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経過報告

尾行と盗聴を終えたその夜、塚本と経過報告をチャットでおこなおうと思ったが、何故か直接会うことになった。


文面だと手間があったりするので、俺としてはどちらでもいいが……。


待ち合わせは俺の部屋だ。


来客を想定していないため、何も提供出来るものがない。


部屋番号を教えて部屋をウロウロしていると、

ものの数分でインターホンが鳴った。


そういや、初めて聞いたな。


そしてモニターには塚本が映っている。


「お邪魔します!って急におしかけてごめんね」


「いや、大丈夫だ。何もないが……どうぞ」


「へぇ。思った通りキレイだねー」


「そうか?何もないだけだぞ」


「まあ、僕の部屋はクラスメイトと勉強会したりとかでお菓子やらなんやらの食べカスが落ちてたりするんだよね……」


「あー…………そうか」



the陽キャって感じがする。そういうのは全く分からないが。


「早速本題に入ろうか」




まず塚本の方から聞くと、F組からは煙たがられたらしく、他クラスの生徒から聞き込みを始めたそうだ。

しかし結局、A組が狙われるような話や噂は一切なかった。


「うーん。僕だと顔が知られてるのもあって、何か知ってても教えてもらえなかった可能性が高いかもなぁ……」


「そうだろうな……」


想定内だ。彼自身も言っていたとおりA組の顔として知れ渡っている。


「ちなみに、帰り道は大丈夫だったか?」


「うん。一応警戒しながら帰ってきたけど、特に何もなかったよ。大人数で帰ってたからそれもあるかな?」


「そうか」



次に俺が得た情報を説明した。


「______というわけだ」


「す、凄いね。よくそんなに集められたよ……」


「まあ、コソコソするのは得意だからな」


「じゃあこの情報をもとに考えると……B組が黒って事になるよね」


「その可能性が高いだろうな」


「B組……。明日、直接藍沢に会いに行こうと思う」


「会ってどうするつもりだ?」


「直接対決だよ。退学をかけてね」


思ったより闘争心がある塚本に驚く。


だが、それは現実的ではない。


「とにかく落ち着け、藍沢の件は少しだけでもいいから俺に任せてほしい」


彼は目を閉じて黙り込み、ふぅーっと息を吐いた。


「作戦があるんだ」


「作戦?」



「交流会の時に知り合ったんだが、F組に一人友人がいる。俺にとって数少ない他クラスの友人だ。

そいつは神楽島の側近というわけじゃないが、奴の作戦を気に入ってるらしく、それを邪魔する輩を排除してもらう、という作戦だ。あくまでお互いの障害となる相手をどうにかするための情報提供。協力してくれる可能性は非常に高い。どうだ?」


つまりは神楽島と藍沢をぶつける作戦だ。


もちろんこれは嘘である。


「うーん。そうだね……」


「塚本を失う訳にはいかない。俺は塚本ほど戦闘能力が高くないし、暴力行為なんてもってのほかだ。けど、作戦なら立てられる」


我ながら名案だ。


「分かった。……桐生君の案に乗るよ。確かに僕が死んだら、今のA組はきっと壊れてしまう。危うく私情だけで動いてしまうところだったよ。

ありがとう!」


「お礼されるようなことはしていない。……それより、二三日の間は帰りに気をつけてくれ。また狙ってくるだろうからな。今日みたいに大人数で帰るのも手だ」


「ありがとう。でも、桐生君は一緒に帰らないの?君だって狙われる可能性はあるよ」


「俺は例の友人との協力関係になるからな。そいつのサポートをしなくちゃいけない。あ、心配しなくて良いぞ」


そう説明するが、彼は心配そうに見つめてくる。


「君を信じるよ……」


そして次の日、神楽島を調べる時と同じように藍沢を尾行。そこにはヤツだけではなく、ついでに取り巻きがいた。結果全くバレることなく部屋の特定に成功。


まずは常に監視し続け、藍沢のフリーとなる時間を狙う作戦だ。


ちなみに塚本は何事もなく帰宅できたらしい。



あとは現状お祈り状態。外に出てくれればアタックチャンス。出なければ後日。


俺の予想だと、今夜動き出す。


奴らは塚本を直接潰せないと悟って標的を変え、

体験入部を終えた帰宅中のA組の生徒を狙う。



実質、塚本を潰してるようなものだからな。




「…………」


バルコニーから藍沢のいる十階へ意識を集中させる。一つ下の階なので少し離れた部屋でも感知しやすい。奴がB組でかつ、同じ棟で良かった。


トイレに行く以外ずっとバルコニーから離れず

ひたすら目を閉じる。


極力水分を取りたくはないが、割と暑くなる時期なので取らざるを得ない。


さっさと外に出てくれれば良いが……。



「ん?」



藍沢が外に出た。


時刻は丁度、体験入部が終わって帰宅する頃だ。


さて、始めますか。


学校から支給された手提げに、"あるもの"を入れて

部屋を出た。

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