第20話 ミスコン
第20話です。
ついに本番です。
午前六時半。
アラームが鳴った。
冬の朝なので、暗かった。
集合時間5分前、インターホンが鳴った。
夜霧だった。
「おはようございます、瑞希さん。少し冷えますね。」
コートを着込み、手にはコンビニの袋。
中には肉まんが四つ入っていた。
よく気が回る男だ。
次に理人と澪が七時ぴったりにやってきた。
「おはようございます。時間通りでしたね」
「おはよぉ、理人くんが連れてきてくれたぁ。あったかぁい」
澪が理人の背中に張り付いていた。
その十五分後に湊がダッシュでやってきた。
「っは、セーフ!……寒すぎやろ!」
理人がピシッと言った。
「アウトです。遅いですよ。」
その頃には最初に到着した夜霧のメイクが始まっており、
すでに下地が終わっていた。
「みなさん、おはようございます。先に始めていただいていますよ」
「早いですね、夜霧さん」
理人が荷物を置きながら言った。
湊は夜霧を指をさす。
「抜け駆けしとるやんけ!」
港を尻目に夜霧が微笑む。
「ふふ、早起きの特権です」
「ああ、みなさん肉まん買ってきたので、食べてください。」
夜霧が持ってきた袋の方を見ながらそう言うと、それぞれお礼を言いつつ袋から肉まんを取り出す。
八時、夜霧のメイクが終わった。
その後も衣装を着てもらい、メイクをし、次々と終わらせて行った。
全員が終わった頃にはお昼を過ぎていた。
ミスコンは十五時から開始だ。
それぞれ待っている間に瑞希の家でお昼を済ませて、タクシーで学校に向かった。
運転手さんがギョッとしていたのは気にしないことにした。
早速会場の体育館へ向かうと、すでに参加者が揃っていた。
私は、「じゃあ頑張ってください」と言って客席に向かう。
ステージの幕が開き、司会がマイクを握る。
私は最後尾からぼんやりと眺めていた。
参加者は全部でミスター部門とミス部門、それぞれ十人ほどらしい。
「それではミスター部門のエントリーナンバー1番!、ステージへどうぞ!」
その声と共に音楽が始まり、一人ずつ順番にステージに上がる。
ステージ上では、アピールタイムがあった。
特技を披露したりスピーチをしたり様々だ。
ミスター部門を眺めているうちに、ミス部門が始まった。
最初は夜霧だった。
優雅に微笑むと、それだけで悲鳴が上がった。
さらに、ウィンクをした。
何人かの目がハートになっているような気がした。
さながら、モデルさんだった。
何人かの後、理人だった。
四人以外のレベルは様々だった。
理人は何かの原稿を読み上げていた。
いつの間に用意していたのだろう、完璧なプレゼンだった。
完璧な女社長の設定を守っていた。
湊は、ノリで場を沸かせた。
さすがは陽キャ。
いや、ギャルだった。
最後は澪だった。
澪はだるそうにフラフラ歩いてステージに上がると、
こちらを見つけて手を振ってきた。
それだけで、なぜか会場が湧いた。
手を振替してもらえず、澪はむくれながらステージを降りて行った。
結果発表は1時間後だった。
会場を出る時に投票をするのだが、私は誰にも投票しなかった。
体育館を出ると、四人が女の子に囲まれていた。
みんな、ファン対応に忙しいようだったので、一人で飲み物を買いに行き、暇を潰した。
結果発表の時間の少し前に体育館に戻ると、舞台袖のすぐ近くの席に案内された。
時間になる直前、四人が衣装のまま戻ってきた。
そして、私を見つけるなり全員寄ってきた。
夜霧が、舞台で見せたあの微笑みを浮かべる。
「瑞希さん、見ていてくれましたか?」
それに続き、湊も。
「手応えはあったで、票はだいぶ集めたはずや!」
「他の参加者のレベルを見る限り、負ける要素はないかと。」
そう言うと、理人はニヤリと悪い顔をしていた。
「あ〜瑞希ちゃんだぁ、なんで澪に手を振返してくれなかったのぉ?」
澪はむくれていた。
「みんな見てましたよ。素敵なステージでしたね」
そう言うと、澪の機嫌も戻った。
単純なものだ。
そうしていると、司会の声が響いた。
「それでは結果発表です!まずは第三位から!」
ドラムロールが流れる。
「第三位エントリーNo.7、理人さん!」
一瞬、悔しそうな顔をしたが、すぐに涼しい顔に戻りステージに上がっていく。
「第二位は!」
ドラムロールが流れる。
「第二位エントリーNo.10、澪さん!」
「俺ぇ?」と言って、ステージに上がっていった。
「第一位!」
ドラムロールが流れる。
「第一位エントリーNo.3、夜霧さん!!」
余裕の表情でモデルのようにステージに上がっていく。
微笑みひとつで会場の空気を支配する美貌は、伊達ではなかった。
以降の順位は第四位がNo.8の湊で、以降に他の人たちが続いた。
さすがは大学で有名なイケメンたちである。
湊はすごく悔しそうにしていたが、ギャルだった。
表彰式が始まると、夜霧にトロフィーと優勝賞品が渡された。
「さらに!一位以降の上位三名には——特別審査員賞も授与されます!」
司会のその声の後、他の三人にも小さなトロフィーが渡された。
四人の中で、湊のギャルが結構自信作だったので、自分も少し悔しかったが、
全員で上位を独占するという約束が果たされ、大満足だった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
上位独占、達成です。




