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心傷

彼女に連絡をいれてからしばらく経過。


返信は端から来ないものだと思っていたが、

昼休み頃に返ってきた。


あんまり自分を追い詰めるなよ。に対して、

彼女は、「うん。ありがとう」と返してきていた。


そして今は、教室でクラスメイトに保護されながら過ごしているらしい。C組の教室前にはわらわらと他クラスの生徒が押し寄せているようだ。


他クラスの主将がそんな状態になっているのなら、この機会をチャンスと思って精神的に追い詰めようとしているのだろう。


……助けに入っても仕方ない。とりあえずは耐えてもらうしかないな。目立つとこちらにまで標的にされかねない。



放課後、野次馬達を掻い潜って走り去る神薙と、その取り巻き達の後ろ姿を発見した。


「彼女……大変なことになったね」


「ああ。本当に大変なことになった」


「なんかできねーのかな……」


「やめておけ。今度はお前が潰されるぞ」


「うっ。それは困るな……」


_______________________________________________________



ピンポーン。とインターホンを押す。



少し間をおいてからガチャッとドアが開く。


「桐生君……どうしたの?」


「急に来て悪い。心配で仕方なくてさ」


「わざわざありがとね……ていうか、部屋番号知ってたっけ?」


「松原に聞いて教えてもらったんだ」


「そっか……」


「これ、良かったら食べてくれ」


先ほど買ってきたプリンを紙袋ごと手渡す。


「え?ありがとう。これって結構高いやつじゃ……」


「これ食ってちょっとくらい元気出せよ。それじゃ」


「あ、ちょっと待って」


「ん?」


「桐生君も一緒に食べない?」


「…………じゃあ、少しだけお邪魔するよ」


「どうぞどうぞ」


「お邪魔します」


うん。イヴの部屋みたいにいい匂いがする。

なにかしら物があるかと思ったが、意外と少ない。


俺の部屋より少し多い程度だ。


「ジロっと見られると恥ずかしいね……つまんないでしょ?何にもなくて」


「いや、面白いとかそういうもんじゃないと思うぞ。別に変な目で見てないから安心してほしい」


「あ、コーヒーとお茶どっちが良い?」


「お茶で」


「はいどうぞ」


「ありがとう」


「うーん!美味しい!濃厚〜」


彼女は以前と同じような表情で食べている。

少しは気が紛れただろうか。


「うん。美味しい」


「ね!それにしても、こんなに買ってきたんだね……」


「悪い、数はこれといって考えてなかった。好きに食べてくれ」


「ありがとう。…………桐生君って優しいよね」


「突然どうした?」


「本当は話したいこととかあるでしょ?」


「……まあな」


「ちょっと久しぶりだったからビックリしただけで、あの程度なら大丈夫だよ」


そうは言うも、彼女の表情は曇っていた。


「そっか。なら少し聞いてもいいか?」


「うん」


「最近、何か変な事はなかったのか?」


「うん。全然そんな感じはしなかったよ」


「そうか。あの写真を見る限り、結構間近というか、カメラのズームも考えられるが、とにかく近めだよな」


「そうだね……本当にそんな気配もなかったからなぁ」


「そうか。となると、能力で隠密に撮影してた可能性も出てくるよな」


「そうだね……その可能性はあるかも」


「エスカレートする前にさっさと犯人見つけないとな」


「うん。そうだね……」


「明日は……来れそうか?」


「うん。行くよ。籠もってると、他クラスの思う壺だろうし」


「そうか。じゃあ……そろそろお暇するよ」


「本当にありがとう。桐生君」


「気にするな。困ったことがあったら言ってくれ。あと、不用意な外出は控えておけよ」


「……うん。ありがとう」


この騒動を俺が解決すれば、後々変な裏切りにあわなくて済む可能性が高いだろう。


少なくとも彼女はそんな事を考えたりしないと思う。


最低な考えだろうが、


同盟相手とはいえ他クラス。


同盟していなかったら、俺は普通に追い詰めてた。




さてと、例の盗撮犯を突き止めるために動くとしますか。


全部を見たわけじゃないが、写真を見た感じ、そのどれもがこの付近ではなく、街中が多かった。


というか、あんなに大胆な行動をしたのなら、誰かしら見てそうだがな。


事件性のあることでも、学校はそのまま。


監視カメラの映像を閲覧したいが、さすがに無理だろうな。




「うーん……」


不用意な外出は控えろと言ったが、


犯人を見つけようとして動いたりするかもわからない。


彼女の近くで色々と探ってみるか。

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