呼び出しと状況
とある朝。
いつも通り登校しようとしていると、学校からメールが来た。内容を確認すると、今日は登校禁止。以上。と記載されている。
何かのメッセージかと思い考えたが、この文字以上に読み取れるものはなく、とりあえず学校に向かうことにした。
俺だけではなく、イヴや塚本、それから黒鉄ともチャットで話し、一緒に行くつもりだ。
「ダメだダメだ」
しかし、出入り口にいた
ガタイの良い教員が外に出ることを許さない。
しかもタワマンの周りには警察もおり、無理矢理抜け出せる状況ではないことを悟った。
なるほど、何人かすれ違う生徒がいたが、皆引き返してたってことか。
「何でだよ!なんかあったんだろ?だったら教えてくれよ!!」
無理矢理突破しようとする黒鉄は、ガタイの良い教員に止められながら質問を投げる。
「内容は教えられない。とにかく外出禁止だ!」
「うわっ!!」
押し返され、黒鉄はカッとなって顔色を変えた。
「落ち着け、無理矢理突破したところでしょうがない」
「でもよ、気になるだろ?」
「まあな」
「と、に、か、く!!お前ら全員戻れー!!」
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一旦引き返し、解散。今は自室で待機している。
とても暇だ。本当に休みだというのなら惰眠をむさぼるとしよう。
もし、この状態が続くのなら、何かしらの支給が必要だ。しかし現状、学校からそれといったメールは来ていない。警察もいたし、余程の事があったのは分かるが、全く見当もつかない。そうだ。
「ニュースでも見るか」
ダメ元ではあるが、テレビをつけて情報を得ようと考えた。しかし、全くと言っていいほど情報が無い。
不自然だな。規制しているのか?
……そういえばここの統括理事長さんはイカれている人だったな。十分にありえる。
変に考えず、待ったほうが良いのだろうか。
「ん?」
いきなりの着信。それも生徒会長と名前まで載っている。まあとりあえず出るか。
「……もしもし」
「私だ。突然悪いな」
「ええと……どうしました?」
「もう知ってるとは思うが、今日は全員休みだ。だが、少々面倒事が起きてな」
「面倒事、ですか」
何故俺に?と疑問が浮かぶが、わざわざ俺にそんな事を言うってことは……まさかな。
「ああ。今朝、この島に不法侵入してきたテロリスト達に学校を占拠されてな」
「テロリストですか?」
「ああ。どうやら情報規制で世間には全く知られてはいないが、バレるのも時間の問題。学校としても早急に片をつけたい。それで、お前達にその面倒事を処理してもらいたい」
「俺が……?ていうか達ってことは他にも?」
「ああ、先程頼むと言ったが、正直なところ、お前には受けてほしい」
「……戦力的に、ですか?」
「ああ、その通りだ。報酬ならたっぷり用意しよう。……頼む」
「分かりました。やります」
この自体に乗じて、変な奴らがこの街に増えることもありえる。先を見据えると、解決するしか道はない。
「そうか。感謝する」
「……ちなみに、相手の要求とかは分かってるんですか?」
占拠し、立て籠もっているのならば、何かしらを欲しているということ。わざわざこの街に侵入してまで何を求めているというのだろう。
「それが……ウソみたいな話でな。真剣に聞いてくれ。奴らの要求は…………"アイドル"。神薙真昼の身柄だ」
「マジですか……」
ある意味、熱狂的なファンだな。
いやいや、普通にドン引きだ。ウソみたいな話過ぎてついていけなくなる。つか、ファン怖いな。
「ではまた後で連絡する。十分で準備してくれ」
「あ、了解です」
寝てる場合じゃなくなった。
とりあえず準備運動でもしておこう。
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十分後、再度会長から連絡がきた。指示を受け、俺は部屋を出る。エントランスに向かうと、生徒会役員の一人、会計の斎藤が待っていた。
彼のテレポートにより、近場に停まっている車内へ飛ばされた。
「ここは……」
後部座席に飛んだ俺は、横を見た。
「よっ!」
「桐生君!?」
「ん?えっ!!」
顔馴染みである黒鉄と塚本が乗っていた。それに
助手席には神薙。知らない奴ばかりだったらどうしようかと思ったが、まさかのメンバーに驚く。
「君も会長さんから?」
「ああ、そうなんだ……有無を言わさずだったよ」
本当は違うが、無理矢理放り込まれたと嘘をつく。
「可哀想に。あの会長さんホント酷い!まあ無理せずにね……」
「あ、ああ。よろしく」
そういえば彼女、神楽島襲撃作戦の時に会長からいきなり襲われたんだったな。そりゃ渋い顔をするわけだ。いやいや、そんな事はどうでもいい。
「何で神薙がここに?」
要求されている本命とはいえど、狂ってしまったファンの愛はどう向くか分からない。身柄の要求ってだけで殺される可能性も十分考えられる。
「そりゃ、本音を言うと出たくないけど。……責任感ってやつだよ。心配してくれてありがと!」
「あ、ああ……」
「桐生君、ヤバかったら逃げてね」
「ま、テロリストだろうとなんだろうと俺がぶっ飛ばしてやるよ!!安心して見てな!」
高らかに宣言すると、黒鉄は肩を強く叩いてきた。普通に痛い。
会長によると、声をかけて依頼に応じたのは俺達含めて八人。あんなに生徒がいるというのに少ないと思うかもしれないが、相手は島のセキュリティを突破したテロリスト。
計画性の高い相手なのは間違いない。
それにここは、生徒の殆どが事情持ちで形成されている。なので、たった一つしかない命を落としたくはない。他力本願。そう思うのが普通だ。
彼らが引き受けたのも、なにか見返りが用意されているからなのだろう。
そして、状況は最悪らしい。
学校まわりは交通規制がされており、一般人は全員別の場所で隔離されている。
テロリストは相当な規模で占拠しているようだ。
ここまでなら正直、どうにかなる可能性が高い。
しかし、いくつか問題がある。
まずは、早朝からいる用務員や教員が人質にされていることだ。
つまり、こちらの動きが制限される。
下手に動けばアウト。かといって神薙を素直に奴らのもとへ行かせるわけにもいかない。
一手一手を慎重に進めなければな。
会長によると、奴らは銃を複数所持しており、遠隔ドローンや爆発物も確認されているとのこと。
そしてさらに厄介なことがある。
今乗っている車の方は突撃作戦を軸として動く部隊だ。俺は良いとして、彼らがイカれた集団を相手に生きていけるか心配になる。
正直守れる自信はないし、武装もできない生身だ。いくら能力が強くても、所詮人間だということを知らされる。一部例外もあるが、
きっとそういう能力者は、この中にはいない。
「作戦内容は把握してますでしょうか?」
運転手が我々に問いかける。
作戦は突撃。先程この車に飛ばした斎藤が、次のチェックポイントにて我々のもとに合流。その後テレポートで四人を学校の内部に飛ばす。あとは奴らとドンパチ。
ちなみに別動隊の作戦はこちらと違い、陽動。
つまり、学校の外側から注意を引いて撹乱することだ。
ドカーン!!ドドドーン!!
物凄い爆音が響く。
「向こうのチームは始めたようだな。……さて、ここからは命のやり取りをする場だ。準備はいいな?」
チェックポイントに着き、再び斎藤と合流。
そして、改めて覚悟を問われた。
「ええ」
「おう!」
「「はい」」
「よし、行くぞ」




