接触と始末
放課後、適当に帰ろうと教室を出る。
すると、
「あの______」
と塚本に声をかける女子生徒。確か彼女は……B組の。
「え、えと…………なにかな?えーと、名前は……」
「B組の本渡紅葉よ。よろしくね」
「よ、よろしく……」
「B組が何の用だよ!」
黒鉄が追い返すように声をかけた。
「とりあえず落ち着いて!」
「でもよ……こいつB組の奴だろ?」
「警戒されるのは当然よね。でも、なにかする気はないわ」
「……というと?」
「ぶっちゃけ、神楽島を倒したのって…………もしかして君だったりする?」
「いや、全然違うけど?」
「本当に?」
真田のように探りを入れている。こいつもそんなに神楽島を倒した人物が気になるのか……。
探ったところで、彼は本当に知らないし、無駄なんだがな。
と言っても、心の中を読める能力者ならこの時点で完全にアウトだ。
「うーん……まあ、さすがに違うか」
まわりにいた俺達を舐め回すように見てそう言った。
「あ、うん。本当に違うからね。僕の能力じゃ相手にならないし……」
「俺も」
「同じく」
そういえばこいつ、俺達を襲ったあの出来事を知らないのか……?
藍沢の独断で取り巻きとやっていたのならその可能性は高いが。
「そんなことを聞きにわざわざ絡んできたのか?」
「そんなことって言うけど、あの神楽島を倒した人物が実際にいるのよ?……しかもうちのクラスの藍沢君とかもボコボコにされてる。正体を明かさないわけにはいかないわ」
突き止められたら面倒だなこれ。
「え?……そうなんだ」
「あっそ!勝手に探せよ!俺達はそんな事に興味はないし、お前らとは関わりたくないんだ。帰れ」
塚本に代わり、黒鉄が追い返そうと言葉を飛ばす。
「ま、今日はこのくらいにしておくわ。またね」
……彼女は本命としてA組を疑っているようだ。こりゃしばらくダル絡みしてきそうだな。
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下校すると、俺は塚本の部屋に呼び出された。
言いたいことはもう分かっているつもりだ。
「ごめんね。わざわざ来てもらっちゃって」
「いや、大丈夫だ」
そう。彼の聞きたいことは分かっている。
「さっき、彼女が言っていたけど、藍沢君を倒したのって、その例の仮面の人物ってことになるよね。
そうなると、その人が神楽島を倒す動機に繋がらない。桐生君はどう思う?」
それは以前のこと。
体験入部の帰りに襲われた俺達。その犯人を突き止めたのはいいが、
塚本が藍沢のところへ勝手に突っ走ろうとしていたので、そうならないようについた嘘。俺にF組の友人がいると言っていたやつだ。
本渡の話を鵜呑みにするのであれば、そのイマジナリーフレンドは神楽島を嫌っているということになる。
辻褄が合わなくなってしまったわけだ。
「俺も正直驚いた。藍沢をいとも簡単に倒せるやつだし、何かしらの原因で反旗を翻したのか、なんなのか。奴らのクラス仲までは知らないしな……」
「まあ、そうだよね……。一体何がどうなってるのか」
「そういえば最近連絡を取っていないが…………まさかな」
と死を匂わせる話を披露する。
「そんな……やり返されたってこと……?」
「かもしれないな」
「無事だと良いな。直接お礼もしてないし」
「もし連絡がついたら、会ってみるか?」
「うん」
「了解。期待せず待っててくれ」
当然これはイマジナリーフレンドなので、端からそんな奴はいない。塚本を騙して悪いが、俺は少しでも自分のことを知る人間を抑えておきたい。
しばらくは仮面男としての活動を考えている。
すまない。塚本。
心の中で謝罪をし、この話題を終わらせた。




