共有と決行日
自室に戻り、俺はグループチャットで神楽島の情報を説明していくことにした。
とはいっても、みんなが欲しいのは能力の情報だ。
早速教えよう。
奴の能力は
○「猛毒変換」(ヴェノムクラフト)
自身の体内で毒素を形成し、操る能力。
唾液や血液などの体液はもちろん、髪の毛や爪、体毛など体のあらゆる部分から毒を付与できる。
(いきなり超重要な情報!!)
送ってまもなく神薙から返ってきた。
(ほう。……なるほど。厄介だな)
(……なんて強い能力なんだ)
神薙に続き、松原と塚本が反応した。
(よくこんな情報手に入れられたねー!スゴい!スゴい!)
(F組にいる友人からちょっと……な)
(とにかく接近戦はヤバいね。僕なんかじゃ太刀打ちできそうにないなぁ……)
確かに塚本の能力では厳しい。彼は接触して能力を発動する。当然、接触がアウトな相手に何もできない。
(だいじょーぶ!私と松原君でやっつけるから!それに、取り巻きがいる可能性もあるし、塚本君がいてくれると助かるよ!)
(なんかごめんね。……同盟を結んだのに、全然役に立てなさそうで)
(気にするな。能力の相性なら仕方ない。神薙も言っていたが、取り巻きの相手をしてくれるだけでも十分だ)
(塚本、俺はそれすらままならないんだ。そんなに自分を卑下するな。俺がより惨めになる……)
(いや、そんなつもりはなかったんだ。ごめん!でも、桐生君は僕より役に立ってるよ……?)
(俺はF組の友人から教えてもらっただけだからな。たまたまだぞ。とにかく元気出せ。黒鉄のためにもな)
(そう、だね。頑張るよ!)
(その意気!その意気!じゃあ、明日は作戦通り、皆で頑張りましょ!)
グループチャットを一旦終え、俺は部屋の天井を見つめる。
「…………」
少し前までアイドルをしていた彼女に、そんな殺人鬼を相手にできるのだろうか。
ふと冷静に考えると、無理難題な気がしてきた。松原がどうであれ、簡単に勝てる相手ではない。
なにか策があるのだろうが、一応こちらでも仕込みをしておこう。
いざとなったら俺が出られるように______。
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そして翌日、神楽島襲撃決行日。現在時刻は午後一時を過ぎたところ。作戦開始まではまだ数時間ある。
日が暮れ始めた頃に見つかるため、塚本と神薙は待機している状態。
そして俺は、神楽島の事を監視中。
しかし今のところ、神楽島は部屋にいるようだ。
昨日買っておいたエナジードリンクをキメているので元気はある。しかし暇だなこれ…………。
「…………」
バルコニーからひたすら奴を監視している。
瞑想しながらかれこれ数時間以上経つ。
______さらに数時間後、結局奴は部屋から出ることなく過ごしていた。辺りはすっかり暗くなり始め、チャットでは神薙と塚本がそれぞれ街中をぶらつき始めている。
あとは取り巻き達がよくたむろしている縄張りでぶらつき、見つかるのみ。
神薙曰く、そもそもこのあたりで存分に戦えそうな場所は限られているらしい。
神楽島はその縄張りとしている場所を隅々まで把握している可能性が非常に高そうだ。なので、どこかに罠がないか細心の注意を払いたいところ。
野蛮そうに見えてネチネチしているし、なにより、能力が毒という厄介すぎるものなので、何があるか分からない。
殺すことに躊躇しない奴は……何があろうと止まらない。
俺はそんな人間を既に何人も見てきた。
______お前は、どこまでいける人間なんだ?




