表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/60

決闘

日村と黒鉄は羽澤先生から許可を得て、多目的ドームを借りた。

先生は、この決闘を否定するつもりはないらしい。

そして、半数以上の生徒が観客として参加した。


ルールはどちらかのダウン。及び、これ以上の戦闘は厳しいと判断された時点で終了。


ドーム内にある大きなモニターにはテンカウントが表示されていた。


「二人とも準備は良いですかー?」


「おう!」


「おっけーでーす」


二人の準備は整ったようだ。



「んじゃ、行くぜ!!」


カウントが終わると同時に、

黒鉄は物凄い勢いで日村に突っ走って行った。


「うぉっと!」


素早い攻撃に対応する日村。口だけの男じゃないようだ。


「いつまで避けられるかなぁっ!!」


「君が負けるまでさ」


避ける動作に無駄がない。先にバテるのは間違いなく黒鉄の方だ。というか、二人ともまだ異能力を見せていない。探っているのだろう。

能力者同士ってのは初見殺しによって決着がつくことが多い。

異能力を発動するタイミングはかなり重要になってくる。


「どうだっ!!」


ラッシュを仕掛けていた黒鉄は、一瞬の隙を見つけてストレートを打った。


「はぁーあ。期待外れだよ」


動じることなく黒鉄のストレートを手で受け止め、溜息をついた。


「ぐぁっ!!」


すると、日村から突然風が吹き出した。突風に見舞われた黒鉄は吹っ飛ばされ、寝転がっている。


先に能力を出したのは日村の方か。

まだ全貌は見えないが、厄介なのは間違いなさそうだ。


「どうしたの?このままじゃ負けちゃうよ?」


「うっせぇ!まだこれからだ!」


「へぇ」


異能力を出すことなく、再び突っ込んでいく。

呆れた日村は再度風で追っ払う。


「へへっ!もういっちょ!!」


「君さぁ、やる気あるのかな?」


「あるに決まってんだろー!!」


「暑苦しい人間は嫌いなんだよね」


「ごぉっ!?」


再び突っ込んできた黒鉄に対し、今までの中で一番強力な突風を起こした。客席にまで余波が来るほどの威力に、クラスメイト達は驚愕している。


「先生、もう終わりでいいですよねー?」


日村は勝ちを確信し、ニヤリと笑みを浮かべている。


「まだですよ〜」


「ん?なぜです?」


「勝手に勝敗……決めてんじゃ……ねぇよ」


至る所傷だらけで出血している。彼は日村同様に笑みを浮かべ、立ち上がった。


「うわ……しつこ」


「行くぜ……クソ野郎!!」


どこか雰囲気の違う黒鉄は目を見開き、獣の様に四つん這いになって日村に迫っていく。

ヤツの体の至るところから血が出ており、それがマフラーのようになびいている。


またまた風で追っ払おうと構えていたところ、

既に黒鉄は日村の眼前に迫り、握り拳を振るっていた。


「っ!?」


右ストレートが顔面にクリーンヒットし、思いっきり吹っ飛んだ。ものすごいスピードとパワーだな。確定ではないが、黒鉄の能力は血液がトリガーとなっているみたいだ。身体能力強化、ってことでいいのか?


「ごほっ!ごほっ!」


「どうだ……?痛てぇ……だろ?」


「ちょっとはやるね。でも、もういいや。……ん?」


何かをしようとした日村だが手を止めた。


「あ……」


いきなり黒鉄がバタッと倒れた。


「はーい。そこまでです」


突然勝負が決まり、クラスメイトは唖然としている。負けた黒鉄は退学、か。



「はぁ……随分と調子に乗ってくれたね。黒鉄くーん?」


うつ伏せに倒れた黒鉄の頭を力強く踏み、煽っている。


「よせっ!」


塚本がいつの間にかグラウンドの方に駆け出していた。


「え?なに?」


「そこまでする必要はないよね」


「イラッとさせるほうが悪いのさ。まあ、もう二度とこの顔を見なくて済むからいいけど」


顔を踏むのをやめ、あくびをしている。つくづく性格の悪い奴だな。


「日村君……」


「なに?」


「彼の退学を……取り消してもらえないだろうか」


退学取り消しの交渉を持ちかけたが、相手が悪い。クラス一と言っていいほどひねくれている奴だ。


「はい?」


「もちろん、その際には君に対価を支払うよ」


「うーん。対価ねぇ」


「頼む……このとおりだ」


塚本が深々と頭を下げた。


「いいよ。塚本君とは長い付き合いになるだろうし、今回は君の顔を立てて取り消すよ」


「本当に?……ありがとう!」


「でも、対価はいただくよ。君と……こいつのマネー全額をね」


「分かった」


「じゃあ交渉成立ってことで」


退学は免れるが金は無くなる、か。どちらにせよ、黒鉄は今後地獄を見ることになりそうだな。

塚本も金無しだが、アイツは人望もありそうだしなんとかなりそうな気がする。


「塚本くーん!」


「あんなバカのためになんで?」


「彼はクラスにとってかけがえのない存在の一人だからね。こんなことで失うわけにはいかないよ」


このクラスは彼を主体として動いていくのだろう。マネーを失ってまで誰かを救うほどのお人好しはそういない。


「塚本君って超優しいのね。ホントカッコいい!!」


「それな。てか、日村サイテー」


「本当最低ね」


クラスの女子達が塚本に駆け寄り、塚本に称賛と日村に批判の声が響いた。



しかしこのクラス……大丈夫だろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ