3話 2階層攻略
[そういえば、何で葵はゲームを始めたんだ?]
前からずっと思ってた疑問、俺がそう彼女に訪ねると彼女は少し考え込む。
[それ、貴方に何か関係ありますか]
ムスッとした表情で俺の方を見てくる。
[いや、別にそういうつもりじゃ]
[まあ、良いです。なぜかと言われたら、ゲームをしてみたかったから、でしょうか]
ゲームをしてみたかったから?別に良いことじゃないか。新たに挑戦をするということは凄いことなのだから。
[良いじゃないか、挑戦が出来て]
[ええ、そうね。だけどログアウト出来ないのなら意味無いじゃないですか]
[あはは、確かに]
[確かにって、なんでそんなに呑気で居れるんですか]
呑気?俺が?そんなわけないだろ、俺だって、死ぬかもしれないゲームをしたくねぇよ。
だけど、現実に戻っても、良いことなんて何一つ無いんだ。
[私はとっととこのゲームをクリアして現実世界に戻ります、貴方はどうせゲームしか取り柄がないんでしょう…けど]
葵は俺の表情を見て強気な声から弱気になった。
[そうだな、俺にはどうせゲームしか取り柄が無いよ]
[ごめんなさい、言いすぎてしまって]
[気にすること無いよ、全部、事実だから]
葵は申し訳なさそうな顔をして俺の隣に座る。
[だけど、貴方が居てくれると凄く心強いですよ]
[そっか、それなら嬉しいよ]
その時、現実世界での記憶が蘇る。
俺は苛められる側の人間だった。誰一人とも俺の味方なんて居ない。先生だって…そんな生活を送って暮らすのなんかもう嫌だった。うんざりだ。俺はモブキャラなんだなと自覚した。誰だってあんな風になりたいと思うだろう。いつも周りには女子が居て、話し相手が居て、強者感があって、だけど、俺はそんな風にはなれない。そんなこと自分でも分かってる。だからゲームをしだした。ゲームなら、俺に居場所が出来る。
なに考えてんだかな。
[葵、そろそろ2階層を攻略しに行くぞ]
[は、はい]
俺に出来ることはただ一つ。このゲームをクリアしてプレイヤーを救うことだ。
今頃現実世界ではこの事がニュースになり、大変な事になっているだろう。だが、むやみにVRを外せない。もし外すとVRの液体が混ざり合い、それが脳を一気に溶かす可能性があるからだ。
[きい、どうしたんですか?]
[ああ、なんでもない、少し考え事をしてただけだから]
俺と葵は階段を下る。
そこには前よりもプレイヤーが沢山居た。
[結構プレイヤーが居ますね]
[まあ、新作の有名ゲームだからな]
[そうですね]
モンスターが現れた。
[葵、いくぞ]
[分かってます]
[アチープ、アダクト]
鋭い一撃で高ダメージを与える。
[葵、チェンジだ]
[はい!!]
チェンジパリイが発動し、相手の攻撃を防いだ。
[今だ、その隙に攻撃を叩きつけろ]
[はい、エルドプレス]
赤く光り、周囲のモンスターにもダメージが入った。
モンスターは倒れる。
[おお、良くやったぞ葵!!]
[は、はい]
レベルアップ、6レベになりました。
[きい、5レベに上がったんですけど、これって?]
[ああ、ステータスだよ、自分で好きなものにステータスをふれるんだ]
[そんなことが出来るんですか?]
[ああ、俺の場合は攻撃と特攻、あとは幸運かな]
今見れば防御と特防が低すぎる。
[そのステータス配分は脳筋過ぎません!?]
[良いんだよ、防御と特防なんてキャラコンとかでどうにか出来る]
[何ですか、それ…]
葵が呆れた顔で俺の方を見てくる。
[そんなことより、葵はどうするんだ?]
[そうですね、私は防御と攻撃を上げます]
[おお、それはまあバランスが取れてるな]
[…貴方が脳筋過ぎるだけでは?]
うう、反論も出来ない。
[まあ、先へ行こうか]
[話を反らしましたね]
[い、良いから]
[良い無いです!!]
とまあ、道中色んなことがあったけど何気に葵とは息がぴったりだ。攻撃とチェンジのタイミングが揃っている。
そしていよいよ2階層も終盤を向かえる。
[もしかして2階層のボスって]
[ああ、オークだよ]
オーク、HPはそこそこだが攻撃力が半端ない。
オークにダメージを与えるには炎属性を持っていなければダメージが通らない…ってなんだその特殊なオークは!?
[おい、葵]
[何ですか?]
[悪いが相手は炎属性じゃないと攻撃が通らない]
[何ですかその特殊な攻撃手段は!!]
[俺もこんなの初めて見た]
だが良い、都合良く炎属性の技を習得したんだ。
[葵、カバー任せたぞ]
[分かってます、任せてください]
[アチープ、ブレアテイン]
斬撃と共に炎の竜巻が現れる。
その時、オークが攻撃を仕掛けてきた。
やべえ、防げねぇ
[はあぁ、チェンジパリイ]
葵がチェンジをして攻撃を防ぐ。
[ナイスカバー、葵]
[はいはい、ラスト決めますよ]
[おお]
[エスト] [テイン]
二人の攻撃がオークにヒットする。
[葵、あぶねえ!!]
[え?]
オークが倒れたが崖が崩れる。
[痛てぇ、大丈夫か?]
間一髪で葵を守れた。あのままだったらきっと死んでいただろう、と俺はひと安心する。
[は、はい…って]
俺の手が葵の胸に当たっていた。
[へ、変態、スケベ、とっとと手をどけてください]
[わ、悪かったよ今どく…ってあれ?体が動かねぇ]
なんだこれ、金縛り?いや、そんなものこのゲームにあるのか?
[嘘に決まってます、どけて…下さい!!]
彼女からの強烈なパンチが俺に叩きつけられた。
[痛てて]
なんとか金縛りが溶けた。
[俺じゃなきゃ死んでたぞ、今の]
[逆になんであれで生きてるんですか]
[はあ、幸運のお陰だ、それより、今のは!?]
一体誰が?まさか、俺と葵を殺そうとしてたのか?
[な、何考えてるんですか!?]
[いや、そうじゃなくて、さっきほんとに金縛りにあったんだよ、だからそれについて考えてんだ]
[金、縛り?]
[ああ、急に体が動かなくなるんだ、あるとすれば魔法くらいしか無さそう…]
待てよ、あの時のアイツ(エルデ)のパーティって…
[葵、先に進むぞ]
[え、でもレベルが]
[此処から上に上がることはもう出来ねえ、急ぐぞ]
[は、はい]
俺と葵は急いで次の層へと向かう。
[どうしたんですか?]
[良いか、良く聞け。エルデのパーティに居た魔法使いが俺達を殺すつもりだ]
[それって…]
[ああ、あの時の復讐をするつもりだ]
急いで何処かに行かないと。
俺は急いでマップを開く。
[葵、3階層の町に行くぞ]
[え、地下に町なんてあるんですか?]
[ああ、急ぐぞ]
何とか2階層を攻略できた。一体何層あるんだ?
しかもゲームのクリア条件は不明、つまりあるかすら分からない。
プラスでエルデのパーティにいたあの魔法使い、アイツが俺達を殺す気で来るなんて、やばいかもしれない。
最後まで作品を読んでいただきありがとうございます。
やっとのことで2階層攻略。そしてエルデのパーティにいた魔法使いの復讐。
主人公と葵は一体どうなるのか!?




