第7話 日常の終わり
第7話です。
主人公の1人ハッピーライフが終わります。
夕方、キャンパスの出口。
湊がぶんぶん手を振っていた。
「ほなまたなー!フレンド申請送るわ!」
澪はふらっとどこかへ消えていた。
今夜の宿を探しにいくとかそんなところだろう。
理人はこちらに向き直り軽く会釈をする。
「お疲れ様です。……また明日。」
最後に残った夜霧が見下ろしてくる。
「瑞希さん、帰り道はどちらですか?」
どうもこの人は底が見えない。
さながら、蛇に睨まれた蛙である。
「こっちです…」
観念した。
「奇遇ですね、ワタシもそちらなんですよ。」
……ほんとかぁ?
この男の発言を間に受けてはいけない。
二人並んで夕暮れの道を歩く。
夜霧は瑞希に合わせてゆっくり歩幅を合わせてきている。
「今日は楽しかったですよ。瑞希さんがいると華がある。」
お世辞にも程がある。
「ありがとうございます、私の家もうすぐなので…また…」
夜霧が足を止める。
「ええ、また。」
角を曲がるまで、背中に視線を感じていた。
「……ふふ。」
夜霧があやしく笑う。
その意味は本人にしかわからない。
瑞希がアパートの部屋に辿り着き、玄関の鍵を閉めた瞬間、
靴も脱がずにそのまましゃがみ込む。
「うわぁあああああ」
でっかい声が出た。
スマホの通知は四件溜まっている。
湊からのフレンド申請。
理人から「明日の時間割」という業務連絡。
澪からはおやすみのスタンプひとつ。
そして、夜霧からは、
『今日はお疲れ様でした。帰れましたか?』
一旦、すべて放置する。
一人の時間は大切だ。
シャワーを浴びて部屋着に着替える。
そして、ベッドにダイブ。
一連のルーティンを終え、冷蔵庫から出したチューハイのプルタブを開ける。
ぷしゅ、という音と共にリラックスタイムが始まった。
テレビをつけながらスナック菓子を広げる。
誰にも邪魔されない一人の空間。
これが一番贅沢な時間だ。
――のはずだった。
しかしあの四人の記憶が頭から離れない。
テレビをつけるとバラエティ番組が始まった。
夜霧に似た芸人が、笑顔で毒を吐いている。
スマホを見る。
未読の通知が四件、光っている。
うーん…これはいけない。
……逃げ場がなかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
これはもう戻れませんね。




