被害と関係
「______というわけで黒鉄君は一週間ほどお休みでーす。まあ、大した怪我ではないのでご心配なく」
翌日、羽沢先生からクラスメイトに黒鉄の状態を告げた。
怪我の経緯は先生にのみ詳細を伝え、クラスメイトには伏せている。
大事にしたくないので、ズッコケたと適当な嘘をついてもらった。
何だよあいつー!や何かやらかさないと気がすまないのかよと笑ったり、クラスメイトは明るくポップな反応を見せている。
実際は全然ポップな反応ができる事じゃないがな。
一方で日村はふふふと笑い、机をバンバンと叩いていた。相変わらず性格が悪い。
まだF組と決まったわけじゃないため、俺は放課後の時間を使って奴らを調べることにした。
昨日の夜、塚本もF組について調べると言っていたが……大丈夫だろうか。
後でもう一回チャットしよう。
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昼休み。俺は定位置と化した屋上のベンチで寝転がる。最近は程よい気温なので、昼寝するには丁度いい。
暑くなったときの場所も見つけとかないとな。
「…………」
「やほー。今日もいたんだー」
寝かかったところに声をかけられ、重いまぶたを開ける。そこにいたのは神薙真昼。
彼女とはこの前初めて会った以来だ。
「よう」
体を起こして体勢を変える。
「ええ?今日も水だけ?」
「ああ」
彼女は隣に座り、持ってきた小さいカバンから
弁当箱を取り出した。中にはサンドイッチが入っている。
「良かったら食べる?」
「いや、気持ちだけもらっとくよ」
「食べないと元気でないゾ?」
「そういう神薙のほうが元気ないように見えるが?」
「え?そ、そうかな?……はむっ」
途端に目を逸らし、サンドイッチを頬張った。
分かりやすいな。彼女は顔に出るタイプか。
「何かあったのか?」
「うん。あった。…………聞いてくれる?」
「俺で良ければ聞くよ」
そう応えると、
食べていたサンドイッチを飲み込み、両手の拳をギュッと握って俯いた。
「この前、うちのクラスメイトが夜に一人でいたところを襲撃されてね。何とか逃げて無事ではあったんだけど、全治一ヶ月の重傷で今は入院してるの。やったのはきっとF組よ。私も一度ここで絡まれたし、いい加減対処しないとね……」
「……そうか。実は俺達も昨日そういう目に遭ったばっかりだ」
「え?そうなの!?」
事の流れをざっと説明すると、彼女は顔をしかめた。
「そっか……大変だったね」
「ちなみに、被害にあった生徒はどういった感じでやられたんだ?」
「……殴打よ。単純な暴力行為ね」
「そうか」
暴力行為で全治一ヶ月って……酷いもんだ。
想像するだけで痛々しい。
昨日襲ってきたやつとは別っぽいな。
何人規模でやってるか知らないが、どうにかしないと。
「…………」
彼女と協力関係を結ぶという方法も考えたが、少し調べてからにしよう。
仮に別件だった場合、それはそれは面倒なことになる。
「なあ神薙、一つ聞いていいか?」
「ん?どうぞー」
「……芸能人ってのは大変だと聞いたことあるが、ここは学業に専念できるような場所じゃない。
こんなところに来て、何を叶えるつもりだ?」
「急な質問だねー。……うーん。そうだなぁ」
彼女は考え込み、沈黙が続いた。
「私達おんなじクラスじゃないし、
まだ知り合って間もないからさ、そういう話はナイショってことで。ごめんね!」
「あいや、俺の方こそ悪い」
彼女の意見はもっともだ。
距離感を誤ってしまった。
俺達は結局、"敵同士"だ。
「桐生君達のクラスともそのうち戦うことになると思うけど、その時は容赦しないよ!」
「ああ」
彼女とはそれからゆったりとした時間を過ごし、昼休みを終えた。




