潜入と真実
謎の仮面シスターとの戦闘とあとから来たテロリストとの戦闘を終え、校内に入った。
疲れた。先ほど倒したテロリストから拳銃をまた奪い、それを持ちながら潜入している。
まだ余力はあるが、出来るだけ能力を無駄に出したくはない。
「おい!さっきの音聞いたか!?」
「ああ、行ってみるか!」
中にも何人かいるな。
俺は物陰に隠れてチャットを確認する。
主に神薙が発信しているようだ。
内容は主に、校内に関する情報。
そしてどうやら彼女は一足先に校内を進み、人質の元へと向かっているようだ。
履歴は三分前。よし、俺も行こう。
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場所は体育館。
道中かなりの数のテロリストが倒れていたが、
神薙がやったのだろうか。
体育館のドアから少しだけ顔を出し、中の様子を伺う。
中には神薙とリーダー的なやつが一人。
他にもいたが、既に倒れていた。
人質となっている方達は口を封じられ、手足を縛られている。一応無事なようだ。
「颯斗!」
背後からボロボロな黒鉄が走ってきた。その後ろから塚本も走ってきている。黒鉄と比べて、これといった怪我はしていなさそうだ。
「無事だったんだね」
「ああ、なんとかな」
「おい、状況は?」
「どうやらあとアイツだけみたいだ」
「んじゃ、サクッと終わらせますか!殺さない程度に」
中にズカズカと入っていく黒鉄。
「ぎゃあああ!!!!」
突然、最後に残っていたテロリストは断末魔のような声を張り上げ、泡を吹いて倒れた。
テロリストに纏わりついていたあの黒いモヤは一体……。
「ふぅ…………」
神薙は疲れからかその場に座り込んだ。
「お疲れ様」
そう声をかけ、俺達三人は舞台の方で縛られている人質を開放していった。
これで一件落着。
それからまもなくして遅いぞ!!と言ってやりたいくらいのタイミングで会長が入ってきた。
まあ、彼も色々と手を回したり、なにかと大変だっただろうからあまり強く言えない。
「うわっ!!!!ぐっ!!」
「なんだ!?」
スーツを着たふくよかなおじさんがいきなりバッと現れ、アゴからうつ伏せに倒れた。
人質のように手足を縛られている。
ビタンッてすごい音がしたな。
雑なテレポートのようだが、なんなんだ……。
そう思っていると、今度は白装束を着た髪の長い女性がスッと現れた。
あれは……統括理事長兼校長の九条美音。
なにがどうなっている?
「なっ!?」
神薙は驚き、一歩後ろに下がった。
「なんで……ここにいるの?」
「アイツ……どっかで見たことあるぞ?」
「知ってるのか?」
「僕は覚えているよ」
二人とも顔を知っているようだ。
「会原銀兵衛。神薙さんの所属してた大手芸能事務所の元社長。
二年前、自身の事務所に所属するアイドルたちに無理矢理行為をしたのち、殺害。逮捕に至った。被害者は多く、一時期この話題で持ちきりだったよ。でも、確か刑務所で自殺したって……」
「ああ。なんかあったな……そんなこと」
微塵も知らないが、知ったかぶりをする。
「久しぶりだなぁ。真昼。元気にしてたかぁ?」
ニヤついた顔で見上げている。
「何の用?」
「は!決まっているだろう。一からやり直すためにお前を迎えに来たんだよ!ほら!早くこれを外してくれ!!」
状況はどう考えても詰み。それに神薙が
そんな奴の言う事を聞くはずない。
考えなくても分かると思うが……随分とイカれてやがる。
「…………」
彼女は沈黙しながら拳をギュッと握り、震えていた。
「神薙さん。この豚はあなたの好きにしていいですよ。
もし、自分の手を汚すのが嫌であれば私が______」
「いえ、私が処理します」
そう言うと、神薙はしゃがんで自由の効かない会原に拳を振るった。
「ごぱっ!!」
左右交互に殴りつけ、顔面は真っ赤。
「お、い……真昼!!この私を……こ、殺すというのか!」
「当然でしょ。死んだはずなのに、本当は生きてました?ふざけるな!」
普段聞くことのない冷たさに振り切った声が聞こえた。
「なっ!?」
俺と同じように拳銃を奪っていたらしく、制服の内ポケットから取り出し、銃口を男に向けた。
「お、ま…………ほん、きか!?」
「ええ。あの子達はこんなもので殺されたほうがマシってくらいに……苦しんだ!」
「誰がお前をあの世界で……輝かせてやったと思っている!!なのに!!」
「…………それで?」
「今時、一人で売れる……アイドルなんていやしない。お前は元々、ただビジュアルの良い女だった。採用した理由はただそれだけ。アイドルとしてのセンスもなければ、歌唱力なんて皆無!!そんなどうしようもないお前を売れさせたのは俺だぞ!?恩を仇で返すつもりか!!」
「ええ」
「いくらかけてやったと思っている!!いわば私は、お前の親同然だぞ!!」
汗をかきながらバタバタともがいている。
「そんな親が……子供に手を出していいのかしら?……たしかに私はアイドルになりたくても、素質がなかった。売り出してくれたことには少なからず感謝しています。けど、あなたのせいで私は多くのものを失った。ありもしないことを言われ、噂はやがて事実のようにねじまがった。すると、イメージを損なうということで仕事は減少。そこからまた応援してくれたファンも多かったけど、そんな生活にもう疲れちゃったの。なにより、私の大事な親友を……あなたが殺したのだから!!」
「そ、そうか。それは悪かった!だからとりあえずこれを解いてくれ!!真昼!!」
「ああ、そうだ」
神薙の体から黒いモヤが出ると、会原の体を包んだ。
「ううお!?ど、どういう事だ!!」
「私の能力でまずは苦しんでもらわないと。……夕ちゃん、今からコイツを地獄に落とすからね」
「うやぁぁぁぁ!!!!」
モヤを纏った会原は涙を浮かべてバタバタともがいている。
「さよなら」
「や、やめろぉ!!私と一からやり直そう!そ、そうすればお前はまた______」
バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!
頭、腹部、に当たり、会原銀兵衛は死亡。
「はぁ……はぁ」
もう弾が無いというのに、引き金を引き続けている。ただカチカチと音だけが響く。
「はぁはぁ」
息を切らした彼女は、安堵からかその場に座り込んだ。
「二人とも、大丈夫か?」
どちらも突然の出来事に脳が処理しきれていないのか、唖然としている。
「うん……大丈夫だよ」
「俺も……大丈夫だ」
「神薙真昼。面白い奴だ」
「皆様、本当にお疲れ様でした」
こうして、テロの首謀者、会原銀兵衛を処理し、熱狂的なファン達によるテロリズムは幕を閉じた。




