激闘
「くっ」
「塚本君。もう少し頑張ってくださいよ?」
大きくなった藍沢の動きは元の姿より早く、塚本は避けるので精一杯。なんとか隙を伺おうとしているのは分かるが、あのままでは負ける。
「スキありぃ!!」
「ぐあっ!!!!」
太い腕から放たれたパンチが塚本の胸元に直撃した。
彼は物凄い勢いで吹っ飛んだ。
「塚本ー!!」
「塚本君!!」
「あれ……大丈夫なの!?」
「ふふふ。いい飛びっぷりだ」
藍沢は小さく笑い、殴られて吹き飛んだ塚本に近づいていく。これはまずいな。
「う…………げほっ!げほっ!!」
壁にもたれた塚本は咳き込みながら立ち上がった。口からは血が出ている。
そして彼はギロッと藍沢を見ていた。
「へぇ。まだやるのかい?」
「当然。……次は……僕の番だ」
「そんなの来ないよっ!!」
詰め寄った藍沢は再び殴りかかる。
「……ここだっ!!」
殴りかかってきた藍沢の腕を左手で弾いていなし、横を通り抜けて背後を取った。
「…………」
追撃を加えず、塚本は黙ったままだ。
「まだそんなに動けるとは驚いた。しかし、残念ながら避けるので手一杯のようだね」
「塚本……」
黒鉄は心配そうに見ている。
「……どうかな?」
「ふふふ!……んん!?」
藍沢が急に体制を崩し、片膝をついた。
「なんだ……これは……!?」
「さて、と……まずは一発!!」
「んぐぅっ!!」
動揺し、立ち上がろうとする藍沢の顔にストレートをお見舞いする。
あまりの痛みに悶絶していた。
屈強な体格になろうとも、結局顔は弱点だ。
「まだまだ……行くよ!」
藍沢は鼻血をたらしながら塚本の猛攻を受け続ける。
「塚本……すげぇよ!いけっ!!」
「頑張れ!!」
クラスメイトは席を立ち、声援を送る。
彼の力によって形成逆転。
あとは藍沢がギブアップするか、戦闘不能になる。もしくは先生がストップをかけるかだな。
「はぁはぁ……」
殴り疲れ、息を切らした。
「…………いぃ」
藍沢の顔は真っ赤。殴られる度に血が飛び散り、
床には何滴も付いている。
「……もう……諦めてくれないかな?」
これ以上殴りたくない。塚本は心の底からの提案をする。
「……ふふふふふ」
しかし藍沢は一点を見つめ、不気味に笑い出した。
「うわっ!?」
すると突然、藍沢が立ち上がり、疲労している塚本に強烈なタックルをかました。
「おい!ウソだろっ!?」
「何よあれ!」
「キモすぎるんですけど〜!!」
形成逆転とはいかなかった。
「まずいですね……」
イヴがジーッと二人を見つめていた。
「……ああ」
あんなに動けるのならば、血まみれになるまで殴られ続けるメリットがない。
…………やっぱりそうか。
「…………ふぅ」
ヨロヨロしながらも素早く塚本に近づいていく。
「くぅ……」
仰向けに倒れた塚本は、震えながら右手をパーに広げて藍沢にかざす。
まだ能力を発動しているのだろうか。
「もうおしまいだな。君こそ……ギブアップしたほうがいい」
決まったな。
「んん!?……な、ん」
塚本に近づいていた藍沢は突如として速度を落とし、膝から崩れ落ちてうつ伏せに倒れた。
「……はぁはぁ」
藍沢は動かない。しかも体がどんどんと元に戻っていく。まるで空気の抜けた風船のように。
「や……やった」
「そこまで!!」
______こうして代表戦は突然幕を閉じ、A組は勝利した。




