動き出す狂気
同日の昼休み。
「ん?同盟?」
「そう!同盟!」
いつものように屋上で過ごしていると、神薙真昼がやってきた。
そしていきなり、同盟を結ぼうと提案される。
それで今、彼女に聞き返したところだ。
「いや…………俺はそういうのよく分からないし、見てのとおり協調性の欠片もない男だ。つか、なんで俺に?」
あくまで自分は無関係だと主張する。
そもそも俺の一存では決められない。
まさかそんな話を俺に振ってくるとはな。
「人混みにはあんまり行きたくなくてさ。桐生君に話を持ちかけたのはたまたま。ていうか、桐生君のクラスってどこかな?」
「そういえば言ってなかったな。A組だ」
「そっか。となると〜……塚本って子がリーダーかな?」
「ああ」
「その子と仲良かったりする?」
「…………まあ、な?」
「あ!警戒してるな〜?でも、君達にとってもいい話だよ?……ほら!前に話したよね!F組の連中がうちのクラスメイトを襲ったって話。君達も襲われたんだよね?」
「なるほど、つまりこの同盟の意味は」
「そう。______F組を一緒に潰そうってこと」
彼女の強さや真意は分からない。芸能人なら、多少の嘘や口が達者なところだってあるだろう。
裏切りの可能性も十分に有り得る。
結局この学校は、自分以外のクラスは敵。
まあ、神楽島はどちらにしろ邪魔だし、
潰さなきゃいけない。
ここは乗ってみるか。
「塚本は俺の数少ない友人だ。良かったな。たまたまコネクトがあって」
「そうだね!!じゃあ今日の放課後、学校近くのカフェに呼んでもらってもいいかな?」
「分かった。連絡しておく」
「ちなみに、桐生君も同席だからね?」
さっき協調性の欠片もないとか言ったからか、
からかうように言ってきた。
______昼休みを終えて教室に戻ると、
なにやら誰かの席に男女が群がって何か話している。確かあの席は……塚本か。
例の件に関するチャットは未読。
彼が人気なのは知っているが、楽しそうに話している感じには見えない。特に塚本の顔色は良くないように見える。
「なあ、イヴ。塚本になにかあったのか?」
真島と食堂に行っていたであろうイヴに聞いてみた。
「それが、実は______」
どうやら食堂で神楽島に絡まれたらしい。
内容はこの前おこなった代表戦のこと。
それ以外は特に話していないようだ。
塚本を心配したクラスメイトが群がって話しているだけで、実害は出ていない。
こんなところか。
まあ学校で手荒い事をすれば退学だからな。
神楽島も同様に戦力拡大を図ろうとしているのか、はたまた標的を変えて襲おうとしているのか。
「…………そうか。そんなことが」
塚本も俺と同じように考え、クラスに危険が及ぶのではないかと危惧している感じか。
「大事ではなさそうなのでとりあえず良かったです。……ところで、桐生君はお昼休みどこで食べてるんですか?」
「色んなところだな。噴水広場のベンチだったり、階段下の薄暗いところとか。本当色々だ」
と、大嘘をこいた。屋上は穴場なので、出来るだけ知られたくない。ただそれだけ。
別に神薙といたいからというわけでもない。
「そ、そんなところに……?あの、良かったら次のお昼休み一緒に食べませんか?」
非常に嬉しいお誘いだが、彼女とどこで食べるのだろう。食堂か?俺が冗談で言っていたところか?いやそれはないか。
そもそも、真島と三人の可能性もある。
冴えない俺がその横で食ってたら目立つだろう。
それに、今こちらを現在進行系で見つめる三バカが黙っちゃいない。……面倒事はゴメンだ。
「誘ってくれてありがとう。まあ、考えとくよ」
無難な返答をして、この話題を終わらせた。
…………それにしても、大変なことになったな。
一難去ってまた一難。
この状況をあらわすのにこれ以上無い言葉だ。




