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第9話 理人の忠告

第9話です。

4人が仲良くしてます。距離感がちょうどいいのかもしれませんね。

嫌な予感が当たった。

スマホのロック画面に通知が溜まっていた。


実は、連絡を返すのが苦手なのだ。


理人からは朝七時に『おはようございます。今日もよろしく』

湊から深夜三時に『ランク上げるぞ!!』

澪から早朝五時に『おなかすいた』

そして、夜霧から朝六時に

『おはようございます、今日もお会いできるのを楽しみにしていますね』


今日もあの人たちに囲まれるのかもしれない。

そういう覚悟をした。


支度をして大学に向かう。

校門をくぐると…


理人がいた。


木に寄りかかって本を読んでいたが、私を見るなり顔を上げる。

「……遅いですよ。」


遅くはないはずだが、一応挨拶をする。

「おはようございます。」


ふっと小さく笑って、続ける。

「……顔に出てますよ。流石に、傷つきます。」


一体いつから待っていたのだろうか。


「待っていたんですか?」


「別に待ってたわけじゃないですよ?たまたま早く来ただけです。」

本に目を落とし、涼しい顔で続ける。


「……それに、誰かが来ないと講義の場所わからないでしょう、アナタ。」


私はなんだと思われているんだ


「大丈夫です、ちゃんとわかりますよ…」


「そうですか。それは残念。」

今度は本を閉じながら、にっこりと笑顔で言った。


そこへ――


全力ダッシュで湊がやってきた。

「おっはよーーー!!」


私と理人の前でピタッと止まり、

「あれ、理人もういたんだ!珍しー」


理人は涼しい顔で無視した。


こちらに顔を向けて、

「なあなあ!昨日やってた剣神の配信見た?新ステージやばかった!楽しみだよな!!」


案外ちゃんとゲームやってるんだ……。


昨日のことを思い返すと碌なことをしていない。

「昨日は酔っ払って寝ちゃって…」

と、苦笑いした。


それを聞いた湊はけらけら笑った。

「酒飲むんだ?何好き?ビール?チューハイ?」


私が質問攻めにあっていると、いつの間にか夜霧が背後に立っていた。

「おはようございます。」

にっこりと笑ってそう言った。


湊もびくっとする。

「うわっ!お前いっつも音ないな!」


「ふふっ、驚きすぎですよ?心臓弱いんですか?」


さらっと煽っている。


理人はちらっと夜霧を見るだけだった。


夜霧の手にはコンビニの紙カップが二つあった。

一つを理人に差し出すと


「はい、ブラックでいいですよね?」


理人も素直に受け取りながら

「……どうも。」


お互いの好みを把握しているようだ。

理人も夜霧の分を用意していた形跡がある。


そこへ澪がのそのそと現れた。

「みんなはやいねぇ……」


ぼんやりみんなの話を流し聞きながら、観察モードに入る。


湊が澪に絡みに行く。


「お前またどっかの家転がり込んでたのかー?」


「んーとね……昨日はねぇ、知らない人の家ぃ。」


「相変わらずだな……」


心配しているようで心配していない様子。

お互いの距離感を合わせるのが上手い男達だ。


仲良いなあ。


五人が揃った朝の風景。木漏れ日がそれぞれの髪を照らしている。

それが、ひどくキラキラして見えた。


「さて、そろそろ移動しますよ。で……瑞希さん、何にやけてるんですか。」


いえ、滅相もございません。

私にターゲットが移った。


理人がじとっとした目で、

「その顔は確実ににやけていましたけど」


夜霧が楽しげに口を挟む。

「いいじゃないですか、笑ってる方が可愛いですよ?」


それを聞いた湊が、

「え?今なんつった?」


ベタな少女漫画の鈍感主人公のようだ。


「……何も?」


君たちはなぜ朝から少女漫画をしているんだい。


そのやりとりを聞いていると、

突然澪があくびしながらぷる美にもたれかかる。

「ふあ…ねぇ、瑞希ちゃぁん、眠い……」


「……近いです。」


「やだぁ……」

そう言ってさらに体重がかかる。


正直身長180超えは普通に重い。


理人が深いため息をつき、

「またですか。」


夜霧は動かず、観察するようにこちらを見ている。


「おいおい、昨日は夜霧が助けたけど今日は誰が助けるー?」

湊がニヤニヤしながら言った。


私は諦めて耐えた。

そう言うなら助けてほしいところだ。


澪は抵抗されないことで、ぱあっと表情を明るくした。

「やったぁ……瑞希ちゃん優しい〜」


違うぞ。

許可したわけではない、諦めただけだ。

しかし澪にはそんな区別はつかないらしい。


「おお、男前だな!」


お前が助けろ。


理人がコーヒーをすすりながら

「甘やかすとつけあがりますよ、その人。」


「理人くんうるさぁい。」


左肩に澪の体重がずっしりとかかっている。

重いし暑いし歩きづらいことこの上ない。


前を理人と夜霧が並んで歩いていた。

理人が何か皮肉を言い、夜霧が涼しい顔で返す。


その横で湊が大声がははと笑っていた。


ふいに耳元に小声で

「ねぇ……瑞希ちゃんってさぁ、誰が好きなのぉ?」


好き、とは?


今にも眠りそうな、とろんとした目で

「みんなの中でぇ、誰の顔が一番赤くなるぅ?」


「うーん、特に……」

めちゃくちゃ本心だ。

昨日の今日でそうなっていては生きてはいけない。


じーっとこちらの目を覗き込む。

「ふぅん……ほんとにぃ?」


理人が前から振り返らずに声をかけてきた。

「何ひそひそしてるんですか、不気味ですよ。」


苦笑いでやり過ごす。

顔がいいと絶対の自信がつくのだろう。


講義棟に着いた。今日も大教室。

席についた途端、李風が瑞希から離れた。

電池が切れたように机に突っ伏す。


解放された…


「ねるぅ……」


湊が隣の席にどかっと座り、

「こいつ毎回これだな」


夜霧が微笑みながら言う。

「寝顔も綺麗ですね。」


この人は男を褒めちぎって何をしようと言うのか。


理人が斜め前の席から口を挟む。

「それ、セフレにも言ってるでしょう。」


でしょうね。


ふふっと笑い

「さあ?どうでしょう。」


理人が舌打ちをした。


教授が入ってきて講義が始まる。

今日のテーマは宗教学。正直どうでもいいが、授業は授業だ。


三十分ほど経った頃。

机の下で何かが足に当たった。

見下ろすと、足元に丁寧に畳まれた四角いメモが落ちていた。


メモを開く。

几帳面な字でこう書いてあった。

『あの人たちに深入りしない方がいいですよ 忠告です』

わざわざ机下で渡してくるあたり、理人なりに配慮しているのだろう。

前方にいる理人は何食わぬ顔でノートを取っている。


この人は手紙魔なのだろうか?

ここまで読んでいただきありがとうございます。

忠告されると気になりますよね。

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