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お家デート?

昼飯を食べたあと、暫くそこで景色を見ながらゆったりと過ごした。

それからまわってないところをぶらつき、

かれこれ午後三時半。


俺達は休憩がてらベンチに座り、水分補給を取っている。




「急にだけど、誘ってくれてありがとう」


「あ、いえいえ。それにしても…………疲れましたね」


「ああ……色々まわったからな」


足が疲れた。ふくらはぎがドヨーンとしている。



「あ、あの……今夜空いてますか?」


「え?……まあ、空いてるが?」


突然、彼女からの誘いが来た。

一体なんだろうか。


「本当ですか?じゃあこの後、お買い物に付き合ってくれません?」


「ああ、いいけど……」


ん?お買い物……。


「好きな食べ物ってありますか?」


「え、ああ、えっと…………ハンバーグだな」


「ハンバーグ……いいですね。了解です!」


俺の好みを聞くと、彼女は笑みを浮かべた。


夜……買い物……好み。これって。


「えっと……もしかして?」


「はい!今夜は私がご馳走しますね!」


「え、いいのか?」


「はい!最近自炊にハマりまして……是非桐生君にも食べてもらいたいなぁって」


自炊?凄いな。料理は大変だと聞く。


「一つ良いか?」


俺はふとあることに気付く。


「なんでしょう?」


「お前の料理は……どこで食べるんだ?」


「私の部屋に決まってるじゃないですか〜」


「そ、そうだよな」


料理の器具をわざわざ持ち出すことはない。

心の何処かで分かってはいた。


しかし、いきなり部屋に呼ばれるなんて思わないだろう?別にやましい気持ちなどはないが、

普通はこんな芋男なんて部屋に呼ばないんじゃなかろうか。



せっかくの誘いを無下にはできず、変に緊張しながら、買い物を済ませて彼女の部屋に向かった。



______イヴの自室


俺と同じく十一階の1115号室。


割と近い部屋だ。そんなことより………誰かの部屋に入るのも初めてだが、ましてや異性の部屋。


「どうぞー」


「お、お邪魔します」


ドアを開けると早速いい匂いがしてきた。

彼女がつけている香水?と同じ匂いだ。


間取りは俺の部屋と同じ。そして物もほとんどない。


自分の部屋にいるような感じがするが、こんないい匂いはしていないな……。


「何か飲みます?」


「あーそうだな……もらってもいいか?」


「お茶とオレンジジュースしかないんですけど、どちらにします?」


「お茶でお願いします」


「了解です」


落ち着かないまま適当に座ってまわりをキョロキョロした。


「…………」


だめだ……何か話題を振ったほうが良いよな。

うーん。…………そうだ。


「体験入部って何するか決めたか?」


昨日、突然先生から体験入部についての話をされた。


来週の月曜から一週間の間、体験入部があると。


この学校、入部は自由だが、仮入部は必ずどこかの部活に入らなければならない。


幸い、一日だけでも良いようだが。



どちらにしても面倒だ。


「まだ決めてないですね。桐生君はどうですか?」


「俺もまだ決めてない。せめて文化部か運動部かだけでも絞っとかないとな」


「そうですね……。というか、突然言われて驚きました」


「この学校がめちゃくちゃなのか、先生がめちゃくちゃなのか……」


「どちらとも言えそうですね。大体、仮入部の前に部活動の紹介とかあるはずですが……」


「えーと……一応、学校案内のアプリに映像があるみたいだな」


先生からはなんの説明もなかった。


「本当ですか?」


「ああ」


お茶とオレンジジュースが入ったコップを持ってこちらに向かってきた。


「どうぞ!」


「ありがとう」


「わぁ、本当ですね」


二つのコップを机に置くと、

そのまま密着とも言える距離で俺の見ていたスマホに顔を覗かせた。


ち、近い……。


俺は思わず顔を背けた。


「ん?どうしました?」


「いや……気にするな」


「…………?」


つーか、先輩方はきっと学校の恐ろしさを体験済みなわけで、わざわざやってる物好きはどれくらいいるのだろうか。


本気でプロになろうとしてる人はいるだろうが、

続けるのも一苦労しそうだ。


向き合おうにも、そうはいかなくなりそうで。



学校ルールによると、あるメリットが存在する。


それは、部活に入ってサボらず出席していれば、月に支給されるマネーが加算されるというもの。


クラス全体に加算というわけではなく、個人的に加算されるとのこと。


どのみちやる気はない。


でも、何かやらなきゃいけないし、

俺はどうしようかな。

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