質疑応答
颯斗の活躍までもう少しかかります……。
「はぁい。ではみなさん。また明日〜」
帰りの挨拶を終え、早々に先生が出ていく。
俺も鞄を下げて後を追う。
「先生さよなら~!」
「はーい。さよなら~」
男女問わず、廊下ですれ違う他クラスの生徒に挨拶されている。全員が全員、すれ違うだけで挨拶なんて言わないだろう。人気は凄いようだ。
そして中には先生を職員室までおんぶしようとする生徒が現れた。
それは下心丸出しな気がするが……。
まあとにかくすごい人気だ。
その後、さり気なく後を追っていると、またも生徒の集団が現れた。しかも今度は明らかな陽キャ集団。あっという間に囲まれ、なにやら話し込んでいる。おいおい。早々に切り上げてくれよ。
そう思いながらスマホを取り出し、話終わるまでの間、適当に街の地図を見て時間を潰すことにした。
ひたすら街の地図を見ながら
ただフリーになるのを待つこと数分。
ようやく話終わった先生を追いかけ、呼び止める。
「あら?桐生君?珍しいですねー」
「少し聞きたいことがありまして」
「そうですかー。では少し待ってくださいね〜」
先生は一度職員室に入り、すぐに出てきた。
「それじゃあ行きましょうかー」
「え?」
「ついてきてくださーい」
少し聞きたいことがあると伝えただけだが、
先生はどこかの部屋の鍵を持ちながら歩いていく。
「どうぞ~」
向かったのは対談室。職員室から二つ離れた場所だ。中は対談用のソファにテーブル。あとはキッチンと冷蔵庫、それと食器棚がある。
「あっそうだ。なにか食べますー?」
「はい?」
答えてもないが、先生は食器棚から皿とフォーク。そして冷蔵庫からケーキを取り出し、またたく間に並べた。
「コーヒーは飲めますか〜?」
「え?ああ……まあ」
「アイスでも構わないですか?」
「は、はい」
今度はコップや牛乳、ペットボトルに入ったコーヒーを取り出し、細かく好みを聞いてきた。
「では、頂きましょうか〜」
「……はい」
流されるまま、コーヒーを一口。
美味い。いや、そうじゃない。本題に入らなければ。
「はぁー。放課後のティータイムはサイコーですねぇ〜」
「あの、質問いいですか?」
「そうでしたね。どうぞどうぞ~」
「校長のことについて、聞きたいのですが」
正直よく知らない。探りの意味も込めて質問した。
すると先生は笑みを浮かべながら口を開く。
「あら、桐生君知らないのね…………。まあ、事情から察しますが。……いいでしょう。あ、ちょっと待ってくださいねぇ」
ケーキを頬張り、幸せそうな表情を浮かべ、
視線をこちらに戻す。
「彼女は"九条美音"。街の統括理事と学校の全権限を握る凄い人です。この都市を創設した当時から見た目が変わっていない、変な人です。
分かるのはこれくらいですかね〜。彼女が何故こんな学校を作り上げたのか、何を生徒に求めているのか、詳しいことは分かりません」
「そうですか。ありがとうございます」
ガチモンのトップか。確かに先生の言うとおり
目的や生徒に何を求めているのか分からない。
だが、これだけは言える。
______彼女はろくでもないヤツだということを。
「あと、この学校というか、生徒についてです。
何割くらいの生徒がイカれているんですか?」
「あら、それも知らなかったんですねー。
……学校全体のおよそ八割が、
______"何か事情を持った者"たちで構成されていますよ」
どこかでそうなんじゃないかと察してはいたが、
いざそれを聞くと、学校生活に対しての不安が募る。あいつもこいつも……何かあるのではないか?と変に考えてしまいそうだ。
塚本の秘めた狂気や、厳つい男子生徒のような
容赦のない狂気。そんなのが他にもいるのだろうか。はたまたそれ以上の奴も……。
「そう、ですか……」
「この学校では皆平等。生徒たちは与えられたチャンスをものにしようと足掻いているの。全ては、自身の純粋な願いのために、ね!」
目を閉じ、頭の中で情報を整理しつつ、
深呼吸した。
「______でも、事情持ちの子がいるごときであなたは揺らがない。
そうですよね?ふふふ……だってあなたは______」




