では無理かもしれない。
となると、やはり頼むしかないのかもしれない。
俺は冷静になって考えた、その結果、俺は急いで向かう。
[蓮斗!!]
[お、田鶴原、どうした?]
[悪いが、協力してくれないか?俺はこのゲームをクリアしたいんだ]
蓮斗はキョトンとする。
[なんだ、そんなことか、ああ、協力するさ]
[良いのか?]
[まあな、それにお前学校ではそんなに話さないのに、珍しいな]
俺は[そうだね]と言って苦笑いをする。
[何々、田鶴原君も一緒に来るの?]
遥がはしゃぎながら蓮斗に聞く。
[ああ、って、それはそうと田鶴原、お前なんで一人なんだ?]
[実は…]
これまでのことを伝えた。蓮斗は[そうか]と言っていた。彼は俺が思っていたよりも良いやつなのかもしれない。ほんとに、俺はモブキャラなんだな。
[そういえば]
[ん、どうした?田鶴原]
[蓮斗って役職何にしたんだ?]
蓮斗にそう訪ねるとそりゃあ、剣士一択だろと言われた。どうやら俺と考えることは同じらしい。
[そういう田鶴原も剣士なんだな]
[まあ、その方が楽かなと]
[なんだよそれ]
[それじゃあこれからよろしくな、田鶴原、いや、相棒!!]
その言葉に俺は沈黙する。
[俺が、相棒?]
[何言ってんだ、このゲームをクリアする以上、俺とお前は相棒だ、良いな?]
[あ、ああ]
[え、何それずるい、私は私は?]
はいはい、と蓮斗は遥に伝える。
新しい仲間、いや、相棒が出来た。
最初は嫌なやつだと思っていたけど、凄く良いやつだな、と俺は思った。
レルタはまだ来ない、というよりは来れない。
そして葵は…言わなくても良いか。
俺は強くならないといけない。もっと、強く。
そう思いながら、俺は前へと進んだ。
だけど、都合の良いようには行かない。それが現実なのだ。この時の俺は思いもしなかった、俺のせいで、犠牲が出てしまった、ということに。
◇◇
時は経過し、俺は蓮斗達と次々と階層を攻略していった。
蓮斗とは物凄く連携が取りやすい。俺が攻撃をすると常に警戒をしながら攻撃をしてくれる。
そして、遂に21階層へとたどり着いた俺達、俺のレベルは30を越えていた。
此処までにかかった時間は相当だ。軽く半年はかかった。だけど、ゲーム内のキャラの見た目は何一つ変わっていない。
[田鶴原、気を付けろよ、嫌な気配がする]
[ああ、それは俺も感じたよ、だけどこの感覚は一体、なんだ?]
その時、モンスターがいきなり現れた。
[田鶴原!!]
俺を守って片腕が吹き飛んだのだ。
[ぐぁぁぁぁぁあ]
蓮斗の方を見ると、彼の腕からは血が大量に出ている。
俺は息が荒くなる。このままだと死んでしまう。俺のせいで、俺のせい…で。
[田鶴原、はあ、はあ、大丈夫だ。心配すんな]
遥は…というとずいぶん前の階層でやられてしまった。リスポーン不能、つまり、死んだのだ。
[悪い…俺は、何も]
視界が揺らぐ。俺は主人公では無かったんだ。俺のせいで犠牲が出る。俺のせいで、人が、死ぬ。
くそ…
俺の目には涙が滲んでいた。
[田鶴原…心配すんな、食べ物を食べればHPは回復する、腕も治る。だから俺もまだ戦えるさ。お前一人じゃ無い、それを脳裏に叩き込んどけ]
俺は涙を拭う。
[ああ、絶対に勝つ]
[そうだろ、遥の為にも、俺は勝たないといけないからな]
蓮斗の目には少し涙が滲んでいた。
敵の情報表示、名称:アレクト。騎士のモンスターであり、モンスターが持っている剣は骨が切れるほどの鋭さだ。そして何より注意が必要なのはクリティカルダメージしかダメージが与えられない、ということ。
[蓮斗、クリティカルダメージだ!それならダメージが通る]
[クリティカルダメージ!?それなら俺に任せろ!!]
[レアティクル]
クリティカルダメージ増加、クリティカル率、50%の確率での斬撃。
いわゆる運ゲー、2分の1だ。
[くそ、俺の運勢、こんなもんじゃないはずだ~!!]
クリティカルダメージ、620。
相手のHP、残り3450。
[くそ、倒しきれねぇ]
[蓮斗、チェンジだ]
チェンジパリイ発動。成功しました。
[黒技、エクテクト]
俺の髪の色に少し赤色が浮き出た。
もう、あんな事にはならないように。
[うぉぉぉぉぉぉ!!]
黒い光が初期装備の剣に集まり、俺はそれをモンスターに放つ。
クリティカル、アンデット特攻、クリティカルダメージ増加、攻撃力アップ。
(すげえ、田鶴原、お前こんな力が使えるなんて)
光が俺の手に辺り、俺の手には傷が出来る。
痛い、だけど、それよりも痛いのは、俺の目の前で、人が死ぬことだ~!!!
もう、誰も失いたくない。だから、俺はこのゲームをクリアしたいんだ。
俺の攻撃がヒットする。ダメージ、4000。モンスターはやられる。自傷ダメージが入り俺の体力は半分を切った。
[ぐはっ]
俺は力の反動で倒れ込む。
告知、ワープが解放されました。
チームの仲間がワープを使えるようになりました。
[田鶴原、勝ったんだ、俺達]
[ああ、やっと勝てたよ]
21階層、攻略完了。
その時、レルタがワープをする。
[きいさん、大丈夫ですか?]
[お前って、音羽!?]
[え、ええ!?]
こうしてゲームクリアまでかなり進んだ。
今頃、葵は一体何をしているのだろうか、それが知れるのは近いのかもしれない。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
主人公に相棒ができ、仲間が一人、死んでしまった状況、そしてこれからどのように攻略をしていくのか。
また、葵は何をしているのか?音羽と蓮斗の関係…
中々凄い状況になってきた。
次回は22階層へと続く…
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