6話 葵がパーティ離脱!?
あれ、おかしいな。
いくら探しても4階層が見当たらない。
上がると3階層、下りると5階層。
4階層がない!?
他にも、ダメージ表記、コンボ表記にも4という数字が無い。一体なんでだ?
[きい、どうします?]
[仕方ない、4階層がないんだし5階層に居るしかない]
[そうですか]
俺と葵は5階層の宿屋に向かった。
道中モンスターを倒したのでお金はそれなりにある。
そうして言ってなかったな。この世界の通過はテインと呼ばれている。
1テインが大体現実での100円だ。
[って、流石5階層だな]
町ではなく都市がある。
しかもプレイヤーが沢山居る。
皆頑張って此処まで来たのだろう。
[きい、荷物置いてきますね]
[ああ、頼んだ]
俺は情報収集でもするか。
それにこのゲーム。何かに似ている。
そうだ、情報収集のためのNPCだろ。
俺は都市に居るNPCに声をかける。
[この都市では凄く偉い人が居るんだ。そしてそこの王女に命令が下される。それをクリアすれば5階層のクリアという噂がある]
[ああ、大事な情報ありがとな]
やはり、情報を得るための人物がこのゲームには居るのだ。
って、早く宿屋に戻らないとな。
[むー、遅いです]
ほっぺたを膨らましてまるで小動物のように怒っている。
[悪かったよ。それより、情報が手に入った]
[ん、何ですか?]
[どうやら王女の命令に従うと5階層がクリアらしい]
[そうなんですか?]
[ああ、そういう噂があるらしいから、明日行ってみよう]
[はい]
俺は少し不思議に思った。葵の表情が少し不機嫌になったからだ。
◇◇
ん、もう朝か…
俺は目を覚ます。すると目の前に葵の顔があった。しかも近い。
なんで彼女が俺のベッドに?
とは思ったが、彼女の寝顔を見ると学校で人気な理由が分かる。彼女は凄く美少女だからだ。
だけど、可愛いとか、そういうのは俺には分からない。そういう感情は俺にはない。
すると、彼女が目を覚ます。
[な、なんでそんなに近いんですか]
慌てた彼女がベッドから落ちそうになる。
咄嗟に俺は彼女を支える。
[あぶね。てか此処俺のベッドな、ミスってるのは葵だよ]
[え?]
彼女は少し考える。
[す、すみません]
[いや、良いけど]
間違えることくらいあるし、俺だって良くミスるからな。
[よし、起きたことだし行くとするか]
[ちょっと待ってください]
[どした?]
彼女の顔が赤くなる。
[その、服を着るので、外で待ってて欲しくて]
[あ、はい]
俺は外に出る。するとそこには楓が居た。
[おお、まさかこんなところで出くわすなんてね]
[それはこっちの台詞だよ、自由人]
[師匠に向かってどの口を聞いてるんだい?馬鹿弟子]
[誰が馬鹿弟子だ]
[あの時の未熟な頃の君の方が可愛かったのにな]
[余計なお世話だ]
と、そんなことを話している場合じゃない。
[師匠はなんで此処に?]
[そりゃ、このゲームをクリアするためだね。まあ、弟子がこのゲームをしているのなら任せようかな。私が居ても足手まといだし]
[そんなこと無いだろ]
[いや、もう2年くらい前だよ?もうプレイスキルなんて残ってません]
[だから治癒士を?]
[まあね]
そんな事があったのか。
その時、ドアが開く。
[お、お待たせしました…って]
[貴方、彼女と一緒に寝るってまさか]
[ん?何が言いたい]
[いや、何でもないわ]
葵の方を見ると彼女は顔を赤くしている。
そして俺と目が合うと彼女は何故だか目をそらした。
[貴方、良かったわね]
[何がだよ!?]
そうして話は終わり、俺と葵は城へ向かう。
[だいぶ長いですね]
[そうだな]
通路が凄く長いせいで足が疲れる。
疲労を感じるゲームなんて、ゲームじゃないだろと思ったが、ゲームなんだよな。
ドアを開くとそこにはは一人の少女が居た。
[貴方が、きいなの?]
[なぜ、俺の名前を?]
[そんなの誰でも知ってるわよ、貴方は有名だからね]
有名?なんだ、この少女、NPCでは、無いのか?
[それじゃあ、貴方に命令をだそうかな。うーん…]
少女が考え込む。すると
[よし、今日から貴方は私と付き合う、それが命令]
[は?]
[な、ななな何言ってるんですか!?]
[その言葉通りなのだけど]
葵が俺の前に立って少女を睨み付ける。
[それとも何?貴方はきいの事が好きなのかしら]
[そ、そんなこと無いですよ!!]
[なら、決まりね]
[だめー!!]
なんだこの状況、なぜ俺でこんなにもめているんだ?
[悪いけど、俺は早く5階層をクリアしたい。だけどその命令は無理だ]
[なんで…]
[ん?]
[なんで、私を選ばないの、なんで…]
様子がおかしい
[葵、逃げるぞ]
[え?]
[急げ]
少女の方を見ると体が変化している。
そしてドラゴンへと姿が変わった。
この時、俺は全てを察した。
彼女の命令を聞くとクリア、なのではなく彼女を倒すことでクリアなのだ。
[葵!]
モンスターが葵に攻撃を繰り出す。
その攻撃で彼女のHPがかなり減ってしまった。
[葵、先に逃げろ]
[でも]
[良いから、早く]
俺は攻撃を防ぎながら彼女に告げる。
彼女は申し訳なさそうにその場から逃げる。
[おっと、お前の相手は俺だろ]
レベル25のモンスター。俺のレベルは16だ。
一見すると無理かもしれない。だけどやるしかないんだ。今此処には俺しか居ない。
このまま放置したら、この都市の人、プレイヤーがやられる。それを何としてでも止めなければ。
その時、俺の脳裏に何かが浮かぶ。
[一か八かだ。リクル!!]
不思議な力。それがあるんだったら出来るはずだ。アイツを俺自身が取り込んでやる。
[うおおおお]
くそ、痛い。だが俺が、俺は。俺が、このゲームをクリアするんだよ!!
そうして俺は気絶した。
◇◇
[やっと、目を覚ましましたか?]
葵が椅子に座って俺の方を見る。
俺はベッドで横になっていた。
[モンスターは?]
[分かりません。私が行った時には何も居ませんでした]
[そ、そうか]
すると、彼女の緩んでいた顔が真剣な表情に変わる。
[すみませんが、私はパーティを抜けます]
[え?な、何言ってんだよ]
彼女は黙り込む。
[だって、此処まで階層をクリア出来たのは俺と葵が協力したからだろ?]
[…ごめんなさい]
ただ彼女はそう言って部屋から出る。
部屋に残されたのは俺と1000テインだった。
[どうしてだよ…]
◇◇
時は遡り、数時間前。
[ようやく目が覚めたか]
此処は、病室?隣には楓が居た。
私は…って
[きいがまだ!]
[ああ、アイツなら大丈夫だよ]
[…私は、役に立てない]
[さあね、誰でも最初はそうさ。あのきいだってそうだったんだから]
その言葉を聞いたけど、それが嫌だった。
彼の役に立ちたい。そう、心に誓った。
[ふ、それなら私が鍛えてあげるよ。きいを鍛えたように]
[良いんですか?]
[まあね、ただし条件がある]
[条件?]
[終わるまできいとはパーティを抜ける事だ]
その言葉に私の頭では嫌だという考えでいっぱいになる。
[これも強くなる為なんだよ]
[ですが]
[それとも役に立てないままきいと居るつもり?]
[…分かりました]
そして今に至る。
私だって彼のパーティを抜けたくない。
だけど、もっと強くならないと。私が彼と居るためには、そうしないと。
そう思ったけど、目からは涙が流れていた。
それを拭い、楓と一緒に旅へ出る。
俺は、彼女に不満を持たせていたのかもな。
そう思い、俺はテインを手に取り病室を出る。
こんなことをしてられない。次の階層に行かないとな。
その時、白い髪のショートヘアで片方の髪が三つ編みになっている少女が俺に声をかけてきた。
[すみませんが、少し良いですか?]
[あ、ああ]
このゲームでは、何が起こるか分からない。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
葵がパーティを抜けきいの師匠と修行に出る。
そして、きいに声をかけてきた少女、一体何なのだろうか。次回もお楽しみに!!




