交流会当日
______交流会当日。
「はぁ……よく寝たな」
今日は開催時刻まで自由時間となっている。
なので俺は遠慮なく昼寝をかました。
そろそろ時間なので制服に着替えて学校へと向かう。
会場は、学校の多目的ドームとグラウンドの二つを使ってやるらしい。
随分と大がかりな行事だな。
時刻は午後六時近く。辺りはすっかり薄暗くなり始めていた。
ギラギラとしたライトを至る所に装飾し、
学校は眠らない街のようになっている。
「桐生君、こっちですよ〜」
門から少し進んでいくと羽澤先生が俺を呼んでいた。まずはクラスごとに点呼をおこなうようだ。
「……桐生君、こんばんは」
「よう」
先に来ていたイヴから挨拶された。ぱっと見緊張しているみたいだ。
「ちわっすー!!」
ボタンを全部留めず、胸元を少し開けた制服を着こなすギャルが突然挨拶してきた。
クラスメイトなのは分かるが、名前は知らない。
「美花ちゃん。こんばんは」
「こんちゃ!もう!イヴちんホントカワイイーー!!」
イヴの容姿を褒めながら、抱きしめる。
「うっ……」
「いいニオイするし、ひんやりだし!サイコー!!」
彼女は苦しい表情でギャルの手をトントンと叩く。
「あ、ごめんごめん。つい」
「大丈夫か?」
「は、はい……」
「はー君、いつ見てもめっちゃクールやね!」
「は、はー君……?」
あだ名みたいなのって初めて言われたな。
「あれ?気に入らなかった?ウチ的にはぴったしだから変えるつもりないんだけど!」
「ま、まあなんでもいい」
「なあ!あれ!例の神薙真昼じゃね?」
「ホントだ!すげぇ本物だぁ!!」
「うわガチじゃん!何でここにっ!?」
クラスメイトの男子たちがなにやら騒ぎ出した。
視線の先には、一際目立つオーラを放つ黒髪の女子生徒がいる。
彼女は密着すれすれの間隔のなか囲まれながらも笑顔を振り撒き、手を振っている。
人気者って大変だな。
「神薙真昼って誰なんだ?」
「はー君知らないの!?彼女は今どき珍しいピンでアイドルやってる超有名な子だよ!ま、この前学業に専念するから活動休止とは聞いてたけど。まっさかこんなところで見れるとは!」
真島が丁寧に説明してくれた。
「へぇ。アイドルがこんなところにな」
「後で話しかけに行こーっと!イヴちんもどお?」
「いや、私はいいです」
「はーくんは?」
「俺もいい」
「釣れないなぁー」
______数分後、塚本が無理やり引っ張る形で
なんと黒鉄が会場に姿を現した。
「え?黒鉄じゃん!?」
「黒っち!?」
「よ、よう」
恥ずかしいというか、気まずいというか、とにかく目線は合わせず挨拶していた。
「へぇ。生きてたんだ?」
日村は相変わらず煽りを入れる。
「…………っ!!」
イラッとしながらもこらえている。
パーティーという場にギスギスした雰囲気を放つ
日村と黒鉄。これ以上のゴタゴタはやめてくれ。
そう願っていると、
B組の担任が代表としてマイクを持ってお立ち台に上がり、注意事項とパーティー開始の宣言をした。
これでバラけてなんとかなるだろう。
ひとまず安心だな。
______そしてパーティーが始まった。
一斉にバラけだし、誰がどこにいるかなんてわからない。さて、俺も移動しよう。
人混みを掻い潜って予定通り会場の端に向かった。
「ふぅ」
ベンチに座って一息つく。それにしてもすごい人数だな。ここから……卒業までに何人減るのだろう。
学校側からも生徒を蹴落とす行事か何かがありそうだよな。
そして気になることがある。
先生が願いの条件を話していた時、
______手段は問わない。そう言っていた。
これの意味を解くならあの手段を思いついてしまうが、もしアリなのならば、
…………正気の沙汰じゃない。
そんなことを考え、ぼーっとしていると、
チラッと黒鉄っぽいやつが門の外に走っていく姿を発見した。始まって間もないが、耐えきれなくなったのだろうか。
本当に彼だとしたら心配だ。
「……行ってみるか」
抜け出してしまうことになるが仕方ない。
彼をこんなところで失うのはもったいないからな。




