乱戦
「神楽島、お前の相手は俺だ」
取り巻きを無視した松原が、物凄い速さで神楽島に襲いかかる。
「くっ!!」
油断していた神楽島に松原の右ストレートが直撃。
あまりの威力に片膝をついた。
とにかく速い。これが松原の能力か。
「なっ!?」
「神楽島さん!?」
「へぇ……やるなぁ」
立ち上がると、首を左右に傾げてボキボキと音を鳴らした。
「松原君……凄い」
「というわけだ。こっちは任せろ」
「カッコつけてんじゃねぇ!!」
松原に襲いかかろうとした取り巻きの一人が、炎を放出した。
「甘い」
瞬時に避けた松原。
「なっ!?グェっ!!」
そして動揺したところに塚本が右ストレート。
「じゃあ……こっちは任せて!」
「ハハハ!!良いぜ!始めようかぁ」
「ぶっ殺してやる!!」
「行くぞオラァ!!!!」
こうして乱戦が開幕。思いの外松原が強く、少しの間俺は観戦することにした。
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「ぺっ!!」
神楽島は口から勢いよく毒素を纏った唾液を噴出。色は緑で、見た目から危険だということがすぐに分かる。
「遅い!」
「うぉっ!」
素早く移動した松原は強烈な右フックをお見舞いした。
そしてよろけた神楽島の鳩尾に左ストレート。
「ぐぉ…………フフフ!!」
「何故笑っている?」
不気味に笑う神楽島に問いながら攻撃を仕掛ける松原。
しかし、いとも簡単に動きを見切られ、彼の拳は神楽島の手に掴まれてしまった。まずいな。
「なっ!?グローブが!?ぐっ!」
「そりゃ笑うだろ……動きが鈍くなってきてるからなぁ!!」
「ぶっ!?」
神楽島の強烈な右ストレートが松原を襲う。思いっきり顔面にヒットし、ゴロゴロと転がっていく。
「はぁ~スッとしたぁ」
「う……」
すぐに立ち上がる松原だが、先程掴まれた右手が震えだしている。あれじゃ使い物にならない。神楽島の毒によって麻痺してしまっているようだ。奴に対抗しようとしたのか、厚手の手袋をしていたが、それが溶解されてしまい、そのまま直に毒へ触れてしまった。
「ぐぅ……うぅあぁぁぁ!!」
物凄い悲鳴をあげながら今度は顔面を押さえた。
さっき殴られた時に毒を付与されたか。
「痛てぇか?苦しいかぁ?」
ふらつく松原にトドメを刺そうと近づく神楽島。このままじゃ彼が死んでしまう。行こう。
「ぺっ!!」
神楽島が再び毒を付与された唾液を飛ばした。
逆風で唾液のルートを反らし、神楽島の方向へ返した。
それと同時に俺は雑居ビルの窓から降りていく。
「あ?」
返された唾液はビチャッ!という音と共にそのまま顔の中心にヒット。
「なんだ……お前……?」
ギロッとこちらを睨んでいる。
「答える必要はない」
「ふふ………あはははは!!!!」
目を見開いて爆笑している。気味が悪い。
「良いぜ……楽しくなってきたぁ。いろんなクラスにちょっかい出したかいがあるってもんだ」
余程戦いが好きなようだな。
「俺を楽しませてくれよ?仮面野郎」
「楽しむ時間があれば良いがな」
「へへっ!行くぞ!!」
唾液を飛ばすことなく、そのまま突っ込んで来た。俺は一旦猛攻をかわしていき、距離を取る。
「おいおいどうした?反撃しなきゃ俺には勝てねぇぞ?」
煽りを入れ、再び突っ込んで来る。喧嘩慣れしているからだろうが中々に隙がない。それに、こいつのスタイルは何かを習って得たものじゃなく、独自のもの。型がなくて読みづらい。
「ぐごっ!?」
神楽島の動作を一つ一つ分析し、殴りかかる一瞬の隙を逃さず腹部に右のカウンターを入れる。すると、奴は腹部を押さえながら両膝をついて俯いた。
「ぺっ!!」
「おっと」
追撃を許さず、神楽島はガバっと顔を上げて唾液を飛ばし、こちらを牽制。それをなんとか風で反らす。騙し討ちか。油断ならないな。
「はぁ……やるな」
そう言うと、奴は制服の上をすべて脱ぎ捨て、上裸になった。腹筋は割れており、よく鍛えられている。
「俺の能力を知ってる感じだからなぁ。ちゃんとやらねぇと」
ここから奴の本気ってことか。上裸になったということは……。
「ふははは!!すげぇだろ」
奴の上半身が顔を含め、見る見るうちに緑色に染まっていく。これで物理攻撃をシャットアウトってことか。
「それより、ズボンは脱がなくて良いのか?」
ここで煽りを入れる。実際、勝ちに行くならパンツ一丁も視野に入れておかないとな。俺だったらそうしてると思う。
「あぁ?そこまで脱ぐ必要はねぇよ……」
少しイラついた顔で答える。煽り耐性はあんまり無いようだな。
「行くぞぉ!!!!」
興奮した神楽島が両手を広げてこちらに大きく扇いだ。
すると、物凄い勢いで緑の毒が飛び交った。




