異能力
投稿時間……めちゃくちゃ迷います。
決闘後、黒鉄は保健室に運ばれた。
ぱっと見そこまで深手を負ってなさそうだ。
それにしても、気絶せずにあのまま戦闘していたらどうなっていたのか気になる。
「なんだか……大変な一日でしたね」
一緒に帰宅しているイヴが俯いて言った。
「ああ。今後が心配だよな」
このままでは、今後の行事で苦戦を強いられるのは間違いない。連携も信頼もないからな。
今は打つ手なし、か。
「それにしても暑いな」
時期は春だが、今日は特に気温が高い。昨日テレビで見た天気予報だと夜まで三十度近くあるそうだ。冬服の上着を脱いで肩にかけているが、汗が止まらない。
そんな時には便利な異能力がある。
まわりに同じ学校の生徒が下校しているが、同級生かも知らないし、向こうもそれを知らない。
そのため、異能力バレというのもないだろう。
細かく警戒するのであれば使用は控えておくが……。
そもそも俺の能力なんてバレたところでしれてる。
「うわぁ……涼しい」
俺の能力は「風力操作」。
自身から半径五メートル以内の風を操ることが出来る能力。攻守共にあまり長けておらず、決定打に欠ける。
口頭で軽く説明した。
そして今、彼女に風を送ってエアコンのようなことをしている。
「風使いですか?良いですね」
「まあ、多少なら空は飛べるし、便利だな」
「じゃあ、私からのお返しです」
彼女は右手をこちらに伸ばし、俺の頬に手を当てた。
「冷たっ」
「私の能力、というか副産物みたいな感じです」
スマホを取り出し、学生証に記載された異能力の項目を見せてきた。
●「冷域」(コールドリージョン)。
途轍もなく冷たい冷気を操る能力。その気になれば絶対零度の-273.15℃へと変換できる。
能力範囲は自身の半径約四メートル以内。
めちゃくちゃ強いなこれ。
「俺のより全然良いじゃないか」
「そうでもないですよ……消費激しいですし。
それに、能力のせいで普通の人より体温が低いんです……まるで死体みたい、って」
異能力は便利なものが多いが、誰も彼も好き好んで得たものじゃない。生まれた時から何が使えるか決まっている。早くて三歳、遅くて中学生までには能力の兆しが訪れる。
彼女も苦悩してきたんだろうな。
「悪い。軽はずみな言動だった……」
「あ、そんなの気にしないでください」
それからちょっとした沈黙が続いた。気まずいというか、お互いに会話の引き出しがないからだ。




