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第5話 しかし、逃げられなかった

第5話です。

ついに巻き込まれます。

理人が口角をわずかに上げた。

「おはようございます。……随分と仲良さそうですね、湊」


「さっきちょっと話してん!」


「へぇ〜……瑞希ちゃん、だっけぇ?」


なんで知ってんだ。


一応、挨拶はしておく。

「…おはようございます。」


夜霧が穏やかに微笑んだ。

「おはようございます。隣、空いてますよ?」


夜霧が隣の席を軽く引いた。

この笑顔の裏に何があるのか、私にはわからなかった。


断ったら何をされるかわからないという一種の防衛本能が働き、

大人しく夜霧の隣に腰を下ろす。

「ありがとうございます、失礼します。」


その瞬間、ふわりと甘い香水の匂いが鼻をかすめた。

ほお、これが遊び人の香りか…グッドスメル…


夜霧がさりげなく椅子を引きながら、

「どういたしまして。」


理人がゆっくりと立ち上がり、わざわざ席を移動してこちらの前に座る。

「わざわざ夜霧の隣に座らなくても、他にも席はありますけどね。」


「俺もおるし!」

そう言ってどかっと座る。

湊と夜霧に挟まれる形となった。


「澪はぁ、ここだよぉ。瑞希ちゃんの後ろぉ。」


どうしてこうなった。


前方に理人、横に夜霧、後ろに澪、反対隣に湊。

四方を囲まれている。


理人がさりげなく席を立ち、こちらに近づく。

「昨日はありがとうございました。ちゃんと返してくれる人、珍しいんですよ。」


ぺこりと会釈する。

おそらく今、私はゲンナリした顔をしているだろう。


理人には見えていたのではないだろうか。


夜霧もふとこちらを横目に見て話しかけてくる。

「瑞希さんは、いつもこの講義を?」


「はい、今年中は。」


「じゃあ、これから一緒ですね。よろしくお願いします」


別によろしくお願いしたいわけではないのだが、そんなことは口が裂けても言えない。


そこに、湊が割り込んできた。

「なあなあ、昼飯も一緒に食おうや!昨日と同じ学食で!」


「勝手に決めないでもらえます?私にも予定があるのですが?」

理人がこめかみを抑えながらそう言った。


「昨日ないって言うてたやんけ!」


理人はため息をついた。


ふわぁとあくびが聞こえる。

「いいんじゃなぁい?みんなで食べた方が楽しいよぉ?」


澪の言葉に、理人と夜霧が同時に怪訝な顔をした。


この人たちはなぜ私を囲んでご飯の話をしているんだ…

勝手に行っておくれ、私は遠くで眺めるから。


夜霧に、「私は関係ない」という空気を察知された。

「瑞希さんもご一緒にどうですか?」


「関係ないと思っとったんか?!瑞希を誘ってたんやで?俺は!」


愛想笑いをすることしかできなかった。

そして断れず、結局、一緒にお昼ごはんを食べることになった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は一緒にお昼ご飯を食べます。仲良しですね。

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