復帰と昼休み
「皆、ただいま!」
代表戦から二日後、塚本が復帰した。
クラスメイトは盛大に出迎える。
「塚本君。今日はクラス内での交流会をするよ」
女子のリーダー的なポジションにいる、笹木が
そう伝える。
「え?クラスで?」
そう、一昨日の放課後、塚本の復帰祝いも兼ねてクラス内での交流会をしようと計画した。
チームワークは今後重要になる。
現状全体的にそこまで仲良くないクラスなので、これを機に交流しようということらしい。
ちなみに場所はタワマン内にあるレクリエーションルームを使うそうだ。
「仲良くするのが、願いを叶える近道だぜ!」
サムズアップをしてドヤ顔を決める黒鉄。
「何カッコつけてんだよ!」
「どわっ!?」
「ははは。皆……ありがとう!」
短縮授業が終わり、昼休みという時間ができた。
「塚本!ちょっと贅沢しようぜ!俺が奢るからさ!」
「いやいや!悪いよ」
「何言ってんだよ。感謝の気持ちだ!元々俺のせいでお前に迷惑かけちゃったんだしな。あと、食パン生活から抜け出させてくれた救世主でもあるし」
「じ、じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
「何だ黒鉄、俺たちにも奢ってくれるのか?」
「いや、お前らは駄目だ」
「良いじゃない。あなた、クラス全体に迷惑かけたんでしょう?」
「だぁーー!!
また金なくなっちまうよぉ!!!!」
クラスメイト達は人気の食堂に向かっていく。そんな生徒達を横目に俺は早々に屋上へ向かう。昼食のお供は朝買っておいた天然水。
そして屋上へ上がる。誰もおらず、少々涼しいくらいの気候になっていたので昼寝するには快適。
少しテンションが上がり、端っこの方にあるベンチで寝転がる。
そしてまもなく、誰かの足音が聞こえてくる。それも一人ではなく何人かの足音。
するといきなり、ガチャン!!と屋上の扉が開き、おいっ!!という怒鳴り声が聞こえた。
来る場所間違えたか?と思いつつも目は開かずそのまま寝転がる。
「それで、ご用件はなんでしょう?」
呆れた女子生徒の声が聞こえた。
「お前の事を潰そうと思ってなぁ」
「こんなところに来たのが悪いぜ?」
「へへへ!あんたはここでリタイアだ」
ガラの悪い声が屋上に響く。穏やかじゃないなと思い、目を開け、体を起こす。
「あれは……」
男子生徒三人に迫られている女子生徒がいた。
しかもそれは……あの神薙真昼だ。
彼女はこちらに気づき、一瞬目が合った。
「よそ見してんじゃねぇ!!」
彼女に近づき一人の男子生徒が拳を振るう。
「ヤメナサイ」
優しめな声色から、低い男性の声と女性の声を混ざり合わせた不気味な声色に変わり、静止を呼びかける。
すると、殴ろうとした男子生徒が急に止まった。
次の瞬間、だらっと拳をおろし、膝から崩れ落ちる。
他の二人はどうしたんだ?と声かけているが、顔は俯いており、びくともしない。
「お前……何しやがった!?」
「さっきも言ったはずだよ?やめなさいって」
「く、くそっ!一旦退くぞ!」
残った二人は、彼女に恐れながらも
動かなくなった男子生徒を引きずり、屋上を去っていった。
なんだか分からないが、一応解決したようだ。
「ふう」
彼女は一息つき、目を閉じている。
そしてなんとも言えない雰囲気が屋上に漂う。
目を開けると、彼女はこちらをジーッと見ている。
めちゃくちゃ話しかけづらい。
「ごめんなさい。急に驚かせちゃったよね?」
彼女はこちらに近づきながら謝罪した。先程の不気味な声を思い出し、俺は少し身を震わせた。
「いや、大丈夫だ。俺の方こそ悪い。助けに入れなかった」
「いえいえ、お気になさらず!…………ええっと、水だけ?」
「ああ。……言っておくが、金が無いわけじゃないぞ?」
「あいや、そんなことは気にしてないよ!ふふふ!」
そんなやり取りをしていると、彼女はいつの間にか隣に座っていた。それもかなり近い。
「お腹空かないの?」
「ああ」
「私も何か食べる気なくなっちゃったよ……。せっかく今日から食堂のランチ食べれるはずだったのに」
「……そういえば、なんであいつらに絡まれたんだ?」
「お昼休みになって教室を出たら出入り口付近で待ち伏せされててね。一応私有名人だし、アンチかなーって思って仕方なく屋上まで来たの。目立った揉め事は避けたいしね」
「有名人って大変だな……」
「あ、そういえばお名前は?」
「桐生颯斗だ。よろしく」
「多分知ってると思うけど、私は神薙真昼。よろしくね!桐生君!
……そうだ、せっかくだし連絡先交換しない?」
「え?……ああ」
不思議な形で交友関係が増えた。
連絡先まで交換するとは思わなかったが。
まあとにかく、他クラスとのコミュニティは今後使えそうだ。




