デート(仮)
「「おお……」」
俺とイヴは同じ反応を見せる。
以前行ったショッピングモールよりも明らかに大きい。階層は同じく五階だが、ここは軽く二倍はありそうだ。案内板の規模が違う。
「どこから行きましょうか?」
案内を見ながら考える。
「そうだな……気になるところはないか?」
「それが……気になるところだらけなんですよね……。あ、でも一つ行きたいところが有りまして」
彼女はじーっと案内板を指でなぞり、何かを見つけたのか、指を差す。
「ん?カフェか」
見晴らしのいいカフェ。載っている画像を見るだけでも興味が湧いてきた。
「お昼にでも……どうですか?」
「ああ。ただ人気だろうから早めに行こうか」
「はい!」
というわけで、お昼までは適当に色々なところへ入っていくことにした。
俺も彼女と同様、気になるところが多い。
ここにしかない店もあり、そこをまわるだけでも一苦労しそうだが、楽しみだ。
まず向かったのは、出入り口付近にあった雑貨屋。次に服屋。それから二階に上がり、大きな本屋をまわった。
「あっ、ペットショップだ。あの……動物って苦手だったりします?」
「大丈夫だ」
「じゃあ、行ってみましょう」
「ああ」
______実際のところ、動物は全く触れ合ったこともない。
「わぁー。カワイイ……」
彼女が目を輝かせ見ていたのは猫だ。種類は……ラグドール?。フワフワしていそうで触ってみたくなる。確かに可愛い。
イヴの見ていたラグドールを同じように見ていると、その猫がニャーとこちらに向けて鳴いた。
「……っ!!」
声にならないほどテンションが上がっている。
「ん?」
猫の詳細欄を見ると、
ケージの網目から指を出しても良いらしい。
静かに興奮した彼女にそれを伝えると、猫を驚かせないようゆっくりと近づいた。
「失礼しま〜す」
彼女が人差し指を出すと、猫はすぐに反応し、指に自身の頬を擦り寄せた。
俺もゆっくりと指を出す。
しかし、全く反応を見せない。なんなら嫌がっているように感じる。……もう一度出してみよう。
今度は左の人差し指を出す。
「お……」
猫はこちらに興味を示し、イヴに擦り寄せたように来てくれた。温かい。毛は見た目通りフワフワで良い触り心地だ。ずっと触っていたい。
しばらく過ごしたのち、ペットショップを後にした。
「いやぁ~可愛かったですね」
「ああ。良かったな」
「また来ましょうね」
「あ、ああ。……つか、もうすぐ昼だな」
「あ、本当だ。では行きましょうか」
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予定通り眺めの良いカフェに向かった。
昼前だというのに混雑している。場所も場所だし当然か。
景色が堪能できるテラス席に座る。
前に来たとこよりも凄いな。俺たちのいるガーベラ学園方面が見える。こうやって見ると、あそこらへんはビルがすごい建ってるんだな。
「良い眺めですねー」
「ああ。来てよかったよ」
彼女はペットショップに居たときと同様に目を輝かせ、外の景色を眺めている。
「…………」
彼女にも、何か事情があるんだろうな。
異能力の話をしたときに見せたあの顔を思い出す。虚ろな目をした彼女を。
その笑顔の奥には何が……。
「どうしました?」
「え?いや……」
「疲れちゃいました?あっちこっち行きましたもんね」
「あ、いや、そうじゃないんだ。改めて、この学校のことを考えちゃってさ」
咄嗟についた嘘で返答する。
「……頑張って卒業しましょうね」
「ああ」
聞けない。彼女にはそのままでいてほしいと勝手ながら思った。
それに聞いたところで、できることはない。
嫌な思い出を抉ることにしかならないからな。
人には誰にだって言えないことや、隠し事がある。




